マルクスの心を聴く旅

2016年7月5日

 忙しいです。理由はいろいろですが。

 3月に内田樹さん、石川康宏さん、池田香代子さんと本づくりのため、ドイツ、イギリスに旅行したことは当時、何回か書きました。ようやく先が見えてきたので、書店向けのチラシをつくりました。

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 チラシだけ見ても、なんだか楽しい本、意味のある本ができそうな感じがしませんか。実際にマルクスが生きた土地に行って、そこでマルクスが考えたことに思いを馳せて、そういうやり方をしなければ体験できないことを土台にして、内田さんと石川さんの対談があり、池田さんの講演があるのですから、楽しくないはずがないし、意味のない本になるはずもないんです。

 対談のタイトルは、1回目が「マルクスを時代背景のなかで読むこと」、2回目が「『資本論』を生んだ地で資本主義を考える」にしました。どちらも大事なことですよね。

 いろんな人が(関心ある人だけですが)、「マルクスはこう言っているんだ!」と主張します。だけど、のちにマルクスが否定した言葉だったり、今では考えられない当時の限定された状況での発言であったり、そういう場合も少なくありません。なのに、それがマルクスのテーゼみたいに扱われている。そういうのじゃなくて、まさに「時代背景」のなかで読むことが大事なのだと思います。

 マルクスが『資本論』を書くに際し、実際に目の前で進行していた産業革命とか、そこで使われていた当時の機械とか、そんなものを見て、体験して、内田さん、石川さんの対談があったわけです。そこで語られた資本主義論って、手のひらに乗っているような感じでした。

 池田さんの講演は、グリムとマルクスが交錯するという事実だけでも興味を惹きますよね。でも、交錯するだけで、相容れないんです。でも、めざしている大きな方向は同じなのに、現実には相容れない。そういう時代のダイナミズムを感じさせます。

 なお、本のタイトルは、『マルクスの心を聴く旅』にしました。これをドイツ語にしたらどうなるんですかと池田さんにお尋ねしたところ、「Eine Reise zuzuhoeren was Marx heute uns sagen will(マルクスがいま私たちに語りたいであろうことを聴く旅)」はどうでしょうかというお答えでした。どうでしょう?

 私、「マルクス・エンゲルス全集」には目を通したことがあって、だから付箋もたくさんついたままなんです(「レーニン全集」は3回くらい読んだ。若い頃は偏っていたよな)。でも、最近はまとまって読む機会はありませんでした。

 選挙が終わったら、まだ読んでいない『資本論草稿集』全9巻に挑戦しようと思います。別に経済学そのものはどうでもいいんですが、そこでのマルクスの思考方法というか、『資本論』を生み出した哲学に興味があります。本当に読破できるかどうか、分かりませんけどね。

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