『営業より』
「放課後等デイサービス」は、障がいのある学齢期児童が放課後や長期休みに通える施設です。施設で提供される様々なプログラムを通して、生活能力の向上や地域交流などを支援するのが目的です。2012年4月に児童福祉法に基づく福祉サービスとして開始されました。児童福祉法に基づき、主に福祉面をサポートし、NPO法人や企業が施設運営を行います。
5月に刊行された『放課後等デイサービスガイドブック』は、放課後等デイサービスの運営ついて、わかりやすく解説するガイドブックです。
本書の編者である「全国放課後連」は、障害のある子どもたちの放課後保障活動に関わる事業所、保護者、研究者が集まり1970年代から活動を続け、2004年に法人化された、この領域における唯一の組織です。
2017年に刊行された前著『放課後等デイサービスハンドブック』は、放課後等デイサービス事業の役割、放課後活動の実践、事業所の運営、制度の概要やそのポイントなどをわかりやすく解説した入門書です。こちらは事業所運営の手引書として、現在でも多くの方に使っていただいています。
前著が刊行された2017年に約9千あった放課後等デイサービスの事業所は、2023年には、2万を超えました。主な原因は、知的障がいのある子が増えていることです。内閣府の資料によると2000年に12.5万人だった知的障害児の人数は、2016年には22.5万人とほぼ倍増しています。
企業も参入し、大量に開設された事業所の質は玉石混交の様相で、利益を求めすぎて本来の活動をしない事業所や、不正請求をして営業停止になる施設も少なくありません。
そういった経緯を受け、より良いサービスを提供し、質の高い事業所運営がなされるよう2024年に放課後等デイサービスガイドラインが改定されました。
今回刊行された『放課後等デイサービスガイドブック』では、ガイドライン改訂を受け、急速に増加し、多様化する放課後等デイサービスの実践の質を高めるためのガイドブックです。
子どもの権利の視点から放課後活動が目指すもの、子どもの育ちを支える実践、支援計画の作成、制度の現状と課題について、前著刊行以降の子どもを取り巻く社会的状況の変化を踏まえて解説しています。
前著を入門編とすると、今回はより質の高い支援を提供するための実践編という位置づけになります。
前著を購入された方も含め、放課後等デイサービスに関わる全ての方に読んでいただきたい書籍です。