北朝鮮ミサイル対応は究極の防衛レッスン・2

2017年3月10日

 次に考えなければならないのは、アメリカが北朝鮮を攻撃する形で紛争が開始される場合だ。今回のミサイル発射で「新段階」に入ったとは思わないが、ここ数年、北朝鮮の核、ミサイル開発の進歩は著しく、アメリカ国内では、その完成前に北朝鮮のミサイル基地を叩いておこうという議論が出ている。

 これまでもそういう議論はあった。だけど、そこに踏み切れなかった理由の一つは、その攻撃によってすべてのミサイル基地を破壊できないことが明白だったからだ。一つでもミサイルが残ってしまえば、そのミサイルによる報復を受けることになるので、ためらいがあったわけだ。中国やロシアが反対するだろうから、その面での制約もある。

 そこを乗り越え、もしアメリカが北朝鮮を攻撃するとなると、北朝鮮は玉砕覚悟で韓国に攻め入る可能性がある。そして、化学兵器などが使われ、事態が惨憺たるものになるだろう。

 しかしこの場合、日本にとって大事なことは、在日米軍基地の使用は許さないということだ。そこは野党共闘の政権といえども、譲ってはならないと思う。

 そもそもこれは国際法上許されないアメリカ側からの先制攻撃、侵略にあたる。前回の記事で想定した事態は、北朝鮮側からの先制攻撃で始まるわけだから、それを批判する立場に立つことが当然だったわけだが、誰が侵略するのであれ、侵略を否定する立場に立つのは当然である。

 しかもこの場合、米本土に達するミサイルを完成させないという、アメリカのみの国益を考えた行動である。これまで韓国全土が射程に入っても、日本全土を射程に入れるミサイルが完成しても、アメリカは対応しなかった。まさに「アメリカファースト」のみが基準であり(まあ当然といえば当然だが)となっているわけだから、そこにお付き合いする必要はない。

 さらに、先ほど述べたように、この攻撃ですべてのミサイルを破壊する可能性はほとんどない。そして、残ったミサイルは、アメリカまで届かないわけだから、在日米軍基地を標的にすることが考えられる。そして基地周辺に落下することもあり得るわけだ。

 アメリカの国益のために日本国民が犠牲になるわけだから、やはり選択肢は「反対」しかない。これまで日本は、アメリカの戦争に一度も反対したことがないから、野党共闘政権に参加する各党のなかには躊躇もあるだろう。しかし、侵略は誰がしても反対だし、日本の国益を犯す戦争にも反対だということで、国際法と国益を大事にする野党を売りにして、自民党とは違う優れた選択肢として提示していくべきだと感じる。(続)

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