2014年12月12日
『月刊グローバル経営』って知らなかったけど、日本在外企業協会というのが発行している雑誌である。この協会、海外に進出して活動する企業のために、いろんな調査、啓発活動をしているらしい。
最新号(12月)は、「中東の光と影」と題する特集がある。寄稿しているのは、駐カタール大使とか元駐シリア大使とか、三菱電機サウジの社長とか。どう見ても、私と関係があるように見えない。まあ、私の同期なんかは、多くが多国籍企業の幹部だから、この雑誌も読んでいるかもしれないけどね。
ところがである。その雑誌に私の本の書評が載ったのだ。『集団的自衛権の焦点 「限定容認」をめぐる50の論点』である。
すごいことだと思ったけれど、でも、自然なのかもしれない。昨日の記事に書いたように、いまは元自民党の議員が、反安倍をかかげて共産党といっしょに選挙に出る時代なのだからね。
だから、多国籍企業の関係者が、集団的自衛権について心配しても当然だと思う。とくに中東でビジネスをやってきた方なら、軍事力を抑制してきた日本の戦後の路線が、中東で高く評価されていることは、誰だって知っているし。
いまや、保守も革新も、大企業の管理職も下っ端の労働者も、ともに反安倍路線で手をつなぐときなのかもしれない。ということで、以下、その書評の内容。書いてくれた方は、大企業の幹部で、芦部先生の憲法の本をいつも手元において勉強しておられるらしい。
『月刊グローバル経営』のBooks欄のコラムは経済関連の著作の書評が中心である。今回は政治、それも憲法問題を取り上げる。
「集団的自衛権の議論については、マスコミで取り上げない日がないほど新聞、TV、雑誌上をにぎわしている。しかし、憲法第9条の解釈を根本的に変える憲法解釈であるが、国民の関心はそれほど高いとは言えない。さらに、尖閣・竹島の領有権問題、北朝鮮の書くの脅威等日本を取り巻く安全保障問題は深刻化しているが、これは今に始まったことではない。何故いま、安倍首相は「積極的平和主義」と従来の憲法解釈の変更による「集団的自衛権」の合憲かについて拙速に進めようとしているのか賛成派と反対派の双方の論点をじっくり勉強しようと考えて、手始めにこの本を読んだ。
「安全保障の法的基盤の整備に関する懇談会」報告書(2014年5月15日)およびこれを受けてその翌日に行われた記者会見に対して、筆者は50の論点を挙げて反論を展開している。それぞれの論点が簡潔に書かれており、これらを読むと集団的自衛権とは何か、個別的自衛権と集団的自衛権等について、一般的な知識と焦点を学ぶことができる。
本書の「はじめに」には、「日本の国を変えるという場合、その主体は19人の大臣ではなく、あくまで私たち国民一人ひとりのはずです」と述べられている。この問題を考えるための入門書である。」
2014年12月11日
本日の朝日新聞、選挙予測の詳しいのが載っていましたね。注目はやはり沖縄でした。何と言っても、小選挙区4区のすべてて自民党候補が負ける可能性があるというわけですから。
1区は共産、2区は社民、3区は生活、4区は元自民。いいですねえ、自民党の良心的な人々と手を組めれば、小選挙区で勝てる可能性があるというわけですから。
私のまわりの一部では、選挙予測報道に失望し、「勝負は一年半後の参議院選挙だ」と言って、相も変わらず民主を軸にした共闘を模索する動きがあります。だけど、それはうまくいかないと思うんですね。野党のなかから、革新勢力と手を組もうという政党があらわれるのは、ちょっと想像できません。
可能性があるのは、すでに実態のある共闘、保守と革新の一点共闘でしょう。問題は、その一点共闘が、運動面での共闘にとどまっていて、まだ政治を変えるための共闘にはなっていないことです。しかし、沖縄のように発展する可能性が、いまのところわずかでも存在するとしたら、そこだけでしょう。
選挙の結果、おごり高ぶった安倍さんが、きっと改憲その他で押してくるでしょう。その時、これまでの一点共闘の成果を土台にして、「もうこんな自民党にはいれない」という方々と意識的に話し合い、共闘のレベルを、「この課題には反対」というものから、「そのために政策を一致させ、いっしょに政治に打って出る」という水準に引き上げるべきだと思います。
そのためにどんな努力が必要なのか。それを沖縄に学んできます。
沖縄行きは1月後半。本のタイトルは、すでにご紹介しましたが、『安倍路線VS保革共闘路線──沖縄に学ぶ』です。乞うご期待。
2014年12月10日
昨日の記事、ただ報道を紹介しただけなのに、この「編集長の冒険」の過去記事のなかで、最大のアクセスでした。記事の最後にフェイスブックの「いいね」の数が表示されますが、500を超えています。
それだけ驚きをもって迎えられたということなんでしょうか。元自衛官が共産党を代表して活動していること、共産党の側が自衛隊員の命を守るというスローガンを掲げていることが、それだけ国民の側から期待されているということなんでしょうね。
私としては、これらを通じて、共産党の方々がナマの自衛官と接する機会が出来てきて、リアルな自衛隊像を持つようになることを期待します。それがリアルな安全保障政策につながっていくと思いますので。
と思っていたら、本日の「赤旗」にも出ていました。連日、自衛官の共産党に対する期待です。自衛隊と共産党の共存が現実のものになってきましたね。
まず1面。トップ記事が秘密保護法の施行にあたって、3人の識者の声なんですが、1人目は憲法研究者の奥平康弘さん、2人目が宮城県白石氏の元市長の川井貞一さん、そして最後が元陸上自衛隊第一空挺団で3等陸曹の湯本知文さんでした。
湯本さん、安倍さんは「欧米諸国と肩を並べて戦争できるくらいの軍事国家をめざしている」と断じます。そして、「今度の総選挙では、安倍首相に対抗する勢力を国会で十分に増やす必要」があるとして、離合集散をくり返す政党を批判し、「安倍首相に対抗できるのは共産党しかない」と述べています。
さらに14面のトップ。「「戦争する国」許さない」という連続インタビューに、元陸上自衛隊1尉の加藤好美さんが登場しています。加藤さんは、自衛隊の裏金作りを内部告発された方で、次のように語っています。
「戦争する国にしていいのか、そのことを今回の選挙で訴えたい。
このままでは自衛隊員の若者たちが他国の戦争に行かされ、いつか命を落とすことになります。私には耐えられない」
「自衛隊員たちは、他国で戦争するなんて思ってきませんでした。専守防衛の組織だと信じてきたのです。それが急に、安倍政権によって変更されました」
「さらに秘密保護法で、政府が戦争すると言ったときに、その根拠となる情報が隠される恐れもあります。……実際、日本政府はイラク戦争で、武装した米兵を空自が輸送したことを隠しました。報道などでのちに暴露されましたが、今後はそうした告発も罪に問われかねません」
「新聞を見ると、自公が議席を増やすという予測もあります。共産党以外の野党は平和や暮らしを守るべきときに何度もブレてきたために、国民の信頼を得られていません」
「私たちにできることは、共産党の議席を増やすことです」
はい。つけ加えることは、何もありません。
投票日から9日後の12月23日(火・祝)、「自衛隊を活かす会」の第4回シンポジウムが日比谷公園内の日比谷図書文化館で開かれます。安倍路線と対決する憲法9条下の「提言」づくりが着々と進んでいます。是非、ご参加ください。
2014年12月9日
記事のタイトルだけを見ると、何を書こうとしているのかと、少し警戒されるかもしれない。だけど、たいしたことではないので、まずご安心を。
いや、本日の「赤旗」を見て、ちょっぴり感動したのだ。総選挙に茨城6区(つくば市とか土浦市)から井上圭一さんという方が立候補していて、本日の「赤旗」に演説が載っているのだが、この方、元自衛官だというのである。陸上自衛隊の霞ヶ浦駐屯地におられて、「有事には戦地に赴く後方支援部隊の〝下士官〟」で、3曹だったとか。泥さんと同じですね。
「日本の平和を守るための専守防衛、時には東日本大震災のような未曾有の災害に身をていしての救援活動──。どれも国民のための重要な任務であり、誇りでした」
井上さんはこう述べる。しかし、集団的自衛権の閣議決定で、それが転換したことを嘆いている。「就業規則違反」のようなものだと断じている。
「自衛隊員のご家族、ご両親の落胆と安倍政権への怒り、憤りを思うと、胸を締めつけられる思いでした」
自衛隊員や家族と心が通い合うような訴えだと思えた。こうじゃないと支持は広がらないよね。
そういえば、京都府の舞鶴市で、11月16日投票で市議選挙があって、共産党は4人全員が当選した。3人から4人への前進である。
その選挙を前にして、共産党の舞鶴地区委員会が看板を出したという記事が、「京都民報」に載っていた。それも感動した。看板に書かれていたのは、
「自衛隊員の生命を全力で守ります」
というスローガンであった。画像は、地区委員会のブログから。
そうですよね。国民のなかで活動していたら、こうなってきますよね。それが今回の選挙での「躍進」が予想される共産党の強みだと思います。
(追伸)
自衛官出身の共産党の国会議員が出てきて、国会の安全保障委員会で防衛大臣と論戦する時代が来れば、日本の安全保障をめぐる議論のありようがだいぶ変わってくるでしょうね。
2014年12月8日
本日の「毎日」の総選挙予測報道は、またまた衝撃的でしたね。自民党だけで3分の2だっていうんですから。暗澹とした気持ちになるというのは、こういうことでしょう。総選挙で勝つことになる政党も、国民全体が暗い気分に落ち込んでしまうことを念頭においてものを言わないと、かなり意識がずれることになりそうです。
ところで、きょうは忙しいので、本の紹介だけです。来年一月に出す予定の本です。
来年一年間、福島でやられている「生業訴訟」にずっとかかわりそうです。いつか記事にも書いたし、このチラシにもありますが、公判の度ごとに講演会をする予定で、講演者の選定とか連絡を私がまかされているのです。
チラシでは、浜矩子さん(原発再稼働で日本経済はよくならない)、白井聡さん(戦後思想史における福島原発事故の位置)、藻谷浩介さん(福島から広がる里山資本主義)が講演者ですが、新たにお一人が決まりました。内田樹さん(3.11が日本になげかけたもの)です。さらにあと一人、誰もが「あっ」という人をオルグ中。
公判では毎回、数百人の原告が集まるのですが、傍聴できるのは数十名ですので、残りの方に別会場で聞いてもらうという趣向です。おそらく、すべてをまとめて、『福島から日本を撃つ』というようなタイトルの本になるかと思います。最後の講演は来年秋なので、出版は3.11の五年を迎える直前でしょうか。
この裁判、いま全国から支援者を集める段階に入ろうとしています。だから、こういう講演会もやっていくわけですが、その第一弾の本が、今回の本です。私まで執筆者に入っていて恥ずかしいです。
支援者を広げていくための本なので、数冊を買ってお友だちにも広げていく、みたいな活用方法をしていただけると幸いです。よろしくお願いします。