年末年始解散は、ない

2016年10月5日

 前回総選挙から年末で2年経つから、一般的には何でもあり得る。野党に対する牽制をしたいという思惑から、いろいろ言う人もいるだろう。

 だけど、年末年始はない。12月の山口会談で成果を出して解散というシナリオが前提になっているだけに、それはない。

 だって、北方領土問題で何らかの前進、合意があるとすると、2島先行返還というものしかない。本日の朝日新聞でロシアの元駐日大使が書いているが、歯舞と色丹は返還を前提としてその条件協議を開始し、国後と択捉は帰属問題を継続協議するというやり方しかない。その合意をもって最終的な平和条約となるのか、あるいはそこへ向かう中間的な性格の条約となるかは難しいが、やり方はそれしかない。

 私自身は、もしそれで合意できるとすると、安倍さんを高く評価する立場だ。シベリア鉄道を北海道まで延伸するとか、いろいろな経済案件が出ていることも含め、「よくやった」と言ってあげたい。

 だけど、4島一括しかないと言われ続けてきた日本国民がどう思うかは、まったく別である。いま紹介したロシア大使の主張する内容は、鈴木宗男氏などが模索したものだが、それに対して政治の世界でははげしいバッシングが浴びせかけられた。共産党までがそれに加わった。

 だから、この案が国民の支持を得るとすると、現段階で、それを容認するための世論づくりが不可欠だろう。ロシアとの関係を考えれば2島だけでも仕方ないよねという世論を醸成した上で、残りの2島もすぐには帰らないけれど可能性を残したという結果が出たとき、「安倍さんはスゴイ」と思わせるように持っていくしかない。

 だけど、そういう動きは、私には見えない。まったく見えない。

 衆議院も参議院も3分の2を確保したわけだが、自民党の幹部のなかで、次も3分の2を獲得することが簡単だと思っている人はいないと思う。参議院は1人区で2対1という結果だったが、300近い衆議院の1人区で同じ結果が出たとして、ようやく3分の2ということになる。

 それに加えて、衆議院でも比例代表部分があるのだ。いまの力関係、勢いであっても、そこで3分の2は取れない。となると、全体でも3分の2には達しない。

 日ロ首脳会談の結果を国民のほとんどが褒め称えるなら、達するような状況もあるだろう。だけど、これまでの世論工作が聞いていて、どんなに頑張ってもそこまでにはならないと思う。

 ということで、野党には、枠組み先行ではなく、時間がかかってもいいから、真剣に政策協議を進めてほしい。安全保障政策も忘れずにね。

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