勝負の2016年へ

2015年12月25日

 会社のメルマガに寄稿しました。以下、全文です。

 メールマガジン読者のみなさん。いつもお世話になっています。みなさんにとって、2015年はどんな年だったでしょうか。

 勝負のための総仕上げの年だった──私にとっては、そんな感じでしょうか。

 この会社に入って9年、ずっと追及しつづけてきたのは、古い言葉でいうと「統一戦線」。現在の用語では「協力共同」ということになるでしょうか。政治社会を変える上で、それが不可欠だと感じ、出版の分野で何をできるかを模索してきました。

 最初に出版したのが『我、自衛隊を愛す 故に、憲法九条を守る』。防衛省元幹部のみなさんと一緒に憲法九条を守ろうという本でした。軋轢も生み出しました。「かもがわ出版は変質した」とも言われました。しかし、戦争法反対闘争のなかで、元自衛官が運動を激励し、参加する構図が生まれ、運動の側も「自衛官の命を守ろう」と呼びかけるに至っており、大事な問題提起だったと自負します。

 5年前の沖縄県知事選挙。革新統一で立候補した伊波洋一さんの本を出しましたが、あの沖縄でも革新のスローガンである日米安保廃棄が多数にならない現実をふまえ、防衛省にあって97年の日米防衛協力指針(ガイドライン)を推進した立場にあった柳澤協二さんにお願いし、沖縄に海兵隊基地はいらないという趣旨の本を書いていただき、選挙中、伊波さんの本と一緒に並べてもらいました。昨年、安保を容認する立場の翁長さんが革新派にも推されて知事になったことは、5年前に提起した沖縄の協力共同のありようが実を結んだものとしてうれしいことです。

 しかし、国政の舞台では、自民党の圧勝という状況がつづきます。安倍政権はどんどんファッショ化していくのに、対抗する野党はバラバラのまま。このまま来年の参議院選挙で自公が3分の2の議席を制圧すれば改憲発議間違いなし。

 では、どうするのか。出版社に何ができるのか。これを今年の春、考えました。

 まず沖縄に飛びました。巨大与党に国政選挙で圧勝した経験があるのは沖縄だけなのですから、それをリアルな本として出すべきだと考えたのです。いろいろな伝手で、講談社のノンフィクション大賞を受賞した経験のある沖縄在住の方にお会いし、書いていただくことになりました。この方、総選挙のときは4区の仲里さん(元自民党)に張り付いて取材していて、現在もほとんどは辺野古におられます。この間、各政党、財界、労組などに取材してもらって、いま本の仕上げの時期です。保守も革新も相手を「悪魔」だと思っていたのに、なぜ手を結んだのか、それがどんな力を発揮したのか、そういうことが伝わってくる本になるでしょう。

 平行して、「さよなら安倍政権」のシリーズを開始しました。現在まで6冊です。戦争法、アベノミクス、年金、農業、歴史認識とテーマごとのものに加え、最新のものでは『「開戦前夜」のファシズムに抗して』で、トータルな安倍政権論を論じることになりました。大事にしたのは、内容とともに著者の顔ぶれです。誰が見ても保守から民主、社民、共産の方だなと分かる方々に執筆をしていただきました。安倍政権に対抗する協力共同とはこういうものだということを、執筆者を見るだけで分かるようにしたのです。来春、新たに沖縄基地問題、少子高齢化問題、労働問題、教育問題、憲法の明文改憲問題が加わる予定です。

 これらをセットにして、ゴールデンウィーク明けから参議院選挙に向けて、書店の棚に並べたいと思います。安倍政治退場の流れをつくることができるのかどうか。かもがわ出版は、小なりといえども、その流れを促進する側にいたいと思います。

 まさに勝負の年です。それにふさわしくがんばります。
 

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