グアムへ向かうミサイルも撃ち落とせない

2014年3月28日

 活字を表に出し、公衆の批判にさらすことは大事ですね。昨日の記事について専門家からご指摘を受けましたので、それを書いておきます。

 安倍さんは、米本土に向かうミサイルは撃ち落とせないのだと説得され、昨年までは、じゃあグアムだということだったらしいのです。たとえば、昨年の2月27日の参議院予算委員会では、以下のようにのべていたそうです。

 「ミサイル防衛において、日本に飛んでくるものは(撃ち)落とすけれども、グアムに飛んでいくものは(撃ち)落とすことができてもパスをしてしまう。これでもう相当たくさんの死者が出る。日米同盟はその段階において大変な危機を、終わるかもしれないという危機を迎える」

 ところが、日本が保有する迎撃システムは、一〇〇〇キロくらいの射程のミサイルを対象にして設計されているそうです。米本土はもちろんグアムに向かうミサイルも、飛行高度が異なるので、対応できないということです。そのことは政府も質問主意書に対する答弁書で公式に認めています。

 「我が国が現在導入している弾道ミサイル防衛システムは、スタンダード・ミサイルSM-3搭載イージス艦とペトリオット・ミサイルPAC-3により、我が国に飛来する射程約千キロメートル級の弾道ミサイルに対処し得るよう設計されているが、グアムや米国本土といった、我が国から遠距離にある地域へ向かうような弾道ミサイルは高々度を高速度で飛翔するため、このような弾道ミサイルを迎撃することは技術的に極めて困難である」
(昨年8月13日)

 ということで、現在、安倍さんは、最近では、「それが技術的に将来は可能になる場合」のためだと言い始めています。今年2月10日の衆議院予算委員会では、「もし将来、技術的にそれが可能となった場合、グアムあるいはハワイに向かっていくミサイルについて撃ち落とす能力があるのに撃ち落とすことはできないのか」とのべたとか。

 いやあ、すごいですね。今後は武器技術開発でも、アメリカ本土までをも守ることを目標にするんですかね。

 それと大事なことは、現在の日本のミサイル防衛システムは、あくまで日本防衛用だということです。これが配備されたとき、さんざん「アメリカ防衛用だ」と主張した人がいましたが、そうではないということです。

 ブログを書いていると、いろんな貴重な情報が寄せられます。最近では、中国が尖閣に対するオペレーションを4月に予定しているという、まじめな情報もメールで教えてもらいました。日本周辺の安全保障問題、眼が離せません。

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