沖縄の民意を日本の民意にしなくては

2016年1月25日

 宜野湾の市長選挙は残念でした。課題がうきぼりになった選挙でしたね。

 普通の市民の気持ちになれば、普天間基地は一刻も早くなくなってほしいんです。そして、同時にその市民の目には、安倍政権が続く限り、辺野古移設に反対すると、いつまでも普天間基地はなくならないように見えてしまう。

 これまでは、そこを、「大義」で克服してきました。巨大な新基地をつくることが沖縄県民全体への挑戦であって、沖縄のどこであっても移設は許さないことで県民が団結してきたわけです。

 しかしやっぱり、普天間基地を抱える宜野湾の市民は、大義と一刻も早くなくなってほしいという気持ちの間で矛盾を抱えこんでしまう。それで4年前、今回と敗北が続いたわけでしょう。

 ここを克服するのは容易ではありません。いくつもの課題があるでしょう。

 安倍さんは、基地問題は国政の課題であって、一つの市長選挙の結果で左右されるものではないと言ってきました。これは民意に逆らうものではありますけれど、逆の意味での正論でもあると思います。やはり国政の課題なんです。

 その国政で、日本国民が、沖縄に基地を押しつける安倍政権を支持している。そこを覆すことなしに、沖縄の基地問題は解決しないのです。当たり前のことですけれど。

 沖縄を応援するということで、本土からツアーがあったりして、それはそれで大事です。しかし、何のために大事かというと、沖縄の人々を励ますというより、そこで得られたことを、自分が居住する場所で活かしていくことができれば大事だということだと思います。

 自分が居住する場所で、参議院、衆議院の選挙を展望し、自公の候補を倒すための知恵や力をもらってくる。その役に立つようなものであってほしい。そのためになら積極的に沖縄に行ってほしい。

 安倍さんは政権をとっていて、いくらでも法律をつくったり改正したりできます。だから、辺野古への移設を「合法的」に進められるんです。それに対抗しようと思えば、沖縄の民意だけでは足りません。本土の民意が不可欠です。

 あくまで「合法的」に移設を推進してくる安倍政権に対して、どこかで本土から何万、何十万の人々が辺野古に集まって対峙するような状況をつくれるのか。そういう状況をつくるためにも、自分が住んでいるところで、一人ひとりが周りの何百人、何千人を変えていく取り組みが求められるでしょう。

 「沖縄の民意に逆らうのか」と抗議するのではなく、「おらが街の民意に逆らうのか」という水準になったとき、状況が変わるのかもしれません。

 出版社として何をするか。沖縄問題で数冊の本を予定していますが、もっと考え抜かないとね。

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