「第一段階も基本政策」とする以外にないでしょ

2016年9月21日

 民進党の代表選挙が終わり、共産党も中央委員会総会で方針を打ち出し、いよいよ野党共闘をめぐって本格的な議論が展開されることになる。前途多難だろうが、意味のあることだから、関係者にはがんばってほしい。

 ただ、いまの議論を見ていると、あまりかみ合っているように思えない。私なりに何が大事と思うかを書いておこう。

 蓮舫さんが綱領の違うところとは政権を組まないと言った。これはまあ、まだ物事の理解が十分ではない方の、成長途上の言明だ。綱領は違うけれど、基本政策が一致できれば、政権を組むことは可能になる。

 この点では、前原さんが一貫して言っているように、基本政策が違うところろは政権は組めないというのが、合理的な態度だと思う。前原さんは、日米安保、自衛隊、天皇制、消費税などを基本政策としてあげている。

 共産党もこのブログで書いてきたように、基本政策の一致が政権をともにするための前提だと言明してきた。とりわけ日米安保問題が試金石だと言ってきた。この点では、政権問題での基本的な考え方は、共産党と前原さん(おそらく民主党全体も)は一致し
ているわけだ。

 問題は、じゃあ基本政策とは何かということだ。民進党は日米安保と自衛隊を堅持することが基本政策である。そこは動かない。 

 じゃあ、共産党はその問題ではどうなのか。綱領は、日米安保廃棄、自衛隊の段階的解消を明記している。安保と自衛隊をなくすことが日本の平和にとって不可欠だという立場である。

 そこで共産党は、そういう立場を野党共闘、連合政府に持ち込まないと明言している。それは大事なことだが、安保と自衛隊が日本の平和にとって大事だという民進党と、それをなくすことが日本の平和にとって大事だという共産党では、あまりに真逆であって、誰が見てもうまくいくはずがないと思うだろう。民進党が不安を感じるのは当然だ。

 ここを打開するカギとなるのは、共産党が2000年の22回大会で、自衛隊を解消するための3つの段階を打ち出したことである。そこでは、日米安保を解消するのは第2段階で、自衛隊の解消は第3段階とされている。つまり、第1段階は、日米安保も自衛隊も存在することが前提となっていることだ。その段階では、軍縮や海外派兵阻止などを政策として掲げていることである。

 その立場に立って、第1段階での政策を、基本政策だという位置づけにすれば、民進党との接点が生まれるように思える。少なくとも綱領のなかには、安保と自衛隊解消が基本政策だと書いているわけではないし、第2段階(安保廃棄)に至るのだって何十年もかかるだろうから、それほどまでの長期間に通用する政策を基本政策(当面の基本政策というのでも構わない)と位置づけても、全然おかしくない。もし、民進党が求めているように、綱領にそういう記述を入れられるならベストだ。

 問題は、基本政策というからには、その政策が連立のための戦術というものでなく、国民の命にとって大事だという思想がなければならないことだ。だけど、参議院選挙の最中に出た法定ビラでは、憲法九条を守ることも国民の命を守ることも大事だという文脈で自衛隊は解消しないと明言したわけだから、乗り越えるべきハードルは高くないように感じる。

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