共産党・山下さんに2つの質問

2015年12月2日

 東京出張の最後は、「国民連合政府」提案をめぐる共産党の山下書記局長との懇談だった。我が社と同様にマイナーな「季論21」という季刊誌の編集部が主催したもので、時々寄稿している関係で案内が来て、ちょうど出張中だったので参加させていただいた。

 40分ほど山下さんがお話しされ、その後、参加者からの質問とお答え。私は2点を質問した。以下、その質問の概略。

 一つは、戦争法を廃止する国民連合政府という場合、その廃止する戦争法の範囲という問題です。共産党の場合、いうまでもなく先の国会で成立した戦争法の全体を廃止するということだと思います。一方、民主党のなかには、その全体の廃止ではなく、集団的自衛権にかかわる部分の廃止など、一部にとどめるという考え方もあります。

 戦争法には、いま山下さんが説明されたように、集団的自衛権の行使にかかわるものだけではなく、多国籍軍の後方支援にかかわるもの、国連PKOへの参加にかかわるものもあります。その後者2つについていうと、多国籍軍のものはIS空爆への支援という形で、PKOは南スーダンに派遣されている自衛隊への駆けつけ警護任務の付与という形で、非常にリアリティのある問題です。自衛隊が殺し、殺されるという点で見ても、集団的自衛権の行使と変わらない危険性があります。

 一方、憲法違反という角度で見ると、べつの要素も加わります。従来型の護憲派にとってみれば、これらすべてが憲法違反ということになるでしょう。区別できるものではない。しかし、戦争法審議の風向きを変えた衆議院憲法調査会に招かれた憲法学者3人の「戦争法は違憲」発言をとってみると、長谷部さんは、戦争法全体ではなく、集団的自衛権の部分は違憲だという言い方をしています。衆議院の最終盤で維新の党が修正案をつくったとき、小林節さんがこれなら憲法違反ではないといわれたということが、維新の党関係者から伝わりました。

 ということで、戦争法の全体を廃止することを私は望みますが、集団的自衛権の部分に限定するということも、ひとかけらの根拠も道理もないとはいいにくい要素もあるのではないでしょうか。その点、どのように考えられますか。

 もう一つは、その国民連合政府における自衛隊の憲法上の位置づけの問題です。自衛隊は憲法違反なのかどうかということです。

 もちろん、共産党としては、安保条約に対する態度と同様、政党としての考え方は変えないでしょう。憲法違反であって、将来は廃止するということになるでしょう。

 しかし、政権としてはどうなのか。自衛隊は合憲だという政党と違憲だという政党の連合政権だから、自衛隊について憲法上の判断は留保するということになるのか。

 私はそれでは難しいと思います。政権を担えば、総理大臣が自衛隊の最高指揮官です。その最高指揮官が、自分が指揮することになる自衛隊について、憲法違反かどうかは判断できないとなったら、それこそ立憲主義に合致しているか反しているかの判断ができないということになって、政権としては許されないと考えます。 

 この問題について、共産党のお考えを聞かせてください。安保条約に対する党としての態度は変えないけれど、その安保条約にそって政権を運営するというわけですから、内閣としては、そして内閣に参加する共産党の閣僚としては、自衛隊は合憲という以外にないと思いますが、いかがでしょうか。

 山下さんのお答えは、私が勝手に要約できないので、ここでは書かない。明日の「赤旗」をお楽しみに。載るかどうか知りませんが。

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