生業訴訟には人の連帯を深める力がある

2017年3月21日

 昨日より福島に来ております。生業訴訟が提起されて今月でちょうど4年、本日が結審なのです。私も傍聴予定です。

 昨日、前夜集会とレセプションがあり、そこでお話ししたことを書いておきます。このタイトルのことです。

 生業訴訟で私が紹介されるとき、毎回の裁判に有名人を呼んできてくれてありがとうという、そんな感謝されている文脈で出てきます。それは事実で、これまで何の結びつきもなかった方々に連絡をとり、生業訴訟について話を聞いてもらい、来ていただくことで合意するというのは、そう簡単なプロセスではありません。

 しかし、私にしてみれば、感謝されると言われても、あまり実感がない。それよりも、私のほうが感謝していますというのが正直な気持ちです。

 だって、普通だったら弊社のような小さな会社が接触し、本を書いてくださいとお願いしても、おそらくそれは実現しないような方々ばかりです。それが、生業訴訟で講演してくださいとお願いしたら快諾してくださり、さらにそれを本にしてくれるわけですから、感謝感謝なのです。

 前回(1月)にお呼びした鳩山由紀夫元総理の話をしておきましょう。鳩山さんに最初にお会いしたのは昨年9月でした。大田昌秀元沖縄県知事などと「沖縄謀反」(仮)のようなタイトルの本をつくろうということで、那覇市で座談会をやったときです。その際、せっかくお会いしたわけだし、生業訴訟には有名人が来ていましたが、政治家は「オール沖縄」の仲里衆議院議員だけだったので、元総理という肩書の方には意味があると思って、お誘いしたのです。快諾していただきました。なぜ菅直人さんではないのかと聞かれましたが、菅さんだと責任追及の対象になるかもしれませんしね。

 それで年末の裁判の時、次にお呼びするのは鳩山さんだと、恒例の裁判所前集会でお伝えしたのです。そうしたら、参加していた原告の方から、「エーっ!」という反応でした。鳩山さんって、普天間基地の県外移設の公約を裏切りましたが、沖縄においては、県外移設に現実味を持たせてくれたし、総理をやめたあとも沖縄行脚をしておられて、好感を持って迎えられていたのです。だけど、それは沖縄止まりで、福島を含む本土の方にはとうてい受け入れられる話ではなかったのでしょう。

 それで1月に福島にお呼びする際、新幹線で一緒にやってきて、お昼ご飯も一緒にして、いろいろお話ししました。要するに、「抑止力のことを学べば学ぶほど…」として県外移設公約を裏切った責任について深く反省的に総括し、それをどう生かすのかについて、まとまった本を書いてほしいということでした。

 普通、4か月前に初めてお会いした方に対して、「反省しろよな」なんて言えないでしょう。元総理大臣なんだし、よけいにです。だけど、少なくとも生業訴訟にいっしょに関わっているという点で、こころざしは共有しているわけです。沖縄と同じく政府の強権と闘っている福島の人が、このままの鳩山さんではダメだと感じていて、私はその気持ちを伝えなければならない。

 その甲斐あって、鳩山さんには、本を書いていただくことになったのです。対談本ですが、対談相手は、鳩山さんの抑止力発言を批判して7年前に論壇デビューした柳澤協二さん。『抑止力のことを学び抜いたら、究極の正解は「最低でも国外」』。

 ということで、鳩山さんがこの本を出すことになったのは、生業訴訟があったからなんです。このブログ記事のタイトルにあるように、生業訴訟には人を連帯させる力があるからなんです。本日結審で、判決は9月頃でしょうか。昨日、結審後の闘いが大事だというお話がありましたので、気を引き締めて臨みたいと思います。

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