安倍さんは沖縄を理解していない

2014年7月23日

 オスプレイを佐賀空港に持っていこうという案が急浮上している。その背景にあるのは、沖縄県知事選挙で政府が追い詰められていることにある。

 自民から共産までオール沖縄で候補をたてられれば、とても仲井真さんでは太刀打ちできない。だから、仲井真さんの公約である普天間基地の5年以内での運用停止(辺野古への移設完了にはもっと時間がかかるので、それを待たずに停止する)を実現することで、応援しようということらしい。

 安倍さんって、本当に沖縄のことを理解していない。こんなことで沖縄県民の心を少しでもつかむことができると思っているのだろうか。

 だって、この間の経緯を見ても分かるだろう。なぜオール沖縄の共闘ができあがったのか。それまでは辺野古移設に理解を示していた自民党の翁長さんが、こんど仲井真さんに対抗して出馬する決意を固めたのはなぜなのか。

 きっかけは、あの鳩山さんの「最低でも県外移設」発言だった。それまで沖縄の保守系の人々は、普天間基地はなくなってほしいと思っていたが、現実味のないことだと考え、やむなく県内移設を容認していたのである。しかし、鳩山発言によって、県外移設ということが政府も検討の俎上にのぼらせることの可能な案だと思えたのだ。可能なんだったら、そういう方向を進めてほしい、沖縄の苦渋を取り除いてほしいということで、オール沖縄で気持ちが一致したのだ。

 今回、佐賀空港への移設は、すでに国と県との交渉ごとになっている。鳩山さんのようにただ空想的に口にしたというだけでなく、さらに現実味が増したわけだ。普天間の海兵隊が何年間も沖縄におらずに済むのなら、ずっといなくても済むだろう。誰もがそう考える。当たり前のことだ。

 海兵隊って、どこにいても緊急即応できる部隊だから、沖縄にいる必然性がない。グアムにいたって、現場に速攻で駆けつけるのである。一方、海兵隊を載せる揚陸艦は、長崎の佐世保基地にあるわけだから、どうせ日本にいるなら、佐世保に近い佐賀が合理的ということになる。政府の検討は、だからすごく現実味のあることなのだ。

 沖縄に基地のあることに意味があるのだとする政府の論理は、軍事的に成り立たないことが、これからいっそう鮮明になってくる。その結果、普天間の県外移設に向けたオール沖縄の団結は、これまでより強固なものとなるに違いない。それが県知事選挙の結果となってあらわれるだろう。

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