2013年5月24日

 司法の世界というのは、現実の政治を反映するものである。国際司法も同じだ。

 集団的自衛権の濫用が続いた冷戦期の現実が反映したのが、1986年、国際司法裁判所がニカラグア事件をめぐって下した判決である。アメリカによる武力攻撃をうけたニカラグアがアメリカを訴えたものである。この事件では、アメリカは、集団的自衛権だから合法だと主張したが、裁判所はその訴えを退けた。
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2013年5月23日

 集団的自衛権が大きな転機を迎えるのは21世紀に入ってから。そう、9.11テロに際してである。

 あのテロの翌日、国連安保理は会議を開き、採択した決議前文で、個別的・集団的自衛権をオーソライズした。湾岸戦争のときと同様、安保理は、国連がこの問題に関与し続けると宣言し、ビン・ラディンの引き渡しをタリバン政権に求め、経済制裁を開始した。
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2013年5月22日

 冷戦の終了とともに、集団的自衛権をめぐる状況は様変わりする。そのスタートとなったのは湾岸戦争だった。

 イラクがクウェートを侵略し、最後は、多国籍軍がイラクを占領地から追い出すための戦争をした。その戦争のことである。

 この湾岸戦争、冷戦の終了で安保理が機能することになったことで記憶されているが、集団的自衛権という問題でも大転換をもたらした。なぜかというと、安保理は、クウェートからの撤退をもとめた最初の決議で、加盟国が個別的および集団的自衛の固有の権利をもっているとのべ、事実上、集団的自衛権をオーソライズしたからである。
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2013年5月21日

 もっとも大きな虚構は、集団的自衛権というものそれ自体が、何か世界で普遍的なものになっているかのように描かれていることだ。それを前提にして、憲法九条がそれを禁止していることについて、世界のなかで特殊な立場であるかのようにみなしていることだ。

 この問題では、私は12年ほど前、『「集団的自衛権」批判』という本を書いて明らかにしたことがある。そのなかで、冷戦期、集団的自衛権をどの国がどのように行使したのか、実例を明らかにしたのである。
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2013年5月20日

 という本を書いていることは、すでにお知らせした。頭のなかは、そのことがかなりの部分を占めている。だから、記事もその点について。

 タイトルはまだ仮のものだが、集団的自衛権の本には「虚構」をつけるのがふさわしいと感じる。この問題をいま議論しているのは、安倍首相がつくった「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」という、長い名前の「懇談会」だが、それが5年前に出した「報告書」を見ても、「虚構」だらけである。
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