大田昌秀さん、安らかにお眠りください

2017年6月13日

 初めてお会いしたのが昨年の9月、那覇市にある国際平和研究所だった。元総理の鳩山友起夫さん、沖縄独立論の松島泰勝さん、平和学者の木村朗さんとの座談会をやって、構造的沖縄差別と言われる現状を告発する本を出そうという企画でお邪魔したのである。

 まず近くのホテルでお昼にラーメンを食べながら打合せして、研究所まで向かった。近い距離とはいえ、90歳を越える大田さんに歩かせるわけにはいかないと思ったのだが、スタスタとというわけにはいかないけれど、お元気に歩いていかれた。

 その後、11月にも2回目の座談会。両方とも3時間を超えたのだが、沖縄戦のことなどここまで覚えておられるのかと感嘆するほど頭脳明晰だし、終了後にはビールを振る舞われるなど気配りもしていただいたし、ずっとお元気でいるものと思い込んでいた。

 今年に入り、座談会で語り尽くせなかったことを4人の筆者には論文でまとめていただき、ようやく最近、初校ゲラをやり取りできた。そして、昨日の朝、再校ゲラを沖縄に郵送した直後、訃報に接することになったのである。

 この本で大田さんがどんなことを言っておられるのか、著者のお一人に沖縄の新聞社から取材があったらしい。そうだよね。大田さんの遺作というか、遺言のようなものになるわけだから。

 ずっと沖縄県民の立場にたって闘ってこられた。しかし、沖縄差別は解消するどころか、どんどん深まっていく。その中での苦悩と告発が、この本の中には満ちていると思う。

 タイトルは『沖縄謀叛』。帯の周りは少し変わるかもしれませんが、これが基本である。

okinawa0606-mihon のコピー

 「謀叛」って、時の権力者に逆らって兵を起こすことだ。権力者って、自分で法律をつくれるわけだから、常に合法性の側に立てる。その場合、民衆は謀叛を起こして、みずから権力を奪取することしか道がない。沖縄では自民党の国会議員はゼロなのだから、全国で沖縄と気持ちが共有できたら、それは可能だ。

 そんな気持ちを込めてタイトルを用意しまた。この本を広く普及することで、大田さんのご遺志に応えたいと思います。8月刊行予定です。
 
 合掌。

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