2015年7月6日

 土曜日は兵庫県北部の豊岡で開かれた母親大会で講演しました。日曜日はそのまま電車で一時間ほど西に進んで京都府北部にある京丹後市の革新懇の講演会でした。それぞれ別々に行ったら遠かったけど、連続していたので好都合でした。

 豊岡の駅を降り立ったら、駅舎につづくところに、以下のような大きな看板が出ていて、大丸が広告まで出してくれているんですね。びっくりしました。

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 お話しした中身は、どちらも、新安保法制と集団的自衛権。当たり前のことですけど。週末にも京都市内で同じようなお話をする予定です。

 ただ、今度の法案には反対だということは、多くの国民にとっては常識的なことになっているわけですよね。だから、法案のどこが問題なのかということをお話ししても、せいぜい「もとから反対でしたけど、もっと反対の気持ちが強まりました」という程度にとどまります。

 がんばっている人が求めているのは、この法案を阻止するだけの力は(あるいは可決されたとしても廃案にする力は)、どうやったら生まれるのか、ということでしょう。特定秘密保護法のときは、世論調査でもっと反対が多かったけど、自民党と公明党の数の力で押し切ったわけですから、世論が盛り上がるというだけでは同じ結果が見えています。

 問題の核心は、世論の盛り上がり方だと感じます。こういうことを強行する安倍政権を倒すということで、仲間内だけでなく考え方の異なる人と心が通じ合うような状況を作り出せるのかが大事です。

 というような話を自分の経験を交えながらお話ししたんです。豊岡では、講演が1時間20分に対して、質疑も1時間20分あって、いろいろ質問が出されました。そうしたら、京丹後でもそうでしたけれど、「結局、どうしたら、全然考えの異なる人と心が通じ合えるのか」みたいな話に。

 私は、相手と意見が異なっても、「ここには共感できるよね」というものが必要だと思います。たとえば、小林よしのりさんと対談したときも、慰安婦問題では大方の一致が得られたわけですが、靖国問題などでは一致しないわけですよね。だけど私は、戦死した若者の霊がやすらかに眠るにはどうしたらいいだろうかというようなことでは、小林さんとも通じるものがあると考えます。

 だから私は、政教分離やA級戦犯問題で政治の争いに巻き込まれるような靖国は、慰霊の場所としてふさわしくないと思うのです。結論が違っていても、どこか共通する部分があれば、対話は成立すると思います。

 週末の京都では、もっと本格的に語ってくるかな。11日(土)午後3時から、場所は職員会館かもがわの第3多目的室です。

2015年7月2日

 とりあえず、こんなタイトルにしてみました。たくさんご意見をお寄せいただきましたが、「九条に言及してほしい」というのが一番多かったので、それを取り入れました。まだ最終確定には時間がありますので、引き続きよろしく。営業部門から、書店向けに何がウリなのか文書を書いてほしいといわれたので、サッと書いて送りました。以下の通りです。

井上圭一著チラシ

共産党と自衛隊って、水と油という感じがしませんか? 共産党って、自衛隊は違憲だと主張する、いまや日本で唯一の政党ですから、そう感じるのが普通です。

ところが、安倍内閣が集団的自衛権の行使に突きすすむなかで、大きな変化が生まれています。かもがわ出版も、つい半年前、元自衛官・泥憲和さんの『安倍首相から「日本」を取り戻せ!』を出版したのはご存じの通り。「さよなら安倍政権」シリーズの最初の巻を書いていただいた柳澤協二さん(元防衛官僚)が代表を務める「自衛隊を活かす会」がありますが、これって護憲団体なんです。いま、各地で、元自衛官が、「後輩をムダに死なすな」と起ち上がっています。

一方、共産党の側も、「自衛官を殺すな」と街頭で演説するまでになりました。そしてとうとう、今度は自衛官が共産党の議員になったんです。井上圭一さん。霞ヶ浦駐屯地で陸上自衛官を九年間務めた方ですが、この春の土浦市議会選挙に共産党から立候補し、当選したんですよ。

常識的に捉えると、自衛官だった過去を否定して、共産党の議員になると思いますよね。だけど違うんです。井上さんは、自衛官の頃からずっと憲法九条を大切にしてきて、新入隊員に銃の扱いを教える時も、まず九条の話をしたそうです。「自衛隊は最大の護憲団体だ」という人もいますが、戦争になったら最初に死ぬのが自衛官なのですから、言い得て妙だと感じます。

そういう井上さんだったから、自衛官を退職し、いろいろ仕事をするなかで、憲法九条を守ると主張して活動している共産党に入るのは、あまりにも当然のことだったそうです。自衛官だっただから共産党の議員になったようなものだと言っておられます。そして、日本が集団的自衛権を行使する国になろうとしているいま、後輩の自衛官を絶対に戦死させたくないとして、自分が共産党員であることをオモテに出し、市議会議員になったのです。

本書は、そういう井上さんの思い、主張を満載しています。眼からウロコとは本書のためにあるような言葉です。お薦めです。

2015年7月1日

 昨日、ブログを書く時間がありませんでした。東京にいて、午前中も会議で、夕方からも会議で、最終の新幹線に乗ってビールを飲んだら、こてっと寝ちゃったんです。

 昼間は何をしていたかというと、ひとつは、「通販生活」にインタビューを受けていました。『慰安婦問題をこれで終わらせる。』についてWEB版で紹介していただけるとのことで、書いた動機とか、刊行後の反響(というか左右ともウラではいろいろ言っているけれど、公然と表で論争をふっかけてこない理由に関する推測)とかを話してきました。

 もうひとつが、このタイトルに書いたようなことです。それを考えている人(とっても影響力のある人です)のお話を伺って、私の意見を言ってきました。

 廃案をめざすという立場からすると、法案が通ることなど考えちゃダメという考え方もあると思います。敗北主義だという、昔懐かしい批判もありうるでしょう。私にしても、数回前のブログで書いたように、この問題では、次の参議院選挙で自民党を倒すだけの、いわば反安倍保革連合の芽が出てくるなら、あるいは自衛官の総反撃がはじまるなら、そう簡単に可決に持ち込めないと思い、出版の分野でも(あまり書いていませんが、沖縄の保革連合成立の経過をまとめた本は、今年中にできる見通しです。共産党議員になった自衛官の本も間に合わせます)個人的にも(自衛隊を活かす会が月末に新安保法制批判のシンポをやりますが元幹部自衛官3人そろい踏みです)いろいろやっています。

 ただ、成立することを見越して、次のことを考えるような人も、こういう問題では必要です。とりわけ政治に携わる人にとっては不可欠です。可決されたその日に、次の一手を提示しなければならないわけですから、考えていないとすると政治家失格。

 これまで、たとえば秘密保護法で世論が盛り上がっても、法律が成立して移行、これを主題にした闘いは目立ちません。私なんかは、いろいろ成立しても、反安倍保革連合の政府でぜんぶ廃案にすればいいと考えがちなんですが、政権取りって、現状からすると望み薄で、真剣になれない人の方が多いと思うんです。

 昨日お話を伺った人は、集団的自衛権を行使してはならないことを、どうやって運動化して実現するかを真剣に考えておられました。誰も考えてこなかったやり方だと思います。8月以降には、それがオモテに出てくるでしょうから、びっくりしないでくださいね。