『大崎事件は問いかける』が第69回JCJ大賞受賞

大崎事件は問いかける

日本ジャーナリスト会議(JCJ)が優れたジャーナリズムの報道や作品を顕彰する第69回JCJ大賞に、弊社の『大崎事件は問いかける—これからの再審のかたち』(鴨志田祐美著、2025年10月刊、356頁)が選ばれました。
著者の鴨志田祐美さんは、鹿児島・大崎町で男性の遺体が見つかった「大崎事件」の再審弁護人を2004年以来務めています。日弁連の再審法改正運動では牽引役を果たし、2026年7月の法改正実現に力を尽くしました。
大崎事件では、義姉の原口アヤ子さんが殺人罪などに問われ、有罪判決が確定して10年服役後も無実を訴え、再審を求め続けています。
これまでに3度、再審開始が認められたものの、検察の抗告でいずれも取り
消され、最高裁は第4次再審請求も棄却しました。しかし、1人が反対意見で「再審を開始すべきだ」としました。
現在、99歳となったアヤ子さんの長女が第5次再審請求を闘っています。
鴨志田さんは受賞を受け、「これを機に多くの方がこの本を手に取り、大崎事件は間違いなく冤罪であり、アヤ子さんのために裁判をやり直さなけ
ればならない、と誰もが確信し、彼女の命あるうちに再審無罪のゴールにたどり着く追い風になってほしい」としています。
受賞した本には、大崎事件に関わってきた映画監督の周防正行さんも「アヤ子さんの思いを胸に」と題して寄稿しています。
 
 
 
※アヤ子さんの誕生日に駆けつけた鴨志田さん(上)と袴田ひで子さん
=2025年6月、鹿児島県志布志市で
 
 

JCJには、以下のように講評していただきました。
 
大賞『大崎事件は問いかけるーーこれからの再審のかたち』 
なぜ、この悲痛な叫びが届かないのか。いったんは開きかけた再審の扉が、ふたたび閉ざされたのはなぜなのか。半世紀にも及ぶ無罪の叫びと、叩き続ける「再審の扉」。
家族の一員を殺害したとして逮捕された原口アヤ子さんの「大崎事件」の裏側には、障害者や女性に対する差別が薄暗く巣食っている。
アヤ子さんは冤罪を訴えながら懲役10年の刑に服し、出所後も無罪の叫びを止めない。
判決に不信を抱き、いまや98歳になったアヤ子さんの冤罪を晴らそうとして伴走し続ける著者の、冤罪の根拠・証拠を示しながらの詳細にして鬼気迫る追及。これは冤罪を作り出す警察と検察への告発の書でもある。
冤罪事件多発と、それに伴う今回の「再審法改正」への疑問を辿りながら、冤罪防止のための展望も視野に入れた本書は、まさに現代司法の根本に迫るジャーナリスティックな成果として、「JCJ大賞」にふさわしいと言うべきである。