『営業より』
「生きづらさ」が可視化されたロスジェネ世代、新自由主義による自己責任論がはびこり、社会から排除されたことによる苦境も、自らの意思によるものと思わされた。
その象徴的な出来事として2008年に秋葉原無差別殺傷事件は発生した。事件を起こしたのは、当時25歳の非正規労働者・加藤智大。
それから15年後の現在、状況はますます悪化している。当時から比べ非正規労働者は400万人増え、非正規雇用率は4割に迫る勢いだ。それなのに連帯は生まれない。
秋葉原事件後、無差別殺傷事件の連鎖は、次第にターゲットを明確にし、相模原障害者施設殺傷事件、京アニ放火事件、小田急線乗客死傷事件、ウトロ放火事件などが起きる。
そして2022年に加藤智大と同世代の山上徹也によって安倍晋三元首相暗殺事件が起こされ、翌年には岸田文雄首相への爆発物投下事件が起きる。
安倍晋三元首相暗殺事件から18日後、加藤智大死刑囚の死刑が執行された…。
9月に刊行される『秋葉原事件を忘れない この国はテロの連鎖へと向かうのか』では、政治学者の中島岳志、作家で反貧困ネットワーク世話人の雨宮処凛、批評家の杉田俊介、精神科医の斎藤環、芥川賞作家の平野啓一郎といった、この問題を論ずるにおいて最高峰である著者陣がメンバーチェンジしながら対談、鼎談を行い、新自由主義に取り込まれた社会と人間の有り様を深くえぐる。
ロスジェネ以降の奪われ続けた世代の鬱屈が政治テロへの連鎖に繋がり、それに
よって治安維持権力が拡大し、言論の自由が失われようとしている。だからこそ、秋葉原事件とその後の15年を検証することは、この国の立ち位置を見定める作業になるはずである。
状況は絶望的に思えるが、そこからは、民主主義や死刑制度、SNSやヘイトの有り方を含め、どうやってこれを乗りこえるのか、許容し包摂する社会へと向かうヒントも浮かび上がってくる。
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