2015年9月3日
昨日、気仙沼で戦争法案反対の集会で講演。予定通り、民主、維新、共産の県議会議員が参加し、挨拶しておられた。
いやあ、録音していたわけではないけれど、誰が話しているかを知らせないで「どの党の挨拶か」と聞いたら、きっと当てられる人はあまりいないだろうね。それほど、共通する内容の挨拶だった。
安倍政権を打倒するために協力しあうことが必要なことについて、少なくない人が一致するだろう。だけど、野党を見渡すと、政策上の「違い」があまりに大きくて、選挙で協力しあうなんてとっても無理だろうというのが、大方の見方だろ思われる。そして、これまでなら、その「違い」の最大のものが、安全保障政策だったわけだ。
いまでもそれは変わらない。だって、自衛隊が憲法に違反するかしないかという、いわば立憲主義の根本で違うのだから。だけど、この戦争法案に反対する闘争、国会での議論を通じて、他のどの政策分野と比べると、安全保障政策で野党に接近が見られるのが、最近の特徴であると思われる。まだまだ違いは大きいけれど、わが「自衛隊を活かす会」の提言をベースにしてもらえば(すでに紹介したが、7月28日のシンポには、民主、維新、共産、生活、元気の各党が挨拶に来てくれたし)、なんとか協力し合えるのではないだろうか。
これから焦点になるのは、来年の参議院選挙でどうするかである。たとえ法案が通ったとしても、衆議院と参議院と両方で承認されないと、自衛隊は海外に出動できない。参議院で自公を過半数割れに追い込めば、戦争法案は無力化するということだ。
常識的にいえば、参議院で自公を過半数割れに追い込むために野党が協力するというのは、「政権共闘」である。そして、政権共闘というのは、基本的な分野で政策が一致することによって、ようやく実現する。
だけど、次の参議院選挙というのは、政権を変える選挙ではない。たとえ野党が圧倒的多数を占めても、衆議院で自公が三分の二を占めるわけだから、政権は変わらないのだ。
だから、参議院選挙で戦争法案発動阻止で野党が協力し合うのは、政権共闘ではない。一点共闘の枠内といえるのではないか。ほかの政策分野で大きな違いがあっても、戦争法案発動阻止で協力し合えるのではないか。そうしても、「基本政策で一致しない限り国政選挙で共闘できない」という建前と、そう大きくは矛盾しないのではないか。どうなんでしょうね。
2015年9月2日
本日、いまから昼過ぎまで、東京事務所の会議。その後、夜に宮城県気仙沼市で戦争法案に反対する集会があって、そこに向かう。
先日、講演時間は80分(+質疑)を予定していたが、60分になったとの連絡があった。冒頭で挨拶する人が増えたというのだ。
その予定表を見て、びっくり。民主党、維新の党、共産党、社民党の方などが勢揃いしそう。いやあ、講演時間が減って、うれしいなあ。
何があっても、安倍さんは数で押し切るのだろうけれど、その安倍さんにとっても予想外のことがいろいろあっただろう。こうやって、野党総結集という状況が生まれたのも、そのひとつ。
衆院での再議決を念頭に、9月末まで国会を延長したのも、予想外の方向に働いている。学生や先生が夏休みなものだから、時間がたっぷりあって、運動の中心に座ることになった。それが、運動のありようを大きく変えた。
これまでは、安倍政治の退場と叫んでも、それに変わる首相を提示できないので、現実味のないスローガンだった。しかし、いまのべたことどもが積み重なって、少し見えてきているよね。
次に選挙があったとき(今年の東北の地方選挙や来年の参議院選挙)、少なくとも、野党同士で、「あの党の戦争法案反対はニセ者」というような決めつけはなくなるだろう。それは、自民党と公明党を落とすのに、それなりの力になる。
そして、参議院で自公が過半数を割れば、戦争法案が成立し、自衛隊を送ろうとしても、その国会承認ができなくなる。衆参両院の議決がないと、派遣できないので。
そうすると、安倍政権に変わる政権というのが、リアリティをもって浮上するかもしれない。ワクワクする政治状況が、これからつくりだされていく。
2015年9月1日
昨日から東京。明日は気仙沼に向かうけれど、それ以外、今週はずっと東京。
昨日は、『マルクスならいまの世界をどう論じるか』という本を書いてもらうため、その筆者と会っていた。いまどき、そんな本が売れるのかと思われるかもしれないが、きっとそこそこ売れると思っている。
だって、最近、問題をマルクス主義的に分析することを公言する本って、ほとんどみかけなくなった。たとえばテロ問題。貧困だとか格差だとか、マルクスであろうが誰であろうが口にするような分析はあるけれども、イスラム諸国では生産関係がどうなっているのかとか、階級はどうなっているのかとか、そんな視点で分析したものって、ほとんど見かけない。
中国をどう見るかについても同様だ。政権党が共産党だとか、指導部が社会主義だと言っているとかなんてのは、マルクス主義にとっては何の意味もない。基準になるのは現実の生産関係がどうなっていて、どういう方向に動いているのかだろう。
そういう、律儀にマルクス主義って感じで、本を書いていただくつもりだ。どうなるだろう。
夜は「自衛隊を活かす会」の会議。秋以降、どんな取り組みをするのかを議論していた。
一つは、「戦場における自衛隊員の法的地位」をめぐる問題だ。国会審議のなかで、後方支援する自衛隊員が相手に捕まっても捕虜になれないのだ、という政府答弁があった。一般的に自衛隊員は軍隊構成員とみなされ、捕虜になる資格はあるのだが(これも政府答弁にある)、政府によると、後方支援は戦争行為ではないので、相手に敵対する行為でもなく、捕らえたら捕虜にするのという以前に、そんな自衛隊員を捕らえること自体が間違いなので解放を求めるという。
なんと現実離れしているんだろう。そんな認識で戦場に派遣される自衛隊員はたまったものではないということで、その問題を深めたい。軍法会議の問題も、それなしに普通裁判所でやっているドイツの事例なんてのも、なんとか調べられないかと思っている。
もう一つは、「南スーダンPKOの任務変更」。統合幕僚監部の資料が明るみにでているけれど、実際、任務変更をしたらどうなるかという問題を、スーダン人とかも交えて議論したい。
2015年8月27日
内田樹先生、石川康宏先生とです。昨年は芦屋だったんですが、今回は、内田先生のご自宅に近いJR摂津本山にいい場所を見つけたので、そこで。
暑気払いですので、難しい仕事の話はほどほどにして、来年の楽しい「マルクス・ツアー」について語り合います。その結果をふまえ、ツアーのことを表に出します。
「必ず参加するから募集前だけど入れておいてね」と、内々に私に伝えてこられた方も複数おられました。ちゃんと枠は確保しています。まあ、賄賂をもらったわけでもないし、それくらいいいでしょ。
ツアーといえば、「自衛隊を活かす会」でやるかもしれません。新安保法制がらみか、あるいは明文改憲にかかわるようなものになるか、そこはまだ何とも言えませんが、ワシントンに行って、アーミテージさんとかにものをいう機会をつくりたいんですよね。その際、そういう場を目撃したいという方を募って、ツアーをするという企画です。これは、相手が出てくるかどうか分からないので、まだまだ準備に時間がかかります。
これが実現した場合は、「伊勢崎賢治ジャズヒケシinNY」がセットになります。伊勢崎さんはブルーノートでトランペットを吹くのが夢だとか。さすがに、場所がそこになるのは簡単ではありませんが、可能性はあると思います。
忙しいときは、やはり夢を見ないとね。さ、仕事仕事。