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『営業より

子どもの本でジェンダーレッスン

10月に刊行された『子どもの本でジェンダーレッスン 学びたいあなたのためのブックガイド』は、ジェンダーの観点から読んでほしい児童書をテーマごとに選書し解説を加えたブックガイドです。
執筆は、ジェンダー学のほかに、文学、宗教学、美術史学、幼児教育学、絵本学の研究をバックボーンに持つ5名の専門家が分担しています。
ブックガイド1では、下記にある8つのカテゴリーを設けて本を紹介します。
「装いの力」
生活必需品である服は、身体を保護するだけではありません。装いは、自分らしさを表現するアイテムであると同時に、個人に社会規範を押し付けるために使われることもあります。そんな装いに関する本を紹介します。
「プリンセスたちの挑戦」
美しいドレス、幸せな結婚といった古典的なプリンセス・ストーリ―は、ルッキズムと男性への依存を女の子に刷り込んできました。しかし最近のプリンセスたちは、ただ王子様を待つだけでなく、主体的に行動し、困難を乗り越える力をもっています。女の子をエンパワーメントしてくれるプリンセス・ストーリをご紹介します。
「知恵ある魔女」
邪悪なイメージでときに男性を誘惑し、魔女狩りで排除されてきた魔女の根底には、反フェミニズムの思想が潜んでいます。ここでは、賢者として魔女を捉え、ファンタジーの世界で活躍する魔女のお話を紹介します。
「家族のかたち」
家族の形は大きく変化しています。専業主婦は減り、単身世帯は増え、離婚や再婚も増加しています。また近年では、同性カップルへの理解も深まっています。こちらでは多様な家族をめぐる物語をご紹介します。
「男らしさってなんだろう」
自己の向上の源となり、社会的な成功につながることもある「男らしさ」ですが、勝つことでしか自分を肯定できない、感情を抑え弱さを隠す、他人や女性を攻撃するといった負の側面もあります。そんな男性の生きづらさを考える本を紹介します。
『戦争とジェンダー』
戦争は、男には兵士としての勇敢さを、女には男性への献身を求めます。また戦場では男性から女性への性暴力も発生します。ここでは、平和であること、戦争の加害と被害、いまなお続く戦争についての本を紹介します。
「女の子のいる場所」
かつては家庭内に閉じ込められ、教育や職業選択の自由も制限されていた女性。20世紀後半以降にジェンダー平等は進みましたが、国や地域でその度合いは大きく異なります。過去や様々な地域における女性の地位向上への闘いの物語を紹介します。
「わたしの性を生きる」
LGBTQという言葉がようやく認知されるようになった昨今、その先にはSOGIという性的多様性を社会全体の課題として捉える考えが広まりつつあります。誰であれ「自分である」ことを肯定できる世界を目指す物語を紹介します。
ブックガイド2では、ジェンダーについてもっと知りたい方のために特におすすめしたい本を紹介します。
「1 中学生以上向け読み物」と「2 大人向け読み物」では、ジェンダーの歴史や現代の問題を扱う入門書などを紹介します。
「3 小説・エッセイ・まんが」では、ジェンダーやセクシュアリティをテーマにした本を紹介します。
全体を通して百数十冊の本を紹介し、キーワードによる索引や近年刊行された性教育の本を紹介したコラム、専門用語を解説した用語集、作品名と人名の索引なども掲載しています。
子どもに本を手渡す立場にある親、教師、司書はもとより、ジェンダーについての入門書としても読んでいただけるすぐれたブックガイドです。