高知で見てきた税金の話

2013年5月9日

 高知に行ったとき、某新聞記者の方から、「是非、自由民権記念館を見学すべきだ」と勧められたんです。それで翌日、長時間かけて見てきました。

 いやあ、充実していました。高知の自由と独立の伝統って、こうやって血肉になっているんだなって思わされました。

 仕事に関係して面白かったのは、楠瀬喜多(くすのせ・きた)の話でした。参政権と税金の話です。

 高知が婦人参政権の先駆けとなったことは、耳学問で知っていました。明治時代に一時期、実現されたんですよね。

 でもそれが、税金とかかわった話だというのは、見学するまで知らなかったんです。展示物を見て分かったことは以下のとおり。

 喜多は明治7年に夫が死亡し、戸主になったんですね。それで立志社などの演説会にも参加するなど、民権派にも接近していたようです。戸主ですから税金も納めていて、総選挙がおこなわれた明治11年、当然のこととして投票に行ったら、女性には参政権がないんだと拒否されたというわけです。

 喜多はそれに納得できず、税金を納めるのをやめてしまった。税金を納めなさいと督促が来るわけですが、それに対して、権利と義務は両立するものだから、権利がないなら納税もしないと県に申し出て、争ったわけです。

 それが全国紙で取り上げられて大問題になり、高知県内でも実現に奔走してくれる人があらわれ、特定の村で実現したんですね。でもそれは明治政府が、直後に取り上げてしまい、第二次大戦が終わってようやく全国的に実現することになったというわけです。

 いやいや、やはり税金って、どの国でもこの時期、同じ思想が生まれ、同じようなたたかいが繰り広げられたんですね。他の展示物などを見ると、税金の負担軽減を求めるたたかいが特徴的なんですが、税金を払うから権利をよこせというたたかいがあったことに、とっても感動しました。これが税金の性格を転換させることになるんですね。

 学校図書館向けに準備している本にも、これは生かせるでしょう。もっと勉強しなくちゃね。

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