『加藤周一最終講義』校了

2013年11月26日

 ようやく終わりました。あとは出来上がりを待つだけです。

 12月5日(加藤さんの命日です)に納品されてきますので、それ以降、ここで注文が可能になります。本屋さんに並ぶのは、20日頃になるでしょうか。もう少し早いかも。

 表紙の出来もいいでしょ。佛教大学の最終講義の終了後、贈呈された花束をもっておられるんです。著作権継承者の方から、「こんないい表情をした叔父は見たことがない」と言われました。京都の関係者に言わせると、「京都に来られたときは、こんな表情になるんだ」ということでしたけれど。

cover

 加藤さんの本を編集させていただいたのは、すごく光栄です。かもがわ出版に入社して以来、こういう日が来ることを期待はしていましたが、実現するとは思いもしませんでした。

 私にとっての加藤さんは、やはり『日本文学史序説』です。高校生の頃、「朝日ジャーナル」に連載されていたんです。ちゃんと読んだとまではいいませんが、知性を自慢したい学生にとって必携でしたよね。大学に入って1年目、永原慶二先生の歴史の授業を受けたとき、先生が「みんな、どんな読み物が好きなのかな? 私は連載中の「日本文学史序説」」とおっしゃって、教室が拍手喝采に包まれたことを覚えています。

 それと、だいぶ時間がたつまで知りませんでしたが、私の実家にあった『世界大百科事典』(平凡社)は、加藤さんが編集長でした。自分で購入したのは、そのCD-ROM版ですが、信頼性という点では、その後に出てきた時点を凌駕していたと思います。ずっと活用していました。

 かもがわに入社して、加藤さんの近くに在る機会もあったのですが、やはり直接に声をかけるのは畏れ多いし、言葉を交わすことはありませんでした。ましてや、本の編集ということになると、私のような新参者がかかわることなど、あり得ないことでしたし。

 本来なら、本をつくるにあたっては、著者である加藤さんの綿密な校正を経なければなりません。それができなかったのは残念ですが、この機会に、今回の本の細部を編集するため、いろんな過去の本を再読しながら、「どういう論理で証明していくのか」とか、「どんな言葉遣いをしておられたのか」とか、そんな視点で眺めることができ、とっても勉強になりました。

 今回の本が評価を得られれば、第2弾、第3弾もあり得ます。是非、ご購入いただき、広げてください。

記事のコメントは現在受け付けておりません。
ご意見・ご感想はこちらからお願いします

コメント