2015年2月12日
同じタイトルで何回も書きましたよね。忙しさを書くだけなんですけど。
まず、柳澤協二さんとお会いしていました。「自衛隊を活かす会」で6月頃に出す予定の講談社現代新書についての打合せです。仕事を放り投げて何をしているのだと言われそうですけど、同時に、柳澤さんには「シリーズ さよなら安倍政権」の1冊(ゴールデンウィーク明けに出てくる安全保障法制の批判です)をその場でお願いし、了解を得ました。仕事の進め方についても合意。プライベートでもあり仕事でもあるわけです。
夜は、ある出版社の尊敬する編集長さんが近く退職されるとかで、ご苦労様でしたという会をやります。会といっても、私と2人でやるんですけど。もう10年以上のおつきあいですけど、いろいろ勉強もさせてもらいました。まだ教えてもらうことがあるので、引き続きよろしくということです。
明日は、時間差で、4人の著者にお会いします。突然決めた「シリーズ さよなら安倍政権」のお2人と、学校図書館向けのイスラムの本の監修者・著者のお2人です。忙しいのに引き受けていただき、ありがたいことです。珍しく、全員が一橋大学関係者なので、学生が昔からたむろしていたロージナ茶房というところで(私はほとんど大学に通わなかったので、ほとんど使ったことはありませんけど)
明後日は、自衛隊を活かす会のシンポジウム。この数日、突然、参加予約が増えてきました。やはり「テロと人質」をテーマに加えると告知したからでしょうか。これもプライベートですけど、この会の成果を基礎にして、弊社の本もたくさんつくっていけそうなので、仕事につながるんですね。
その翌日は東京から神戸へ。これは灰谷健次郎関係。個人的な伝手で、灰谷さんの教師時代の教え子を知っていて、いまでは某新聞社の大幹部なんですが、灰谷さんのことを語ってもらうことになりました。灰谷さんって、子どもが手紙を書いてくると、それに自分の考えを書き込んで、やりとりしてたそうなんですが、それをずっと大切にもっているらしいんですよ。灰谷さんが亡くなったとき、彼が新聞に追悼文を書いていて、それを知りました。これは仕事につながるかどうか、聞いてみるまでは未定。
2015年2月10日
本日、会社の会議があって、今後の本づくりについて、いろいろ提案してきた。作りたい本が次から次へと出てくる。
一つは、すでにふれたことだけど、「シリーズ さよなら安倍政権」。すでに5冊くらいは著者の了解が得られていて、10冊くらいにはしたい。
「アベノミクスの総決算」を出すと言ったが、これは、著者とのやりとりのなかで、「さよならアベさん、こんにちはピケティさん」ということになった(このやりとりに触発されて、シリーズ名も変更)。もう総決算は誰の目にも明らかなので、その次を求める読者に応えようということだ。
単発では力不足になりそうなものが、シリーズ化されることで生きる場合もある。年金問題の企画が提案されていたのだが、このシリーズのなかに入ることによって、日の目を見そうな感じがしている。
もう一つは、これほどの事態だから、イスラム問題は不可欠だ。すでにいろいろな出版社から出ているけれど、限られた著名な著者は取り合いになっていて、うちのような小さな出版社には無理。
そこで、子ども向け、学校図書館向けの本にすることにした。よく考えれば、イスラムについて正しい理解を持つためには、子どもの時期から学んでいく必要がある。そういう志をもつたくさんの研究者の力を借りて、なんとかなりそうな気配。
この間、学校図書館向けの本に参入し、一昨年から、年に2シリーズ出してきたけど、これを緊急出版すると、年3シリーズになる。それをやれるだけの体制、力が問題だよな。なんとか突破できるか。
さらに、加藤周一さんの本。昨年、『加藤周一最終講義』を刊行し、たいへん評判になった。弊社には、加藤さんがお話しし、それを活字にして加藤さんが手を入れた原稿が、まだ少し眠っている。
最近、それに目を通す機会があったのだが、どれも現代的な問題意識なので、なんとかよみがえらせたい。ジャーナリズム論、映画論、京都論など。だけど、編集するのに力がいるので、どうするかだよね。
これらをやりながら、沖縄の保革共闘誕生秘話だとかもあるし、戦後70年に関する大型企画もあるし、「未来への歴史シリーズ」は3冊ほど準備している。それ以外に、通常の出版物もやっている。
いくつ身体があっても足りません。社員を増やさないで仕事を増やす方法、誰か教えてくれませんか?
2015年2月9日
昨日の読売新聞によると、安倍内閣の支持率が5ポイントも上がって、なんと58%に達したそうだ。人質事件への対応を「適切だった」と思う人が55%で、「そう思わない」の32%を上回り、「人質事件への対応が評価されたことが、内閣支持率を押し上げたとみられる」とされている。
安倍さんの反対勢力のなかでは、人質事件への対応はむちゃ評判が良くないが、国民世論全体ではそうではないということだ。反対勢力のなかには、安倍さんの2億ドル発言が身代金要求を生みだしたって言う人がいるけれども、身代金要求自体は、その発言のずっと前、昨年から後藤さんの家族に伝わっていたという報道もあるし、なんでも安倍さんが悪いという論理にはまるように事実を配置していっても、国民は付いてこないということだろう。
その同じ日の読売新聞に、アメリカ総局長の飯塚恵子さんが、安倍さんの昨年7月のキャンベラでの演説(議会演説)について書いている。日本国内ではそうでもないが、欧米やアジアでは注目されているそうだ。
何かというと、冒頭から、こう述べたそうなのだ。「第2次大戦後を、それ以前の時代に対する痛切な反省と共に始めた日本人は、平和をひたぶるに、ただひたぶるに願って、今日まで歩んできました」
「ひたぶる」って、もっぱらそのことに集中して、という意味だよね。そして、「痛切な反省」のあと、父や祖父の時代に、ココダがありサンダカンがあったと続けたそうである。
ココダとは日本軍と米・豪連合軍の激戦地。サンダカンはいいうまでもなく日本軍が捕虜収容所を置き、数千人の捕虜を酷使して死亡させた場所である。
日本の首相がオーストラリアでこの2つの地名に言及したのは、史上初めてのことらしい。オーストラリアのメディアでは「すごい演説だ」と話題になったとのこと。
飯塚さんによると、これがアジアや欧米で話題になっているのは、村山談話に変わる新しい談話が、この演説と関連するものになるとみなされているからだとのこと。へえ、そうなんだと思った。
我々は、安倍さんが新しい談話を出すとか、村山談話の文言にはこだわらないと言うのを聞くと、きっと中身を後退させるんだろうなと思ってしまう。実際、そうなる可能性が高いとは思う。
だけど、この演説が示すように、安倍さん、何を言えば日本が侵略した相手国が感激するのか、よく分かってはいる。そして、実際にそれを口にすることもできる。やればできる、のである。
だから、70年目の談話も、よくよく注意して対応することが必要かもしれない。本当は、村山談話を超えるような内容にしてほしいと望み、行動するのが筋なんだよね。それなのに、そういう要求を安倍さんに伝えることもせず、実際に安倍さんからは何も示されていない時点で、安倍談話はこんなひどいものになるなんてことを言っても、国民多数は付いて来れないでしょうね。
安倍さん、議会演説を、こう締めくくったそうだ。「私たちは、皆さんの寛容と、過去の歴史を決して忘れません」
5月から「シリーズ 安倍政権を撃つ」の刊行を開始します。そのなかで、『「村山・河野談話」をめぐる40章』を私が書くつもりですが、真剣に書かねばなりません。
2015年2月6日
いよいよですね。私が首相であっても、憲法改正をねらうなら、その時期しかないでしょ。安倍さんの本気度が伝わってきます。
この間の安倍さんの勢いを見て、やるべきことを考えています。いろんな方面からです。
ひとつは、やはり出版。第二次安倍政権が発足した直後、「シリーズ 安倍新政権の論点」を刊行すると宣言し、短期間に7冊も出しましたけれど(ちゃんと売れました)、いまの局面にふさわしいシリーズが必要ですよね。
シリーズ名は何にしましょうか。「シリーズ 安倍政権を倒す」という感じでしょうか。それだとびびる著者も出てくるから、「シリーズ 安倍政権を撃つ」という程度かな。
いまのところ、安全保障法制、村山・河野談話、残業時間ゼロ法、教育問題は著者と連絡を取り合いました。考えれば、いくつも出てきますよね。「アベノミクスの総決算」とか「身体を張って辺野古基地建設を阻止する」とか。幹となる憲法問題は、安倍さんの出方もあるから、よくよく準備しなければなりません。
ふたつめは、その参議院選挙をどう迎えるかという問題ですよね。参議院選挙で自公で3分の2を確保して、改憲を発議するというわけですから、それにどう対抗するのか。安倍さんがそう位置づけるなら、参議院選挙で安倍さんを退陣に追い込むことを本気で考えなければならないでしょう。
そのためには、沖縄の保革共闘に学んで、選挙に向けて護憲の保革共闘を作らなければなりません。自公が3分の2をとれば改憲が発議されることが分かっていて、それを阻止する共闘にちゅうちょするようでは、護憲派がかかげる護憲への真剣度が疑われるでしょう。沖縄の保革共闘がなぜ、どうやって成立したかという本は、年内に出すつもりですが、もう少し早いほうがいいかもしれません。
さらに、保革共闘の機運が盛り上がったとしても、共闘のためには政策で一致する必要があるから、それをどうするかですよね。安全保障の分野では、「自衛隊を活かす会」がこの6月(あるいは5月)、政策提言を出す予定ですので、それを基盤にした議論ができるようになると思います。秋には、その政策提言を使って、全国会議員を対象にした広報、宣伝、討論もやっていくつもりです。
まあ、でも、いまの流れでは、自民党の国会議員のなかから、この政策提言に賛同して安倍さんに反旗を翻すということは現実味がありません。だから、地方の保守に目線を向けないとダメでしょうね。それをどうするかは、未経験の分野なので、いろいろ考えたいと思います。
経済政策での一致という点は、安全保障のような準備がないので、むずかしい問題です。ただ、憲法が最大の焦点になるわけですから、そこを大事にして、経済は大胆に保留し合うということも必要かもしれません。ここも考えなければなりません。やるべきことがいっぱいです。
2015年2月5日
人質とテロの問題が結末を迎え、いろんな議論がやられている。大事なことだから、多様な意見が出され、議論されるといいと思う。
ただ、その議論を聞いていると、武力の行使をめぐっては、いくつか整理が必要だと感じることがある。武力でテロはなくならないということと、テロに対して武力は使ってはならないということは、別のレベルの議論であることと関連している。
武力でテロがなくならないというのは、おそらくすべての人が共通の認識として持っていることだと思う。アメリカのオバマさんをはじめ政府指導者も同じだ(安倍さんがどうかは分からないけど)。武力だけではなくならないので、若者が過激思想に染まらない対策などが必要だと、彼らも強調している。
では、テロに対して武力は使ってはならないというのは、はたして正しいものだろうか。ここには、いくつも検討しなければならないことがある。
まず、以前も書いたが、イスラム国が武力によってシリアとイラクのかなりの部分を奪ったわけだ。それをクルド人部隊などが武力で奪い返した地域もあるわけだが、それもダメだというのか。
それ以前に、イスラム国が各地を武力で奪おうとするのに対して、武力で抵抗してはならないのかという問題もある。抵抗せずに服従しなさいということを、イラクやシリアの人に対して言えるのだろうか。
武力を使うかどうかは、それぞれの国内問題だという立場もあるだろう。だけど、あれだけの規模でイスラム国による虐殺等がおこなわれるのを前にして、それを国内問題だというならば、ナチスによるユダヤ人虐殺を見逃したのと同じようなことになる。しかも、イスラム国の武装集団はあれだけの外国人部隊で構成されているのだから、そもそも出発点から国内問題なのかという疑問もある。
国連安保理の決定を経ずに、有志連合がやっていることが問題だという指摘もある。ただ、今回の経緯を見ると、そう簡単ではないように思える。
イラク戦争のときは、各国の反対を押し切って、アメリカなどが武力行使に踏み切った。しかし今回、ロシアや中国も、事実上は容認した格好である。それぞれの国内に「テロ勢力」を抱えているので、有志連合による武力で対処することが慣例化する方が、自分にとって都合がいいという判断もあるのだろう。
そういうことがあるし、イスラム国は中東の独裁政権(国連加盟国政府)にとって共通の脅威だから、安保理の決定が容易にされる可能性もある。その場合、あの地域は、イラクによる個別的自衛権の発動としての戦争、有志連合による集団的自衛権の発動としての戦争、国連安保理の決定による軍事的措置と、国連憲章で認められている武力の行使が混在する地域となる。
そうなると、昨年末までのアフガニスタンと同じだ。そこでは、集団的自衛権を発動していたNATOが、国連決定にもとづく部隊(ISAF)を率いたわけである。有志連合だから悪く、国連だから良いなどという関係は、すでに存在しなくなっている。
有志連合は主にイラクにいるイスラム国を空爆しているわけだが、その背景にあるのは、これもまた大量虐殺のシリア・アサド政権を支持できないということだ。空爆をすればアサド政権が喜び、空爆しなければイスラム国が喜ぶという、悪魔的な関係である。
結局、武力を行使がいいことか悪いことかというレベルの議論では、何も解決することはないだろう。そのあたりを、自衛隊を活かす会のシンポジウム(2月14日午後1時45分〜、東京・日比谷図書文化館大ホール)で議論したい。