2015年4月2日

 昨日、午前の出張仕事が終わり、東京事務所に立ち寄ってみたら、小学館からこんなものが届いていました。何か分かりますか?

KIMG0133

 そうなんです。今度私が出す本なんですけど、ちょっと安っぽいですよね。これ、私はこの業界にいながら知らなかったのですけど(大手出版社だけしかやらないと思うので)、プルーフ本というらしいです。プルーフって、もともと「証拠」ですけれど、この場合は「校正刷り」。まだ校了していない(だから部分的には内容が確定していないところもある)段階で、それを本のかたちにして、宣伝のために使っちゃおうというものです。それを渡されたんだから、ブログでも宣伝しなくっちゃ。

 これでお分かりのように、最終的なタイトルは、『慰安婦問題をこれで終わらせる。』になりました。サブタイトルは「理想と、妥協する責任、その隘路から。」。なんだか、著者と編集者の思いがつまったタイトルであり、帯文ですよね。

 このブログでは、タイトルについてこれまで、あくまで仮でしたが、『慰安婦問題の終わらせかた』と書いてきましたよね。何人かにご意見を伺ったのですが、伊勢崎賢治さんは、「終わらせかた」の方が主観性が排除されている感じでいいとおっしゃり、池田香代子さんは「これで終わらせる」の方が主観が強調されていていいとおっしゃり、同じことを理由にふたつに分かれるという結果になりました。ああ、難しい。

 結果としてこれになったのですが、この写真では全然伝わりませんけど、実はカバーがすごく美しいんです。そのおかげで、「これで終わらせる」が持つギラツキ感が和らいで、メッセージ性もあり、ソフトで受け入れやすさもあり、という感じに仕上がっていると思います。デザイナーさん、ありがとうございます。

 内容については、本の売上げにつながるようなら、おいおい書いていきます。「売り」は、いろいろ言えると思います。

 たとえば、朝日新聞も読売新聞も、慰安婦問題について言っていることは、あまり変わりがないよねとか。「まさか」って思うでしょ。

 でも、そうなんですよ。この本では、読売はもちろん産経新聞だって、「正論」や「諸君」や「文藝春秋」だって、たくさんの引用が出てきます。それって、批判するために引用しているのではなくて、評価するためのものなんです。

 とりわけ、悩みながらこの本を書いてきて、最後の結論部分というか、どうやって終わらせるかという提案の部分で、「これで書ける」と確信できたのは、じつは産経を読んでいたときでした。産経だって、真剣にメモをとりながら読んだんですよ。

 この問題は、20年来の対立のなかで、お互い、対立する陣営の意見なんか、聞く耳を持たないという状態だったと思います。ましてや、相手に学ぼうという姿勢は皆無だったと思います。

 さて、相手に学んだ結論は、どんなものになっているでしょうか。ご期待ください。

 四六判256ページ、本体価格1500円+税=1620円。25日頃から書店に並ぶ予定です。

2015年4月1日

 本日は朝から東京出張。バタバタと動き回る予定。

 まず午前中は、学校図書館向けの本の編集プロダクションである。数年前、この仕事に参入し、現在、毎年2冊を刊行している。今年も2冊の予定で、順調に準備を進めていたのだが、いまの局面からすると、イスラムのことが分かる本が学校図書館向けにも必要だと感じたのである。

 だけど、いまの弊社の力量からすると、毎年3冊を出すのは難しい。いろんな研究者とのつながりはあるから、テキストは完成するとは思うのだが、それを本として仕上げていくのが簡単ではない。普通の本の組版なら、インデザインを使って私でもできるのだけれど、学校図書館向けの本って、専門のデザイナーの仕事なのである。それも学校図書館に受けいられるようなデザインが求められるから、専門家がそれほどいるわけではない。

 そこを開発するのが、本日の仕事。はじめての方にお会いしに行くのである。

 その後、午後のはじめは、雑誌『教育』関係で人と会う。東京事務所で1時間ほどかな。

 さらに、来月参加するツアーの打合せ。来月21日から、池田香代子さんと訪ねるアウシュビッツ・ドイツ平和と文学の旅に参加予定。こんな忙しいときに、9日間も旅行できるかどうか不安があるのだが、言い出しっぺということもあり、どんなツアーにするのか、旅行社と打合せをしておかねばならない。これが本の出版につながるかどうかは、まったく見通せないけど、私の骨休めになったら、それも仕事にとってプラスだと思い込むことにする。

 そして夜は、某テレビ局の有名ニュースキャスターにお会いする。さて、テレビ出演という話になるのかどうか。

 明日は、「さよなら安倍政権」シリーズの著者に会ったりして、夕方は、大阪の福島区民センターへ。6月20日の「自衛隊を活かす会」関西企画の会場である。下見をしておかないと、はじめて使う会場で、不手際があったら困るからね。

 明後日から8日間ほどは、京都で日常の仕事。その後、また東京に何泊もする出張へとつづく予定。

 忙しいので、ブログも手抜きである。では、また。

2015年3月31日

 沖縄に先ほど仕事のメールを出したら、「いま大浦湾の船の上!」って返事が来た。本当に毎日が緊迫しているよね。

 この問題は、どこまでいっても、法律の枠内での争いにとどまっていると、形式的な合法性は国の側にあるということになる可能性が高い。前知事による埋め立て手続き許可に瑕疵がなかったかどうかを第3者委員会が検証し、承認を取り消す案が議論されているが、これとて防衛省が国土交通大臣に不服審査を申したてることができるため、今回、農水大臣が沖縄県の指示を停止したのと同じような結果になる可能性が高いわけである。しかも、もし法律の方に沖縄にとって有利なものがあったとしたら、国会における3分の2で法律を改正してくるだろう。

 だから、結局この問題は、最後は実力勝負になると思う。身体を張って基地建設を阻止するという闘いになる。留置所の定員を何倍、何十倍も超えるほど警察に拘束される人が大量に出るとか、そのなかに県知事をはじめ沖縄の全国会議員、全市町村長、そして全国的な有名人が大量に含まれるとか、そういうふうになってアメリカや安倍さんがうろたえるという局面をつくりだしていくしかないだろう。

 そういう局面がやがて生まれるとして、いま現在の闘いの意味がどこにあるかというと、その局面で身体を張った闘いに国民の支持が集まるようにするところにある。国が「合法性」を売り物にしてきたとしても、「あまりにもひどいよね」「いくら合法でも国民多数の願いを踏みにじるのは民主主義とは言えないよね」「そんな合法性より憲法の原則の方が大事でしょ」と多くの人が思うようになり、拘留されている側への支持が広がることが、アメリカと安倍さんをうろたえさせることになっていく。そういうことを頭の隅に置いて、現在の闘いを組み立てることが必要になっていくと思う。現在は、本番の前の準備期間。

 だから、私としてやるべきは、国民世論づくりの一環として、まず出版の分野からの闘いへの参加だ。「さよなら安倍政権」シリーズは、急な呼びかけにもかかわらず、すでに10冊の目処が立っている。そのうち報告するけれど、党派を超えて(保守から中道、革新まで)著者が名乗りをあげてくれている。うれしいな。

 もうひとつ、その局面になったら、自分も実力闘争に参加するつもり。私がいま拘留されても、何のニュース価値もないので、これから少しでも価値をあげる努力が必要である。テレビのある有名キャスターが、私の本を読んで「会いたい」と連絡してきたので、明日、東京出張の際、お会いする予定。

2015年3月30日

 安倍さんのこの発言で、「いよいよここまで来たか」と指摘する人が多い。でも、この発言、護憲派自身がどうするかこそ問われる性格のものであるように思う。

 というか、護憲派のみなさんにとって、自衛隊は「軍」なのかどうかということだ。そこをあいまいにしたままでは、安倍さんを追及しても、あまり迫力がない。

 自衛隊が軍隊であることは、護憲派にとっても常識的なところであろう。だから、従来型の護憲派は、自衛隊=軍隊=戦力なので、これを違憲だとしてきたのだと思う。

 つまり、一方の護憲派は、自衛隊を「軍」だと位置づけ、「軍だから違憲だ」と追及してきた。他方の政府は、「軍じゃない」とのべ、「だから違憲ではない」と追及をかわしてきた。これが基本的な構図である。

 だから、安倍さんの発言は、これまでの政府答弁を大きく踏み越えてはいるが、護憲派と同じ認識を述べただけなのだ。それを「正直」と見るか、「開き直り」と見るかでは、人により見解が異なるだろうけれど(なお、当然のことながら、自衛隊のことを「我が」ものだと言える護憲派はいない)。

 護憲派が問われるのは、安倍さんのように、政権をとったときである。国民の多数は、あるいは護憲派自身も、護憲派が政権をとれるとは思っていないので、非現実的な想定だと言われるかもしれないけど、そこは措いておいて、政権をとったときにどうするか考えておかないと、安倍さんを国会で追及したとき、逆襲を受けることになる。

 政権をとったとき、いくつかの選択肢がある。護憲派であるあなたの選択はどれだろう。

 一つ。自衛隊は「軍」だから、憲法違反であって、直ちに解散するのだろうか。だけど、いま見渡してみても、自分たちが政権をとったら直ちに自衛隊を解散すると堂々と主張し、選挙で国民の信を問う政党はひとつも存在しない。それなのに、選挙で公約しないことを強行するとしたら、公約違反じゃないかということで大問題になってしまう。

 二つ。あるいは、政権をとった場合、安倍さん以前の自民党と同様、自衛隊は軍ではありません、だから違憲ではありませんと主張するのか。でも、それだと、自衛隊は軍だと主張している現在の態度と整合性がとれず、野党になった安倍さんから突っ込まれることになるよね。

 三つ。それとも、政権をとった場合、自衛隊は軍であって、憲法違反なのだ、だけれども直ちにはなくさないという態度をとるのか。でも、それだと、政府が憲法違反を自覚していて、堂々とやっていることになる。

 小泉さんがイラクに自衛隊を派兵したとき、国会論戦を見ながら痛感したことがある。それは、政府というのは、自分が憲法違反をしていると認めてしまっては、絶対に政権を維持できないということだった。

 国会でのやりとりを見ていて、小泉さんは間違いなく自衛隊のイラク派遣は憲法違反だと心のなかでは思っていたと感じた。NATOが集団的自衛権の行使だと宣言してやっているのと同じ後方支援を自衛隊がやるのだから、誰がどうみても、自衛隊は集団的自衛権を行使していたのだ。だけど、それを認めたら政権がもたないことがはっきりしているので、小泉さんは「そこが難しいんですよ」と逃げたのである。

 護憲派が政権をとる場合、選挙で自衛隊の廃止を公約にかかげて多数を得るのでない限り、同じことが問われるのだ。いや、護憲派を自負している分、自衛隊を少しの期間でも維持するとなると、「護憲派は憲法違反を堂々とやっている」ということで、嵐のような批判にさらされるだろう。政権が維持できるとは思えない。

 この数年間、この問題でずっと悩み続けてきた。最近、ようやく燭光が見えてきたような気がするけど、それはもっと深めたあとで書きます。

2015年3月27日

 ブログで3回連続で書評を書いたりして、今週はヒマなのねと思われたかもしれない。他の出版社の本を書評したわけだしね。

 だけど、ホントはすごく忙しかったんです。前半は福島に行っていたし、後半は大阪を2回も訪ねたし。

 福島は、『「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟』関連です。24日に裁判があったのですが、その前日に行って、弁護団の方に、翌日の裁判で争点になることなどについて事前レクを受けていました。

 いやあ、裁判って、一つひとつが「激突」なんですね。争っている内容についても、国と東電がどうでてくるかを想定し、念入りに準備がされるわけですが、裁判官の人事などをめぐっても、いろいろな「激突」があったりして、裁判に関わっているものとして、身の引き締まる思いでした。

 翌日は朝から裁判が行われましたが、私は、裁判の傍聴に入れない何百人のために用意した講演会が担当です。というか、講師の浜矩子さんの担当。裁判の状況を説明したり、今後も続く講演会をまとめて本にする打合せをしたり、その他その他。

 12時30分から原告団の集会がやられましたが、浜さんはそこで挨拶し、裁判所まで一緒にデモ行進もしてくれました。ありがとうございます。

 講演は、テーマが「原発再稼働で日本経済はよくならない」。浜さんの講演を聴くのは初めてなんですが、いや中身も話し方も、聴衆をすごく惹きつけるものでした。経済とはそもそも何のためにあるのかという問いかけでしたが、いま日本経済を論じるときは、こういう視点が不可欠ですよね。今後、白井聡さん、藻谷浩介さん等々と講演が続き、それらがまとめて本になる予定ですので(来年の3.11あたりに)、乞うご期待です。

 この日、夕方まで福島にいたんですが、講演が終わったら、すぐに東京へ。そして京都へと帰ってきました。翌日朝から会社の会議があったもので。

 そして夜は大阪へ。6月20日(土)に開催される「自衛隊を活かす会」の関西企画のために、いろんな方々が「成功させる会」をつくってくれたのです。

 「活かす会」の趣旨を説明し、企画に向けたチラシについてご意見を頂き、いろいろ議論してきました。600名の会場ですが、一杯になるかなあ。

 「成功させる会」の代表としてお名前を出してくださるのは、以下の方々です。梅田章二(大阪中央法律事務所)、小笠原伸児(京都法律事務所)、羽柴修(中神戸法律事務所)。よろしくお願いします。