『放射線被曝の理科・社会──4年目の「福島の真実」』上

2014年8月11日

 先週は中国、九州を回ったわけだが、今週は東京。今朝は午前10時から日本大学歯学部で、本の編集会議である。

 何の本かというと、この記事のタイトルにあるもの。といっても、その編集会議で決まったばかりなんだけどね。著者は、児玉一八、清水修二、野口邦和の3氏。

 急に決まった本である。サブタイトルからも推測できるように、「美味しんぼ」騒動が直接の動機だ。放射線被曝の影響をどうみるかについては、4年目を迎えるいまになっても、ホットなテーマであり続けているということが、「美味しんぼ」問題を通じてはっきりしたということで、関係者が「やはり出さねば」と決意し、この本をつくることになった。

 「理科・社会」とあるのは、この問題をよくあらわしている。放射線被曝は、どの程度の被曝によってどんな影響があるのかということでいえば、まさに「理科」の問題である。しかし、その影響の程度をどう評価するかということになると、価値判断が入り込んでくるので、「社会」の問題にもなってくる。両方の角度から論じないとダメな問題なのである。

 この会議で教えてもらったが、航空機の客室乗務員がガンになる率の調査というものがある。よく知られているように、航空機って、低線量被曝が継続する場所だから、ちゃんと調査しているんだね。

 その結果をみると、一部に(ほんの一部に)例外があるとはいえ、客室乗務員のガンになる率は、一般人より低いのである。低線量被曝しているのだから、ガンにかかりやすいのに、実際はそうなっていない。

 なぜそうなるのかといえば、ガンになるには別の要因の方が多いからである。仕事に意欲をもってやっているとか、休暇を思いっきりうまく使っているとか、労働時間が適正であるとか、そういう要素があると、低線量被曝の多い客室乗務員がガンになりにくいわけだ。

 その調査結果についてのグラフは、この本に載せることになる。そういうことを、いろいろな角度で立証していくというのが、この本の目的になる。

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