2015年7月2日

 とりあえず、こんなタイトルにしてみました。たくさんご意見をお寄せいただきましたが、「九条に言及してほしい」というのが一番多かったので、それを取り入れました。まだ最終確定には時間がありますので、引き続きよろしく。営業部門から、書店向けに何がウリなのか文書を書いてほしいといわれたので、サッと書いて送りました。以下の通りです。

井上圭一著チラシ

共産党と自衛隊って、水と油という感じがしませんか? 共産党って、自衛隊は違憲だと主張する、いまや日本で唯一の政党ですから、そう感じるのが普通です。

ところが、安倍内閣が集団的自衛権の行使に突きすすむなかで、大きな変化が生まれています。かもがわ出版も、つい半年前、元自衛官・泥憲和さんの『安倍首相から「日本」を取り戻せ!』を出版したのはご存じの通り。「さよなら安倍政権」シリーズの最初の巻を書いていただいた柳澤協二さん(元防衛官僚)が代表を務める「自衛隊を活かす会」がありますが、これって護憲団体なんです。いま、各地で、元自衛官が、「後輩をムダに死なすな」と起ち上がっています。

一方、共産党の側も、「自衛官を殺すな」と街頭で演説するまでになりました。そしてとうとう、今度は自衛官が共産党の議員になったんです。井上圭一さん。霞ヶ浦駐屯地で陸上自衛官を九年間務めた方ですが、この春の土浦市議会選挙に共産党から立候補し、当選したんですよ。

常識的に捉えると、自衛官だった過去を否定して、共産党の議員になると思いますよね。だけど違うんです。井上さんは、自衛官の頃からずっと憲法九条を大切にしてきて、新入隊員に銃の扱いを教える時も、まず九条の話をしたそうです。「自衛隊は最大の護憲団体だ」という人もいますが、戦争になったら最初に死ぬのが自衛官なのですから、言い得て妙だと感じます。

そういう井上さんだったから、自衛官を退職し、いろいろ仕事をするなかで、憲法九条を守ると主張して活動している共産党に入るのは、あまりにも当然のことだったそうです。自衛官だっただから共産党の議員になったようなものだと言っておられます。そして、日本が集団的自衛権を行使する国になろうとしているいま、後輩の自衛官を絶対に戦死させたくないとして、自分が共産党員であることをオモテに出し、市議会議員になったのです。

本書は、そういう井上さんの思い、主張を満載しています。眼からウロコとは本書のためにあるような言葉です。お薦めです。

2015年7月1日

 昨日、ブログを書く時間がありませんでした。東京にいて、午前中も会議で、夕方からも会議で、最終の新幹線に乗ってビールを飲んだら、こてっと寝ちゃったんです。

 昼間は何をしていたかというと、ひとつは、「通販生活」にインタビューを受けていました。『慰安婦問題をこれで終わらせる。』についてWEB版で紹介していただけるとのことで、書いた動機とか、刊行後の反響(というか左右ともウラではいろいろ言っているけれど、公然と表で論争をふっかけてこない理由に関する推測)とかを話してきました。

 もうひとつが、このタイトルに書いたようなことです。それを考えている人(とっても影響力のある人です)のお話を伺って、私の意見を言ってきました。

 廃案をめざすという立場からすると、法案が通ることなど考えちゃダメという考え方もあると思います。敗北主義だという、昔懐かしい批判もありうるでしょう。私にしても、数回前のブログで書いたように、この問題では、次の参議院選挙で自民党を倒すだけの、いわば反安倍保革連合の芽が出てくるなら、あるいは自衛官の総反撃がはじまるなら、そう簡単に可決に持ち込めないと思い、出版の分野でも(あまり書いていませんが、沖縄の保革連合成立の経過をまとめた本は、今年中にできる見通しです。共産党議員になった自衛官の本も間に合わせます)個人的にも(自衛隊を活かす会が月末に新安保法制批判のシンポをやりますが元幹部自衛官3人そろい踏みです)いろいろやっています。

 ただ、成立することを見越して、次のことを考えるような人も、こういう問題では必要です。とりわけ政治に携わる人にとっては不可欠です。可決されたその日に、次の一手を提示しなければならないわけですから、考えていないとすると政治家失格。

 これまで、たとえば秘密保護法で世論が盛り上がっても、法律が成立して移行、これを主題にした闘いは目立ちません。私なんかは、いろいろ成立しても、反安倍保革連合の政府でぜんぶ廃案にすればいいと考えがちなんですが、政権取りって、現状からすると望み薄で、真剣になれない人の方が多いと思うんです。

 昨日お話を伺った人は、集団的自衛権を行使してはならないことを、どうやって運動化して実現するかを真剣に考えておられました。誰も考えてこなかったやり方だと思います。8月以降には、それがオモテに出てくるでしょうから、びっくりしないでくださいね。

2015年6月29日

 予告しておきましたが、本日発売の「週刊東洋経済」誌上で、小林よしのりさんとの対談が載りました。何と4ページにもわたる大型対談。目次欄も、ご覧のような大型です。

IMG_0022

 見出しが、「慰安婦問題 右も左も大間違い」ですって。刺激的かと思いましたが、対談の中身がそうなんだから、仕方ないですよね。

 本日は出張中の東京で、忙しいです。これだけ。買ってくださいね。

2015年6月26日

 最近の自民党議員の言動は目に余る。安保法制を批判する小林よしのりさんを講師にした勉強会は中止に追い込まれる一方、あの百田氏を講演会に呼んで、沖縄の2紙をつぶせと盛り上がったり。そこでは、マスコミを懲らしめるため、広告収入を途絶えさせようという意見も出たという。いやはや。それへの批判は他の人にまかせる。

 安保法制に関する国会の答弁もひどい。とりわけ、三人の憲法学者に違憲だと指摘されて以降、いろいろと合憲説を出してくるけれど、人によってバラバラだし、平気で謝罪するし。答弁が揺れているけれど、別にそれをたいしたことだとも思っていないようだ。

 結局、みくびっているわけだ。ひどい答弁をしても、矛盾をつかれても、世論的に追い込まれても、国会での多数は自分たちのものだ。国民のみなさんから選挙で支持されたのだ。だからいつでも可決できるから、答弁がひどくても構わないのだ。そういうおごりがある。

 だから、先日も書いたように、今度選挙をやれば、自民党を敗北に追い込めるような対決構図をつくることが大事だ。それを頭のどこかに置いて、闘うことが大事だ。

 同時に、いまの局面って、ただ自民党がおごっているだけではない。ゆるみもある。何があっても法案を通せるから、頭も使わない。

 憲法審査会であの三人を呼んだ経過がいろいろ取りざたされているけれども、その奥底にあるのは、ゆるみだと思う。ものを決めるのに、慎重にいろいろ考えて判断しなくてもいいので、ボヤッとしている面がある。この時期、憲法審査会で立憲主義について議論するとなれば、当然、安保法制についての議論になると考えが及ぶべきなのだが(だから民主党はそういう質問をしたのだ)、自民党は何も考えなかったわけだ。

 そういう点では、このゆるみを見逃さず、闘う必要があると感じる。明日から出張だけど、来年の参議院選挙でどんな候補者を立てるべきかってことも、いろいろ相談されそうだ。

2015年6月25日

 自衛官と共産党の本では、メールも含め、いろいろご提案をいただいています。ありがとうございます。それをふまえ、考えますので、引き続きよろしくお願いします。本日は別の話題。

 すでに書いたことだけど、歴史認識をめぐる安倍談話に関する本を執筆中で、いろいろ調べている。本日、外務省のホームページに、「先の大戦をめぐる諸問題 (外務省まとめ)」というのがあるのを知って、早速アクセスしてみた。そうしたら、なんと、次のようなものが表示された。

ページが見つかりませんでした。
申し訳ありませんが、ご指定のページは移動したか、削除された可能性があります。
お手数をおかけしますが、「トップページ」または「サイトマップ」から再度お探しください。何卒ご了承ください。

 う〜ん。「トップページ」または「サイトマップ」からも探したけれど、このテーマでまとまったページはなくなったみたいだね。安倍さんの歴史認識見直しは、こういうところにも影響を与えているのかもしれない。

 もちろん、歴史問題がなくなったわけではない。だが、存在する場所でも、かなり立ち位置が変わったのではないかと思えるものがある。

 たとえば、「歴史問題Q&A」というところがある。そこで、次のような質問があげられている。

 「先の大戦に対して、日本政府はどのような歴史認識を持っていますか」

 これに対する答はこうだ。

 「我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。我が国はこの歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切なる反省と心からのお詫びの気持ちを常に心に刻みつつ、……」

 これって、もう村山談話の立場じゃないんだよね。村山談話の該当箇所は以下のようなものだ。

 「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、……」

 どこが違うか分かるだろうか。そう、村山談話にあった「国策を誤り」という箇所が、すっぽりと削除されているのだ。

 侵略だったと認めただけでなく、「国の政策が間違っていた」ということが、村山談話の最大の特徴だった。それなのに、もうそれは日本政府の公式の立場ではないということだろう。マスコミでも安倍談話と関連して問題になるのは、「侵略」「反省」「お詫び」だけなので、気にかかっていたんだけどね。

 いやあ、ちゃんと本を書かないとね。忙しいけど、がんばります。