2015年6月24日
以前、共産党議員になった元自衛官の本を出すことを宣言しました。順調に進んでいて、8月には出せそうです。新安保法制の議論が真っ盛りのなかに出ていくので、注目されると思います。
じつは、ブログで書いたときは、まだ議員ではなかったんです。4月の統一地方選挙で当選したのです(落選したら本にならなかったわけで、有権者のみなさんに感謝)。茨城県の土浦で市議会議員になりました。井上圭一さんといいます。
井上さん、自衛官を9年間務めたのですが、ずっと憲法9条にもとづいて隊員としてやってきたことを誇りに思っています。新入隊員に銃の扱いを教える時も、9条を語り、国民のそれを向けてはならないと語ってきた。
そうやって9条を大事にする気持ちがあったから、自衛官を辞めたあと、そのままスーッと共産党に近づいたというんです。これって、一時期だったら違和感があったかもしれないけれど、いまは納得という人が多いのではないでしょうか。
憲法記念日でしたか、大阪、京都、兵庫と掛け持ちしました。兵庫の集会に行ったとき、元議員だった方に、「松竹さん、伊丹の駐屯地で「みなさんの命を守ります」と演説したんだけど、私がそんな演説するなんて、数年前では考えられなかった。松竹さんの自衛隊論が通用する時代になりましたね」と声を掛けられました。いえ、国民のなかでは以前から通用していたんですけど。
さて、難しいのは、本のタイトルです。読者のみなさん、案をお寄せください。私の案は、こういうものです。
『自衛官としての誇りがあります。だから共産党の議員になりました。』
明日は表紙の写真撮影です。迷彩服ですか? たすきを掛けた街頭演説風ですか?
2015年6月23日
20日の「自衛隊を活かす会」関西企画は盛況でした。元陸将の渡邊隆さんが、「世が世なら、このような場所に出てこなかったでしょう」とおっしゃってましたが、市民運動と幹部自衛官が同席する場を提供できたというところに、「自衛隊を活かす会」でなければできない役割があると思いました。
この日のために、大阪から十数人、その他東京から岡山まで十数人、スタッフもかけつけてくれました。みんなボランティアでして、そういう方々の努力で「会」が成り立っています。本当にありがとうございました。
企画の終わりかけに「質問用紙」がひとつ寄せられました。そこでは、「今度の参議院選挙に「会」から候補者を出さないのか?」というのがありました。それを見た瞬間はびっくりしましたけれど、なるほどなあとも思いました。
多くの方が、参議院選挙の一人区で護憲の統一候補者が立てられないかと、いろいろ悩んでおられます。私から見ると、護憲政党がいくら集まって協議してもまとまらないだろうし、そもそも協議の場につくこともできないと思うので、あまり本気にしてきませんでした。
だけど、自公の候補者に対して、自衛官(もちろん元職でしょうが)が大挙して立候補し、対決する構図ができれば、かなり雰囲気が変わるかもしれません。自衛官を戦争で海外に送るやり方に賛成か反対かが選挙の争点であることが、誰の目にも分かる。そういう改憲を許すのか許さないのかが、選挙の争点になってくる。
もちろん、それは現時点では困難です。だけど、そうなるかならないかは、いまの安保法制をめぐる闘争の行方にかかっているのだと思います。運動のなかで、保守も革新も、そして自衛官もふくめて闘いが広がっていき、この法案を通さない(通ってしまっても廃止する)ための協力関係ができあがれば、自然とそういう方向に進んでくる可能性があります。
先日、デモクラTVの本会議に出たのですが、共産党の井上哲士さんがゲストで出演され、一点共闘について語っていました。沖縄の総選挙で元自民党と共産党の共闘ができたのも、知事選でそういう運動が盛り上がり、その延長線上に総選挙があったからだとおっしゃってました。
「会」代表の柳澤協二さんは、弊社から出した法案批判の本『新安保法制は日本をどこに導くか』で、「会」が出した「提言」について、「(安倍政権)に対抗する側の政策提言の基礎になる」とのべています。そうなんです。安倍さんに対抗して候補者をまとめようとしたとき、すでに政策は準備されているのです。
会期が95日間も延長され、自公は必死です。だけど大事なことは、この闘いのなかでどんな協力関係が築けるのかです。来年の参議院選挙の一人区で勝利できるような基盤がつくれれば、たとえ法案が可決されることがあっても、それを廃止する展望ができてきます。逆に、そういう共闘ができそうになり、このままでは選挙に勝てないかもしれないと与党に思わせることができたら、今国会で容易に強行採決することも難しくなるのではないでしょうか。
2015年6月22日
小林よしのりさんがやっておられる「ゴー宣道場」。その8月2日の道場にゲストとして招かれてしまいました。
前回6月は、宮台真司さんと東浩紀さんですからね。圧倒的に知名度の低い(ないに等しい)私などを呼んで、営業的に大丈夫かなと、いらぬ心配をしちゃうんですが……。
テーマは、『戦中・戦後の倫理を問う』。「倫理」を「戦争や植民地の問題に結び付けて考えてみたい」とされています。
参加するには、課題図書が3つあるそうです。
『慰安婦問題をこれで終わらせる』(松竹伸幸)
『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(笹幸恵)
『卑怯者の島』(小林よしのり)
「この3冊には、それぞれ戦場や植民地での倫理観が問われ、
まさに深掘りするためのヒントが隠されている」
「ゴー宣道場」のホームページで、そう書かれています。
慰安婦問題を解決するために一番大事なのは、世論の大きな分裂を終わらせ、「この解決策だったら容認する」という人を多数にすることだと思います。これだけ世論が分裂したままだと、どんな解決策を政府が提示しても、左か右かに重大な異論が残ってしまい、政府案は支持されず、元の木阿弥になってしまう。
そうしないためには、もう問題は終わったと思っている圧倒的多数の保守派、右派、中間派のみなさんと対話し、河野談話の線まで戻ってきてもらうことが大事だと感じます。93年に発表された当時は河野談話を攻撃していた左派、市民運動の側が、いま河野談話を否定する右派をいくら責め立てても、「否定していたのはおまえだろ」と言われたら、そこまでです。
だから右派、保守派との対話が必要だと私は思うのですが、残念ながら、対話しようという左派はあらわれませんね。ただただ糾弾する相手だと思っている。それって、慰安婦問題でこの20年、左派への支持が減り続けてきたのと同じ構図なんですけどね。
結果は分かりませんが、私はそこに飛び込んでいきます。「ゴー宣」道場への参加申込みは、ホームページからできますので、応援してくださる方は、是非どうぞ。
2015年6月19日
先日、「安倍談話と村山談話をめぐる40章」を書き始めると予告したけれど、そのうち10章分を一応書き終えた。「侵略とはそもそも何か」という部分。
ここは現在のような意味をもって「侵略」という言葉が使われるようになった一九一九年から、侵略の定義が最終的に固まった二〇一〇年まで、合計で九一年間の経緯を振り返ったものである。国連総会でのやりとりなど細かいものも含むけれど、深く理解するためには不可欠だと考えた。だから合計で1万4千字もある。その章のタイトルだけ、紹介しておく。
第1章
「侵略」という用語は、いつ誕生したのでしょうか。それ以前は「侵略」は存在しなかったのですか。
第2章
「侵略」という用語がベルサイユ条約にあらわれたのには、どのような背景、事情があったのでしょうか。
第3章
「侵略」の定義が固まるのは、いつ、どんな文書によってなのですか。どんな経過をたどるのですか。
第4章
国連憲章では「侵略」はどのように定義されているのですか。それはどのような考え方にもとづくものですか。
第5章
戦後ずっと侵略の罪を裁く機運がしぼんでいたのに、国連総会で「侵略の定義」決議ができたのはなぜですか。
第6章
「侵略の定義」決議の概要を教えてください。この決議のどこが重要ですか。問題点はあるのですか。
第7章
「侵略の定義」決議は簡単に合意できたのですか。作成過程では、どんなことが議論になったのですか。
第8章
「武力攻撃」と「武力の行使」という言葉が出てきますが、このふたつは同じものですか、違うものですか。
第9章
国連総会決議では拘束力がないという問題は、国際刑事裁判所規程によって克服されたと考えていいですか。
第10章
侵略を認定する安保理の権限と、侵略を裁く国際刑事裁判所の関係は、結局どうなったのでしょうか。
安倍さんの談話がどんなものになるかを8月15日に確認し、それも含む資料を入れた上で、17日に印刷所入稿という感じかな。それだと、まだ話題が継続していると思われる8月中に、本ができあがってくる。
2015年6月18日
そうです。関西企画「新安保法制で日本は危なくなる!?」は、明後日(20日)午後1時30分より、場所は大阪市福島市民会館大ホール(環状線野田駅近く)です。
ネットをボヤッと見ていると、「この松竹というのは、改憲派が護憲派に送り込んだスパイだ」というのを発見したりします。「その証拠に、貧しい出版社につとめているくせに、どこからカネが出るのか、出版とは関係ないことをいろいろやっている」として、「証拠」まで提出されたりします。本当にネットというのは暇人が集う場だと思います。それに、いろいろやってますけど、出版でも社内の稼ぎ頭なんですけどね。まあ、注目されるだけ光栄だということにしておきましょう。
私は、別に、自衛隊を全体として否定的に見る従来の護憲派の方々の考えを変えようとは思っていません。国民のなかでは圧倒的多数を占める自衛隊を肯定する人々を、自衛隊を肯定するという考えはそのままにして、護憲派に加わってもらおうとしているだけです。さらにいえば、従来の護憲派の方々と、自衛隊を肯定する護憲派が、気持ちよく協力しあう関係をつくりだそうとしているだけです。
だから、「九条の会」と「自衛隊を活かす会」が、共催で何かをやるなんてことを、国民投票までには実現したいと考えています。今回の関西企画は、そこまでは行きませんでしたが(まだ「自衛隊を活かす会」が広く知られていないので当然ですが)、大阪、京都、兵庫の九条の会の事務局長にご挨拶に行き、それぞれ個人として名前を出していただき、「自衛隊を活かす会の関西企画を成功させる会」をつくってもらったわけです。本当は「連帯する会」くらいにまでなるならうれしかったわけですが、はじめてのことなので、これで精一杯だと思います。
いずれにせよ、関西企画は、伝統的な護憲派と、新しく生まれた護憲派がコラボする場になると思います。それが国民のみなさんの目に見えるようなかたちで実現するところに意味があると感じます。是非、ご参加ください。
あと、夜の伊勢﨑賢治ジャズヒケシin北新地は、参加申込みを打ち切りました。関西企画の会場で若干の当日券を発売しますが、本当に若干です。ご容赦ください。