本音の政治がメディアにも

2014年2月27日

 NHKの籾井さんのこと、あまり書きたくない話題だけど、1回くらいはね。いろいろ考えたことがあった。

 これまで、メディアって、いい言葉でいえば「矜持」、ふつうの言葉でいえば「建前」というものがあった。何かと言えば、メディアの役割は「権力の監視である」というものだ。

 そう言わないと、メディアとしての役割を果たせないと、関係者は思っていたのだ。そして、権力と一体となっている中国国営テレビなんかをバカにして、イギリスのBBCを模範にしていたという感じだろうか。

 だけど、本音は、少し違っていたように思う。だって、国からお金をもらって放送するのだから、いくら「権力の監視」とか言っても、限界があるのは当然である。だから、本音としては中国国営テレビだが、建前はBBCにしておこうというものだったかもしれない。

 籾井さんは、そこを正直に言ってしまったわけだ。「NHKは権力の代弁者でしょ」と、本音をストレートに発言した。

 ふつうは、そういうことを言うと、メディアとしての信頼性が崩壊するわけである。実際にNHKの信頼性は崩壊していて、大手新聞社の幹部と話したりすると、「このまま籾井さんに会長をやってほしい。NHKの信頼性が地に落ちて、うちの信頼性が向上する」なんて本音を吐く人もいる。

 なぜ、こんなことになったのだろう。私は、政治の影響だと思う。

 小泉さん以来だろうか、本音をしゃべることが支持につながる、という感じになってきた。靖国参拝とかに代表されるものだ。

 それまで、政治家って、本音をおさえて、理性でやっていくという要素があったのだ。隣に嫌いな国があっても、「あなたの国と仲良くしたい」と言わないと、うまくいかないのが政治である。「ひどい国だね」と罵倒したら、関係が悪化して、歴史の教訓では軍事衝突の可能性が生まれてくるなど、よけいに大変になるから、理性的になろうと思ってきたのだ。

 だけど、理性を捨てたら、国民の支持が広がることが分かった。それで、建前より本音ということになったのだ。

 そういう風潮が、安倍さんの登場で、政治以外にも広がり始めている。それが、籾井問題なんだろうな。これを打ち破るには、本当に力がいると思う。どうしようかね。

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