市民運動と政治は論理が違うのだから

2016年7月13日

 宇都宮さんの東京都知事選出馬をめぐって、いろいろもめているようですね。私は、鳥越さんを支持しますが、宇都宮さんの出馬は温かく見守ってあげればいいという立場です。出馬取りやめを野党が求めたりしなくていい。

 だって、野党共闘は政治の論理で動いているんです。ぜんぜん政策の違う政党が、お互い一致しない部分を留保して(だから、そこでの政策を脇において)、多数をとるために結集している。

 理想を降ろさない市民運動のなかで、これに耐えられない人たちが出て来るのは当然です。宇都宮さんを立てれば理想の政策が掲げられて、気持ちよく投票できるのに、鳥越さんの政策はそういうものにならない可能性だってあるわけですからね。参議院選挙でも、1人区では、原発廃止を掲げる候補者がほとんどいなかったと思いますし、政治はそういうものですから。

 9条と自衛隊をめぐって、この10年間、その同じ問題で悩み続けました。市民運動のなかには自衛隊否定派が多いけれど、運動をしている分には簡単なんです。自衛隊をめぐる意見の違いを超えて、9条を守るためにがんばろうねって。

 でも、選挙で勝つことを考えると、自衛隊解消を掲げる政党と、自衛隊堅持を掲げる政党と、協力しあわないと自民党を倒せない。そうなると、自衛隊を嫌う人たちに、自衛隊を堅持する野党共闘に投票してくださいとお願いすることになるわけです。

 それって絶対イヤだという人がいるわけですよ。だから、そういう人たちが、独自に候補者を擁立するという場合、温かく見守る必要があると思うんです。まあ、分裂するわけですが、降りろって求めると、その分裂が拡大することもあるわけで。

 どんなことがあっても理想は曲げないという方々の努力によって、戦後の市民運動、平和運動は支えられてきました。だから私は、選挙で投票することはありませんが、そういう方々に敬意を払います。

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