戦争になったあとに悔やまないために

2014年4月28日

 先週末から東京に来ている。本日までで終わるけど。

 メインの仕事は教育科学研究会のみなさんとの話し合い。毎月の雑誌「教育」を出していて、いまはそこの『講座』5巻を出し終え、別巻を残すだけになっているのだが、いろいろ乗り越えるべき問題も山積している。

 それ以外にも、夏に出したい本について、著者と打合せ。非常に大きな問題提起の本になるので、間違いのないよう慎重に準備しなければならない。

 そんなことをやりながら、九条の会で講演したり、マスコミから取材を受けたりしている。まだ発足していない「自衛隊を活かす会」への期待の高まりを感じる日々だ。

 昨日も鹿児島の国政選挙の補選とか、沖縄市長選挙とか、安倍さんが勝利した。追い詰められているとか、国民との矛盾がかつてなく広がっているとかいっても、その安倍さんを倒そうとする主体が形成されないと、言葉だけの展望になる。

 「自衛隊を活かす会」が憲法九条の下での説得力ある防衛政策を示すことができれば、集団的自衛権と国防軍へと走る安倍路線への対抗軸となる。その内容は、リベラル保守からリアリスト左翼までを結集できるはずである。実際、党派をこえて、「自衛隊を活かす会」に関心が寄せられはじめているのだ。

 安倍さんに対抗する主体を形成するうえで、非常に難しいのは防衛政策だと思う。TPPに反対するとかブラック企業をなくすだとか、そういう課題は一致しやすいが(課題ではなく経済構造をどうするかまで議論すると不一致が表面化すると思う)、保守から革新まで一致できる防衛政策って、これまで誰も関心を払ってこなかった。

 難しい問題に入り込まないで、国防軍と集団的自衛権に反対という課題で一致するというやり方もあるだろう。だけど、それはうまくいかなと思う。安倍さんは、そういう共闘に対して、「一致する防衛政策がないじゃないか。自衛隊違憲と自衛隊合憲の政党が一緒になっても国民は不安なだけ」と攻撃してくるだろう。だから、憲法九条下の自衛隊活用策、防衛政策はどうしても必要になる。

 これができれば、「一致しているのだから、そういう政治勢力で協力しあうべきだ」という声も高まると思う。それが選挙での協力に結びつく可能性もある。

 もちろん、そうならないかもしれない。保守の側の問題でいえば、「自衛隊違憲政党の排除」という論理も働く。革新の側の問題でいえば、「安保廃棄の基本政策で一致しない政党との協力はあり得ない」という根強い論理がある。

 そういう論理が優先されれば、何も変わらない。だけどそれでは、安倍路線が続くことになるので、憲法九条が変わり、集団的自衛権が行使され、日本が再び戦争し、大きな被害を生みだすことになるだろう。

 その時になって、「戦争になったけれども、一貫して正しい路線を歩んだ」ということが誇りになるのか。協力しあわなかったということが悔恨となるのか。よくよく考えないといけないよね。

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