9条改憲案を提示できる民進党であってほしい

2017年8月22日

 民進党の代表選挙がはじまった。前原さんと枝野さんの違いばかりが強調されるが、それほどの違いはないのではないか。自民党に替わる選択肢を示そうとすれば、「ここは違うな」というものを提示する以外にないのだから。それを選挙を通じて深め、是非、本物の選択肢をつくっていってほしい。その上で、野党共闘ではどこまでが協力でき、どこからは協力できないのかを明確にしていってほしい。

 その一つとして9条がある。新しい代表のもとで、民進党には9条をどう変えるのか、「これなら選択肢になるな」というものを具体的に示してほしいと思う。

 昨日の会見を見ると、2人に大きな違いはないようだ。本日の朝日では、こう書いている。

 「憲法でも歩調が一致する。9条の1項、2項を残したまま自衛隊を明記するとの安倍晋三首相の提案に対し、集団的自衛権の行使を容認した安全保障法制を「憲法違反」(前原氏)と断じ、「いま9条に手を付ければ(憲法違反を)追認することになる」(枝野氏)として反対する。党内論議を進める立場についても、両氏で変わりはない。」

 つまり、安倍さんの提案には反対ということだ。この点で、どちらが代表になっても、野党共闘は維持できる可能性がある。

 同時に、2人とも、党内論議を進める立場だ。しかも、方向性も似ている。集団的自衛権を認めたまま(安保法制のまま)の改憲はダメだということである。個別的自衛権にとどまることが明確な9条にしようということだろう。

 そういう改正案なら、護憲派との間であっても、少なくとも冷静な議論の対象になるだろう。共産党だって、もう40年以上前になるけれど、そんな改正案をつくると言っていた。毎日新聞社主催で各党の安全保障政策を他の党との間で激論する企画があったのだが、自民党の中曽根さんが「第九条はなくなるんですが、変形されるんですか」と聞いたのに対して、宮本顕治書記長(当時)が、自民党のような「ゴマカシ解釈は政権ととったからといってもやらない」として、次のように答えている。

 「最小限、文字通り自衛で、節度のある防衛に限定して軍隊を持ち得るという規定を適当な方法で考慮する」(毎日新聞社『共産党政権下の安全保障』132-133)

 そういう立場をとっていた時期もあるのだから、民進党からかつての自分と同じような改憲案が出てきても、それを悪魔の提案ように批判することはないだろう。共闘相手の真面目な案として冷静に議論し、どこで協力し合えるのかを探っていけるのではないだろうか。

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