米軍司令官発言に真実が含まれることが深刻だ

2016年12月15日

 一晩経って、どんなニュースになっているんだろうと朝7時にテレビをつけたら、NHKは扱っていなかった。オスプレイ問題、沖縄問題の宿命か。

 安慶田副知事の抗議に対して、米軍司令官が「パイロットは住宅、住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」、「(事故を)政治問題にするのか」と怒りをあらわにしたことが報道されている。それがアメリカ側の公式見解ということなら、「植民地意識丸出し」という指摘がズバリ当てはまる。

 ただ、軍人の発言として見ると、そこには真実が含まれている。そして、それこそが深刻なのだと感じる。

 もともとは、C130による空中給油中に燃料ホースがオスプレイのプロペラに当たったということだが、そもそもオスプレイのような巨大なプロペラをもつ航空機への給油というのが、かなり難しい。だけど、オスプレイの使用は政治の決定だから、軍人はその範囲で対処するしかない。安慶田さんがオスプレイの撤去を求めたのに対し、米軍司令官が「(事故を)政治問題にするのか」と怒ったのは、軍人にはそこはどうにもならないからだ。もっとも、その怒りは、沖縄でなく米国政府に向けられるべきものだろうけれど。

 そういう危険性をもつ航空機を押しつけられた軍人としては、危険を最小化するため、訓練を頻繁に実施することになる。以前、低空飛行訓練ルートでのC130による空中給油を論じた米軍文書に目を通したことがあるけれど、こうした訓練というのは間隔が空いてしまうと、次に実施するときにパイロットが恐怖感を覚えることになるため、1週間に何回は実施するみたいなマニュアルが定められている。だから、訓練しないとパイロットにとっての危険性が増すわけだが、訓練をくり返すことによって住民への危険性が増幅するという、抜け出すことのできない袋小路にいるわけだ。

 今回、プロペラに異常を抱えた時点で、パイロットは焦ったのだと思う。そして、住宅が密集する普天間基地に帰還することをあきらめた。そこは米軍司令官が言うように、「住宅、住民に被害を与えない」という使命感が生みだしたもので、評価されるべきだと思う。

 だけど、向かった先がキャンプ・シュワブ。ここだって周辺は民家だらけである。普天間より多いか少ないかという程度の違いだ。

 アメリカだったら、住宅がない場所に基地があり、こんな問題は生じない。ところが沖縄にはそんな場所がない。場所がないのに、政治の決定によって沖縄に米軍が集中的に配備され、そのしわ寄せが沖縄県民に押しつけられる。米兵だって、その政治の決定に翻弄される。

 今回の問題は、やはり、政治をどう変えなければならないのかを問いかけているのだと思う。どうでしょうか。

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