気分が高揚している改憲派をどうする

2013年9月27日

 昨晩、改憲派とつながりを持つ知人と久しぶりにお会いし、いろいろ話を伺った。本人は改憲派というわけではないが、産経新聞の「国民の憲法」などにも意見を求められている方だ。

 その方が、自分が招かれた改憲派の討論会、集会などの様子をリアルに語ってくれた。一言で言えば「前のめり」になっているという印象だそうだ。

 天皇の元首化問題なども、改憲派のなかにも慎重論は多いのだ。だって、本当に権力をもつ元首にしてしまえば、戦争だって天皇の名でやることになるし、そんな戦争で負けたら「退位」とか「廃止」なんてことになりかねない。それだったら、「象徴」のままにしておいて、「世界に類例のない地位」を誇った方がいいという考え方の方も多い。ところがいまや、そういう意見さえ言いにくい雰囲気があるという。政府の安保法制懇で集団的自衛権の議論をリードしているある学者も、元首化問題では別の見解を持っているようなのだが、集会ではもごもご言うにとどめるという感じだそうだ。

 あるいは、その集団的自衛権。日米共同訓練中に米艦船が攻撃されても自衛隊が反撃できないから集団的自衛権が必要だというが、共同訓練中に片方だけをねらって攻撃するなんて現実味のある想定ではない。だけど一方で、日本の平和に関係のある事態のように見せかけないと、世論の離反が起こるので「共同」訓練といわざるを得ない。でも、あまりに「共同」を強調しすぎると、「それって個別的自衛権の話でしょ」となっていく。そういうことも含め、改憲派の集会で集団的自衛権の言葉は飛び交うが、そもそも集団的自衛権とは何かを理解している人は、ほとんど存在しない印象だという。

 「地球の裏側」問題も同じだ。理論的に言えば、集団的自衛権を認めれば、「地球の裏側」まで自衛隊が行くのは当然のこと。だけど、それでは理解されないだろうということで、日本の平和に関係しそうな事態に見せかける。だけどそうなると、集団的自衛権の問題ではなくなってくるというわけだ。

 参議院選挙の結果、改憲が現実味を帯びてきて、改憲派は本当に高揚しているのだと思う。それで、あれもこれもこの機会に、という感じなのだろう。

 だけど、だからこそ、改憲派のなかにもいろいろな意見の違いがあるのに、それを深く議論して、調整して一本化して、「ここで突破しよう」というふうになりにくい。まあ、そこの矛盾をどう突いて、亀裂を拡大させるかというのも、考えないとダメなところだと感じた。
 

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