2016年3月11日

  本日から福島です。いま東京からのバスでいわき市に入ったところ。楢葉町のあとは誰も住んでいない富岡町で、夜、再びいわき市へ。

  夜は「あの日から5年、3.11の夕べ」。寺尾紗穂さんのピアノ弾き語り、池田香代子さんと被災者のトーク。私は主催者あいさつかな。

  明日は、国道六号線を北上し、浪江町、南相馬を経て、最後は相馬。ここで齊藤紀医師のお話を伺います。

  ということで忙しいのでブログはここまで。また来週お会いしましょう。

2016年3月10日

 自民党は本格的にやってきますね。本日の朝日新聞に、「野党統一候補=民共合作候補 自民、ビラで野党共闘批判」という見出しで、以下の記事が出ていました。

 「自民党は今夏の参院選に向け、野党5党が進める統一候補擁立を批判するビラを作成した。赤字の大きな見出しで「『野党統一候補』=『民共合作候補』」と主張し、理念も政策も違う民主、共産両党がタッグを組むと強調。参院選を「『自公の安定政権』か、『民共合作の革命勢力』かの選択」と位置づけている。
 ビラでは「『理念なき民主党』と『革命勢力・共産党』の打算と思惑の産物」と痛烈に批判したうえで、日米安保条約の破棄と自衛隊廃止という共産の主張を取り上げ、「どうやって日本を守るのか」と疑問を投げかける。
 党所属国会議員に配るほか、12日の全国幹事長会議などを通じて地方議員らへの周知徹底を図る予定だ。」

 これにどう対応するか、大事な問題です。民主党にとっても、共産党にとっても大事です。

 民主党は、いまの到達点だと、共産党とは理念も政策も違うということ、だから選挙協力はしても、政権はともにしないんだということを強調するんでしょうね。でも、「共産党とは理念も政策も違う」というのは、自民党の宣伝と同じことを言っているわけです。それを言えば言うほど自民党は打撃になると思って言っているのに、同じことを民主党が言うというのは、自民党の狙い通りの結果になるんでしょう。

 体験的に言うと、こういう場合、協力することの意義を前向きに言わないと、有権者はついてきません。政権問題はいまの到達では何も言えないかもしれませんが、参議院選挙で戦争法廃止戦力が過半数を占めたら、それだけで発動承認ができなくなるとか(発動には両院の承認が必要なので)、一致する点(戦争法廃止)がどんなに大事だとか。ダブル選挙になったら、政権問題がからんでくるので、それではダメでしょうけど。

 共産党は、自民党のビラのうち、日米安保廃棄と自衛隊の廃止で「どうやって日本を守るのか」ということへの対応が大事でしょう。これまでだったら、「安保廃棄でこそ日本は平和になる」とか、「自衛隊を使うのではなく外交で」と言ってきたわけですが、国民連合政府では自衛隊も安保も活用するとなったわけですから、かつてと同じことはいえません。

 その際、自衛隊と安保の活用は仕方なく選択したんだみたいなことになると、それこそ「野合」ということになります。その選択が大事だと言わないとダメなわけです。それをどう言うのかが注目点です。

 そもそも、自衛隊と安保を活用するという方針も、長い講演のあと、記者の質問に答えて出てきた考え方で、しかもその後、そのことは「赤旗」で一行も論じられていません。だから、そういう転換があったと知らない人もいるでしょう。是非、説得力ある記事を連発してほしいと思います。

2016年3月9日

 と思うんですが、どうでしょうか。なんだか、「日本は世界中を敵にまわしている!」みたいな受け取られ方、してしまいますよ。

 だって、そもそもこの最終所見、いろいろと書いているけれど、「年末の日韓合意の実施に当たって、当事者の声を聞きなさい」というのが大事な結論なんです。合意を覆せなんて言ってないどころか、日韓合意を実施することは当然の前提になっているんです。

 合意に至る過程で当事者中心のアプローチでなかったと批判しているけれど、合意の中身までは批判していません。最終所見を受けて韓国政府が、合意の内容には慰安婦の声は反映しているとコメントしましたが、実際にそうだと思います。

 韓国政府は(最近の日本政府は違いますが)、ずっと慰安婦の方の意見を聞く立場にあって、その要望がどこにあるか十分に知っているわけです。だから、合意するにあたって、要望を無視するはずがない。外交交渉だから、日本とのやりとりを逐一報告し、合意を取りながら進めるというやり方はとれなかったけれど、内容的には反映されているわけです。

 いま大事なのは、最終所見が言うように、合意を実施しましょうね、それにあたって合意がスムーズに実施されるよう、当事者のご意見をよく聞きましょうねというアプローチだと思います。韓国政府が当事者の意見を聞きやすい環境をつくってあげることだと思います。日本政府が女性差別撤廃委員会を目の敵にすることは、そういう環境作りに逆行するでしょう。

 政府代表がメンバーとなる国連人権理事会と違って、この女性差別撤廃委員会とか、自由権規約委員会とかは、人権問題に詳しい個人の専門家からなるものです。政府代表というのは、あくまで政治的な判断をするので、政治的に歪んだ判断を下すこともありますが(人権理事会が欧米の人権問題を批判しないことに開発途上国からはずっと強い批判がありました)、同時に政治が達成したことには寛容だったりします。だけど、個人からなる委員会は、個人の信念で行動するわけです。

 だから、その判断は、理想に傾きがちです。でも、それでいいんです。この種の委員会って、政府が何年かごとに報告書を提出して、それを審査するんですが、報告すべき中身というのは、前回報告以来どの分野でどんな進歩を達成したかというものです。つまり、常に「進歩」していなければならないのです。完全に条約の水準を達成した、これで満足という状態は想定されていないわけです。

 人権問題をそうやって進歩させるために、わざわざこの種の委員会がつくられているわけですから、強い批判を受けるのは当たり前と思っていないと、政治における妥協と(日韓合意)国際法が求める理想と(最終所見)の関係が見えてきません。日本政府には、人権問題を扱う国連の構造全体を、よく理解して発言し、行動してほしいと思います。

2016年3月8日

 本日の朝、NHKの「おはよう日本」で、福島市のさくら保育園のことがとりあげられていましたね。私がこの保育園を訪ねた際にお会いした齊藤美智子園長も、テレビでインタビューに答えておられました。

 さくら保育園って、福島市の渡利地区にあります。渡利は県内でも放射線が高い地区として有名でした。3.11の後って、当然のことですが、どの保育園の放射線がどの程度かということが保育園選びの基準となり、さくら保育園は当初、入園希望者が減って定員割れになったところです。

 この5年間、放射線量を減らすため、どんな取り組みをしてきたのかを、テレビは追いかけていました。ホントにすごい努力だったんです。

 その努力の内容って、努力したわけでもない私がここで書いても、十分には伝わりません。その全貌は、弊社が出している『それでも、さくらは咲く』(さくら保育園/編)で分かります。是非、ご一読を。

 いまではだいぶ減ったと思いますが、当時、福島に残って子育てをすること自体が、「子どもにひどいことをしている」とネットなどで叩かれていました。保育園の会議などでもそういう問題を議論しながら、みんなはじめて経験する事態を乗り切ってきたわけです。

 行政がやる前から、いち早く放射線測定器を購入し、安全なものだけを子どもに食べさせるようにしたりとか。行政がその後、導入を決めたので、補助金をもらおうと思ったら、決める前に導入したものは補助しないとか言われたりするんですよね。

 子どもは外で思いっきり遊ばないと成長しないからと、園庭から始まって、散歩道などどんどん除染していくわけです。行政が除染する場所は限られているので、それ以外のところは自分で努力するしかないんですね。

 園長先生の願いは、保育園の裏山が子どもの絶好の遊び場なので、そこで遊べるようになることでした。どうしても自分が退職するこの3月までにと思っていた。でも、それは実現しなかったんです。テレビでは冷静に語っておられましたが、その結果が知らされたとき、すごく泣いておられたそうです。

 でも、そうやって努力しているから、さくら保育園の子どもの放射線量って、他の県の実測値と比べても変わらないんです。低いくらいなんです。

 こんな努力をしてきたわけですから、福島の人の成長って、半端じゃないでしょうね。『福島が日本を超える日』のコピーは、「日本の未来は福島の先にある」というんですけど、心からそう思います。今週は3.11の日から13日まで福島です。

2016年3月7日

 参議院選挙に向かうにつれて、これが大事になってくると思われる。安倍さんが「今度の選挙は自公VS民共の対決だ」と言ったのも、野党は野合していると印象づけるためのもので、これからますます強まってくるだろう。

 野合論って、共産党の政策が他の野党とは違うということを強調することにより、他の野党の腰を引かせるところに狙いがある。あるいは保守層が近づかないようにすることも狙いかもしれない。同時に、これまで理想の実現を願って共産党に投票してきた人に対して、「あんな野党に投票できるのか」と牽制する意味もあるだろうね。

 狙いがいろいろあるのだから、反論もいろいろあっていい。だから、これからこのブログでも論じていくつもり。

 野合論の中心にあるのは、安全保障政策の違いである。日米安保どころか自衛隊も認めない共産党と手を組むのはどうかというものだ。

 これについても、いろいろな反論があり得る。ただ、「自衛隊を活かす会」の取り組みをやってきたものとして言えば、安全保障政策は他の分野の政策と比べても野合論が通用しないことを強調しておきたい。

 それはなぜかというと、「自衛隊を活かす会」が昨年5月に公表した提言(「変貌する安全保障環境における「専守防衛」と自衛隊の役割」)が、野党が協力しあうための政策の基礎になると考えているからである。この「提言」にはそういう目的があることを、「会」代表の柳澤協二さんは、昨年6月に出した本(『新安保法制は日本をどこに導くか』)で、次のように言っている。

 「これは、いま安倍政権が進んでいる道への批判です。同時に、それに対抗する側の政策提言の基礎になると自負しています。先ほど、護憲派が戦争のことをリアルに語ることが大事だと述べましたが、防衛戦略を持つ護憲派になっていくことが、安倍政権に対抗する力をつけていく上で、きわめて大事なのではないかと考えます。是非、多くの方々に読んでいただき、活発に議論してほしいと思います」

 いやあ、この時点で、いまの野党共闘の動きを読んでいたみたい。すごいね。

 「自衛隊を活かす会」って、世論的にはまだあまり認知されていないが、政党や国会議員への働きかけは、特別に重視してきた。シンポジウムの大半は国会の議員会館で開いてきたし、チラシは議員の数だけ印刷し、複数の政党関係者の協力を得て、事前に全戸配布している。これとは別に、各党の政審会長には毎回案内を出している。

 野党関係者には、「提言」をそのまま採用してほしいとは言わないけれど、是非、叩き台にして議論をしてほしい。そうすれば、一番隔たりが大きいと思われていた安全保障政策の分野で、野合論を許さない気持ちよい協力関係が築けるはずなのだ。

 共産党が国民連合政府構想の発表とともに、この連合政府のもとで自衛隊や日米安保条約の活用という方針を打ちだした。そのことがもっと宣伝され、民主や維新の支持者、共産党の支持者に自覚されていけば、野合論はまったく通用しなくなるし、野党が協力するのも当然だということになるだろう。野党間の違いよりも、「提言」と自民党の安全保障政策の違いのほうが、ずっと大きいことに世論が気づいていくはずだ。