政党間協力と政権協力・了

2017年2月3日

 「サンデー毎日」の日米安保問題の根源的見直しを探る連載、次回(7日発売)は、共産党の志位さんと自由党の小沢さんの対談だそうです。対談後の雑談では私の名前も出たとか(反応までは聞いていませんが)。それにしても、柳澤協二さんから始まり(昨年12月14日号)、寺島実郎さんを経て、石破さん、鳩山さん、そして私、さらに志位さん、小沢さんとつながる顔ぶれを現時点で見てみると、安倍政権の安全保障政策に替わる選択肢をどう提示していくのか、どんな枠組みが求められるのかについて、倉重篤郎さんの戦略があらわれていて興味深いですね。石破さんを仲間に入れるための出版も考えなくちゃいけません。ということで、私の連載は最後です。

 前々回、野党共闘政権として新安保法制以前の自民党の防衛政策を丸呑みし、安全保障政策では新安保法制の廃止か継続かだけを選挙の争点にする選択肢を提示した。というか、そうすれば自民党としても野党の政策を批判しにくいので、格差とかを焦点にして選挙を闘えるという考え方だ。防衛政策を豊かにする作業は、政権獲得後に後回しするということだ。

 一方、かつての自民党の政策の丸呑みではあまりに寂しいだろうし、日米安保には手をつけないのだが、安倍政権の政策に替わるそれなりに魅力的な防衛政策をつくるという選択肢もある。政権獲得後ではなく、いまその作業をするということだ。

 民進党はそういう問題意識をもっているようで、すでに「自衛隊を活かす会」としても意見交換をしたし、今後も関係を持っていこうとしている。トランプ政権下で安全保障問題は激動することが予想されるし、「かつての政策に逆戻り」というのでは国民の気持ち的に受け入れにくいかもしれないよね。「こうするんだ」という積極的なものが求められる。

 で、民進党がそういう道を進んでいくとして、共産党はどうするんだろう。「自衛隊を活かす会」にでも接触し、協力していこうというなら、民進党が進もうとしている道との接点が生まれて、防衛政策での野党合意の可能性も広がるかもしれない。

 そうではなくて、これまでと同じように、防衛政策をつくるのに安全保障問題の専門家の意見を聞かず、憲法論の専門家だけでつくるようなら、なかなか共通政策での合意は難しいと思う。合意したとしても、抽象的なものにとどまるのではないか。

 安全保障問題でのガラス細工のような合意は、中国なんかが少し挑発的な動きをしただけで、容易に崩壊する。民主党政権で閣僚を出した社民党が、普天間基地問題で閣外協力に転じ、野党に下って、結局、民主党政権も終末を迎え、社民党も凋落したのはつい数年前のことだ。

 強力な野党共闘政権ができるかどうかは、共産党の決断にかかっていると言っても過言ではない。どうでしょう。

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