「なりわいネット」ニュースへの寄稿

2015年11月25日

 私が関わっている「「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟」(生業訴訟)では、支援者のネットワークとして「なりわいネット」をつくっています。私はその呼びかけ人です。最近講演していただいた内田樹先生にも呼びかけ人になってもらいました。そこがニュースを刊行するので、短い記事を書きました。以下、その記事です。

 生業訴訟との直接の関わりは二つあります。原告団・弁護団の本を3冊出していることと、公判の度ごとに実施される講演会の講師をお呼びしていることです。

 3.11のあと、原発事故に関わる本を出し続け、20冊程度にはなっているでしょうか。初期に出した『福島は訴える』の著者の一人が、後に生業訴訟の原告団長となる中島孝さんで、事故から半年ほどたって浜通りを訪ねたとき知り合いになりました。

 本を出すのは出版社ですから当然です。1年目の3.11の日、弊社の著者である蓮池透さん、伊勢崎賢治さんに呼びかけ、相馬市で講演会とジャズコンサートを開き、旅行社に協力してもらって200名のツアーも実施しました。それ以来、2年目(相馬市)、3年目(福島市)もイベントをやり、4年目は生業訴訟の連続講演に関わりました。来年、5年目の3.11は、いわき市でイベント(寺尾紗穂さんのピアノコンサートと池田香代子さんのお話)をして、浜通りを北上するツアーに取り組みます。

 こんなことを書いていると、「福島のためにがんばっている人」と言われそうですが、実感は違います。1年目の3.11を前にして、「その日は福島にいなければならない」という強い思いが湧いてきたのです。そうでないと自分の人生ではないというか、納得できないというか。だから、言葉は悪いですけれど、自分自身のためなんです。

 けれども、今年の連続講演に取り組んでみて、そう考えるのが自分だけではないことに気づきました。浜矩子さん、白井聡さん、藻谷浩介さん、大友良英さん、内田樹さん、そして来年1月の想田和弘さんと、みなさん著名で忙しい方ばかりで、普通に本の執筆を頼むということなら、引き受けていただくのはそう簡単ではありません。しかし、福島に来て、原告を前にお話ししていただきたいと依頼したら、「非常に光栄です」「福島を訪れて何かやりたかった」「呼びかけてくれてありがとう」「これだけは断れない」と、みなさん自分のこととして受けとめ、引き受けてくださったのです。実際にお話しされた内容も、この方は被害者を前にするとこんなお話しをするのだと伝わってくるもので、闘う原告と心を通わせるような、その場でしか聞けないものでした。

 これら講演をまとめて、来年の3.11までに本のしたいと考えています。タイトルは『福島が日本を超える日』(仮)。原告の闘いが新しい日本をつくることにつながっていることを世に問いたいと思います。

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