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『営業よりNo.82

しあわせになるための「福島差別」論
福島第一原発事故から7年が経ちました。その間に多くの調査や検証がなされ、事故 による放射能汚染の状況や放射線被爆の実態については、かなりの部分が明らかに なってきています。にもかかわらず、研究者同士の異なる見解の溝はなかなか埋まら ず、被災者間の分断はさらに深く複雑になり、福島県民へのいわれのない差別もなく なりません。 福島原発事故は人災であり、自然災害と大きく異なる点は、そこに被害者と加害者が いることです。そのことがこうした事態を生む一因になっているのではないでしょうか。 12月に刊行された『しあわせになるための「福島差別」論』は、原発事故がもたらし た差別と分断をどう乗り越えていくか、について書かれた本です。 第1章では、今回の原発事故の被害の全体像と現状についてまとめています。第2章で は、福島県民に向けられている差別や偏見をどう乗り越えるかについて、実体験を交 えて論考しています。第3章は、放射線被ばくの現状や帰還基準・除染目標の数字な どを専門家が科学的に分析した論稿です。第4章では、放射線被爆による健康被害、 とりわけ小児甲状腺がんの問題について詳しく解説しています。第5章では、事故現 場の現状と廃炉についての見通しと課題について論じています。原発事故に関わって きたさまざま分野の著者14人によって、科学的側面から社会的側面まで、多角的な検 証がなされた本です。 「それぞれの判断と選択をお互いに尊重すること」「科学的な議論の土俵を共有する こと」この2点が問題をとくカギになると本書は説きます。しかしそれが簡単ではな いことが、この本を読むとよくわかります。 まえがきにはこう書かれています。「人は誰でも自分のレンズを通して世界を見てい ます。そのレンズが歪んでいないと確信をもって言える人が、どれだけいるでしょう か。それでも私たちは、自分のレンズの歪みをできるだけ正す努力を続けなければな りません。」 これは原発事故に限らず、世の中のすべての問題において言えることでしょう。私た ちの出版活動が人々のレンズの歪みを正す一助となっていることを願ってやみません。