安倍改憲の行方でカギをにぎるのは共産党

2017年5月12日

 本日の「赤旗」に志位さんの記者会見の内容が載っていた。それを見て、このタイトルで書いたようなことを強く感じた次第である。

 何の報道だったか忘れたが、自民党は、もう民進党を追い詰めることには成功したので、次の標的を共産党に据えたと書いてあった。そうだろうと思う。最近の支持率などを見ても、ほとんど変わらなくなっているものね。

 それで、自民党が共産党を批判するとしたら、自衛隊と憲法9条の問題になることは明らかだ。先日の参議院予算委員会でも、安倍さんは、共産党が自衛隊違憲論をとっていることを、9条3項に自衛隊のことを書き込む根拠にしていた。

 共産党の小池さんの対応がしっかりしていたので、安倍さんは勝てなかったけれど(というか、総理と総裁を使い分けしないとダメなので、突っ込めないという面もあっただろう)、それなりの存在感を発揮している共産党が確固とした自衛隊違憲論なので、自衛隊合憲が国民合意になっているとは言えない状態にあることは事実だ。自衛隊に憲法上の位置づけを与えて、自衛官が日陰者だと言われる余地をなくそうという訴えは、それなりに響くものと思われる。

 それと関連するのが、なぜ自衛隊のことを憲法に書き込んではいけないのかという点での、共産党の論拠である。志位さんはこれについて、「単に存在する自衛隊の憲法上の追認にとどまりません」として、「国際の平和と日本の独立を確保するために自衛隊を保持する」と書き込んだら、「海外における武力行使は文字通り無制限となります」と主張した。小池さんの質問も、「自衛隊の存在をただ追認するだけにはとどまらない」として、「海外での武力行使に対する制約がなくなってしまう」と追及した。

 先日の「安倍首相の9条改憲案」という記事で書いたように、そこには論拠はあるのだ。自衛隊、自衛権と書くことによって、集団的自衛権まで認められるというのは、これまでの自民党の論理だったわけだから。

 ただ、問題は、志位さんも小池さんも言っている「単に存在する自衛隊の憲法上の追認にとどまりません」「自衛隊の存在をただ追認するだけにはとどまらない」ということである。これは、「とどまらない」ことが問題だとする立場だが、じゃあ、「とどまればいいのか」ということだ。今後の論戦では、もし「追認にとどまるような改憲案だったら問題ではないのか」ということが問われてくるということだ。

 おそらく、「追認にとどまるような案をつくるのは無理だ」ということになるのだろう。けれど、いずれにせよ、どう対応するにせよ、「共産党は自衛隊を書き込むことにはどんなに抑制的に書くものであっても反対という立場だ」というキャンペーンが張られることになるだろうということだ。冒頭で書いた共産党標的論は、この分野で展開されていく。

 そういう立場は国民感情と乖離しているから、突破するのは簡単ではない。どう対応していくのか、注目しておきたい。出版社としても、ここにどう回答を持つのか、大事な問題だ。

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