高知で議論した憲法問題

2013年5月7日

 高知に3泊もしてきました。充実の4日間でした。

 今年の憲法記念日の講演会は、全国各地でたくさんの人が集まったようですが、高知も例外ではありません。会場の定員を超える230人ほどが参加されました。

 『憲法九条の軍事戦略』を出して以降、出版記念講演会を除くと、最初の講演会です。出版記念講演会というのは、この本の趣旨を支持していたり、少なくとも知りたいという方々が来られますが、一般の講演会では、当然のことながら、趣旨に反対だという方も参加されます。

 ただ、そういう方々も含め、議論を起こさなければ護憲の戦線は強くならないというのが本を出した動機ですから、いろんな意見を出してほしかったのです。

 その思惑通り、時間は短かったのですが、多様な意見が出されました。軍隊は絶対に国民を守らないという点をもっと打ちだすべきだなどの意見も、当然のこととしてありました。一方、これまでは「自衛隊は人殺しの軍隊だ。だから災害救援隊に改編すべきだ」と熱心に訴えてきた方が、「講演を聞いてもっと深く考えないとダメだと思った」とのべられもしました。

 マスコミの方も熱心でしたね。生まれてはじめてテレビに私の講演する様子が映り、話している言葉も聞こえてきました。いや恥ずかしい。

 ある新聞は、「松竹氏は、護憲派も自衛隊のあり方を検討すべきだと訴えた」と書きました。よく聞いていてくださったんですね。この記者は、私に電話をかけてきて、「護憲派に向かってこういうことを話すなんて、勇気がありますね。敬服します」ですって。

 そうですね、あまり意識はしませんでしたが、勇気は必要かもしれません。自衛隊を嫌う護憲派に囲まれて、軍隊の問題点だけをしゃべっていたら、まわりはみんな褒めてくれるし、楽なんですよ。

 でも、それだと、気がついたら、完璧な少数派ということになりかねない。日に日に自衛隊縮小廃止派は少なくなっているわけですからね。

 だから、嫌われても、たたかれても、議論を興すようにしたいと思います。ただ、議論してはいても、護憲という目標と気持ちは共通のものがあるということは、お互いに忘れてはならないと思います。相手の見解を真剣に学び、尊重するというのは、多数派を形成するには欠かせないことでしょう。護憲派がまた内部で抗争しているなんて見られたら最悪です。

 いえ、改憲派のなかにだって、尊重すべき見解があります。侵略できるようにするために改憲するって考えている人なんて、ほとんどいませんから。アメリカのいいなりにならない軍事戦略のためにとか、真剣に考えている人もいるんです。今回の本は、そういう改憲派との議論のたたき台にもなると思います。

記事のコメントは現在受け付けておりません。
ご意見・ご感想はこちらからお願いします

コメント