安倍さんの「日教組」ヤジを支えるもの

2015年2月24日

 これがネットで流れてきたときは、さすがにびっくりした。しかも、それで委員会が中断せず、それなりに静かに続行されたことには、もっとびっくりした。昨日、訂正答弁があったとはいえ、以前なら、その場で審議が止まって、謝罪するまでは動き始めなかったと思うから。

 こういう安倍さんの姿勢って、これが突飛なワケではない。いろいろな言動があるたびに、ネットでは、反安倍の立場の人たちが、「反知性」「子ども」「こんなのが首相の座にいることが恥ずかしい」と書き込んでいる。

 それには同感するのだが、じゃあ、そういうことを言って、多少でも安倍さんの支持率が下がるのかというと、そんな関係にはない。そこを究明しないと、反安倍勢力が多数を占めていく道筋が見えてこないと思う。

 内田樹さんが、弊社が主催した1月の講演会で、橋下徹人気について語っていた。ゼミの学生たちが橋下支持だというので理由を聞いてみたところ、「言うことが感情的で、すぐに怒るから」とか、「言うことが支離滅裂だから」というものだったというのである。

 それが支持されるというなら、安倍さんが支持される理由も分かる。先ほど書いたけれども、「反知性」「子ども」「こんなのが首相の座にいること」が支持されているわけだ。
 これは、一面では、政治というものがこれまで国民から遠い存在だったけど、それが彼らによって近くなったことを意味している。自分と同水準の人たちが政治をやっていることへの共感だ。

 だから、「頭が悪い」「子どもっぽい」と批判しても、まったく批判にならない。「その通り、だから支持してる」ということになるワケである。逆に、批判する側に対して、「なによ、あんた、自分で頭がいいってのぼせてんじゃない」と批判が寄せられるという感じになってしまう。

 同時に、この背景にあるのは、政治における本音と建前という問題もあると思う。何かというと、かつての政治は、建前重視という面があった。政治家って、自分が不完全だということを隠したがる。常に国民に寄り添っていて、国民のことを考えていてという感じ。国民がテロ集団に人質になっているときは、総理なら官邸に詰め、指示を出し続けるというのが、理想の政治家だった。

 それを辻元さんが追及したわけだけど、国民は、いくら総理と言ったって、そんなことは無理だと分かっている。逆に、「じゃあ、追及する辻元さんは、その間、休養はとらなかったの? 総理は寝ずに仕事すべきだけど、国会議員なら休暇をとっていいんだ」「あんたとこの党首はどうなのよ、その間、何をしていたか明らかにしてみなさい」と思われてしまっている。

 ここを打開するのは容易ではない。左翼の側も、ふつうの人と同じ人間だと思われたり、建前だけじゃない言葉が必要なのはいうまでもない。だけど、それだけじゃダメなんだろうな。

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