2017年6月28日
いまから沖縄行きの飛行機に乗ります。この出張、いうまでもなく仕事でして、7月から9月にかけて弊社が集中的に出版する4冊の沖縄本の事前セールなんです。同時に、その合間に、9月30日に実施する「自衛隊を活かす会」の沖縄企画の相談もしてきます。
といいますか、その両者が絡み合っているところに、不思議なところがあるんですけどね。例えば、こんなことです。
予想されたことでしたが、反軍世論が根強い沖縄で、「自衛隊を活かす会」という名前の団体が企画を実施することには、いろいろな戸惑いがあります。この企画では糸数慶子さんにご挨拶を頂き、伊波洋一さんには討議に参加してもらうのですが、地元でいろいろあるだろうけど、腹をくくってご了解いただいた経緯もありました。
会としても悩むところはあったのですが、普天間の県外移設のためにも、そこは前に進もうということになりました。以前にも書いたことのくり返しになりますけど、本土で沖縄への視線が冷たいのは(もちろん真剣に応援している人もいます)、いろいろ理由はあるでしょうが、一方の沖縄は基地を拒否していて、他方の政府は日本の安全保障の観点で行動している、そんな対立構図に見えていることもあるのではないでしょうか。だから、沖縄は普天間基地を拒否しているけれど、同時に日本の安全保障のことは政府よりも真剣に考えているという打ち出しが必要だと考えたわけです。
そこで、いろんな方にお会いして、協力をお願いしようということになりました。で、会の代表の柳澤さんが紹介してくれたのが、沖縄連合の会長さんでした。
それでお名前を聞いてびっくり。7年前に知事選挙に向けた伊波さんの本『普天間基地はあなたの隣にある。だから一緒になくしたい』をつくったとき、自治労沖縄の書記長をしておられて(だからお会いしたこともあります)、本の普及の中心になってくれた方でした。すぐにお電話して、「懐かしいですね」とご挨拶しました。当時、この方の注解で、自治労本部も訪ねて政治部長さんにもお会いしたのですが、通達みたいなのも出してくれて、たくさん本の注文をいただきました。
こうやって、時々にやっていることが、その次につながってくるんですね。いまやっていることも、決してムダにならないのだと確信しました。金曜日までがんばってきます。
2017年6月27日
昨日に続き、休暇期間中も仕事をしていたような記事です。安倍さん、頻繁にテレビ出ていたから。
まずは国会が終了して直後の記者会見。支持率の低下が止まないなかで、なんとか挽回しようとしたんでしょう。いつものように堂々と、雄弁に語っていました。
ただ、「いつものよう」だったことが、安倍さんの焦りの反映だったと感じます。ずっと「いつものよう」にしてきて、支持をつなぎ止めてきた自信がそうさせたのでしょうが、今回はじめて、これほどの支持率低下に直面しているわけです。そこを挽回しようとすると、「いつものよう」ではない何かが求められたと思うのですが、それがなかった。
自分の答弁が高圧的だった(言葉まで覚えていないけど)と反省する場面もありましたが、それも野党が印象操作したからという文脈での言葉ですから、野党批判でしかありませんでした。何も反省していないことだけが伝わってきた印象です。
そして、獣医学部新設を一校だけに限ったことが問題だったので、もっと増やしていくという発言。これに対しては、いろいろ適切な批判がなされているので、ここではふれません。
安倍さんが加計問題でいくらがんばっても、反転攻勢には出られないと思います。なぜかというと、岩盤規制に穴を空けるということで、自分を英雄のように見せるということが目的なわけですが、この問題は国民にはそうは映らないからです。
小泉さんの郵政改革ということでは、国民の暮らしに関わる問題だと思わせる要素があったと思います。あれほど便利な宅急便が急成長しているわけだから、郵便局が変わればもっと便利になるのではとか。
「改革」の支持者は多くは貧困にあえぐ人々です。規制に穴を空けて自分たちの可能性を広げたいと考えているわけです。
だけど、安倍さんが加計問題で頑張っているのは、大金持ちだと言われている医者を増やすことなんです(獣医が金持ちかというと異論はあるでしょうが)。自分たちの貧困は置き去りにされたまま、自分たちには絶対になれる可能性のない対極の人々を増やすということですから、気持ちが付いていかないと感じます。安倍さんは根本的に考え違いをしているということです。
ただ、その時に同時に言ったこと、憲法改正を前倒しするという表明は、低下する支持を挽回する可能性に満ちていると思います。それについては明日以降、いろいろ書いていきます。明日から3日間、沖縄です。
2017年6月26日
長いおやすみをいただきました。このブログを楽しみにしている方がどれくらいいるかわかりませんが、そういう方がいるとしたら(いないでしょうけど)、楽しみを奪ってしまって申し訳ありませんでした。
さて、北のほうに旅行してきました。日本最北端と日本最東端の渡り歩きです(北方領土を除いてですけど)。
稚内で半日を過ごす機会があったので、当然のこととして、宗谷岬とノシャップ岬の両方に行きました。そこで、びっくりしたことがあります。
全国どこにでもある「平和公園」が宗谷岬にもありました。バスガイドさんの案内を聞きながら、何が「平和」の由来なのかなと疑問に思っていましたが、最初に案内されたのが「祈りの塔」。
これって、1985年のソ連による大韓航空機撃墜事件の犠牲者を悼む慰霊碑でした。日本人28人を含む16か国268人が亡くなった、あの事件です。ソ連が民間航空機を撃墜したということで大問題になりましたよね。領空侵犯をしたとはいえ、問答無用で撃墜したわけですから。
「平和公園」の由来は他にもあるのですが、これも「平和」なんですよね。日本で「平和」というと、争いのないおだやかな状態を思い浮かべる人が多いと思うんですが、両方の羽は東西対立をあらわしているらしく、ここでは人の命を奪うものへの怒り、押しとどめられない嘆きが「平和」を象徴するものになっています。
「平和」って、本当にそれぞれですよね。同じ「平和」という言葉を使っていても、意味内容が異なる場合があるわけですから、そこを深く理解しないといけません。撃墜したソ連への怒りを共有できないでいると、「平和」と叫んでも信用されない場合があるということです。ちょっと飛躍しますが、改憲は戦争で護憲は平和という単純化をしても、通用しない場合があるということです。
それで、さらにびっくりしたのは、ノシャップ岬でした。ここに自衛隊のレーダーサイトがありました。
そうなんです。ソ連は当初、事件を否定しようとしたわけですが、自衛隊が傍受した情報によって、申し開きができなくなったわけです。この情報が日本政府の知ることなく、防衛庁からアメリカに直接に渡されたことも指摘され、大きな問題となりました。
ということで、なんだか仕事してきたみたいな書きぶりですが、それは見せかけです。リフレッシュしてきました。今週は水曜日からホントに仕事で沖縄に行きますし、夏から秋にかけて、本格的に沖縄闘争です。
2017年6月16日
これはなかなか難しい決断が迫られる問題だ。「食の安全」を100%追求しようとすると、豊洲に問題があるのは当然である(築地にも似たようなところはあるが)。ただ、東京都が抱え込む膨大な赤字のことを考えると、そう簡単に結論が導けない。
豊洲には6000億円がつぎ込まれている。安全対策でさらに投資が必要となろう。それをどうやって回収するのか。
豊洲に移転した場合は、築地の活用策で利益を生み出すことが可能だ。一等地だから、いろんな可能性がある。
一方、築地に残った場合、豊洲はどう活用できるのか。そこに大きな問題がある。
その場合というのは、豊洲の安全は保障されないと判断が下るのと一体である。そうすると、活用策は限定されてくる。
マンションやホテル用地として活用するなど、人が24時間住むなんてのは論外だろう。時間限定でも保育所や公園としての利用もあり得ない。つまり、危険な場所と判断されたら、投資を回収する策が見つからないのだ。
あり得るとしたら、カジノくらいではないか。それなら得られる収入の面はなんとかなりそうな気がする。
ただ、豊洲移転反対の人々が、カジノ誘致を主張できるかというと、それも無理だろう。だから、この問題は難しいわけである。
ということで(記事とは関係ないけど)、私は来週、おやすみをとります。ブログは合計で9日間の休止ということです。リフレッシュして戻ってきますね。
いや、就活していた娘が無事に内定がおりて、ようやく子育て責任からの解放間近だから、安心して休みがとれます。池井戸潤が描くような正義の金融ウーマンになってほしいな(たくさん読ませたし)。2、3年後には営業だろうから、うちの会社が高利で借りているのを低利のものに借り換えさせてもらおうかな。さあ、解放されてもっと自由になれるか、安心し過ぎて老け込むか。
2017年6月15日
共謀罪の結末については、あきれかえるしかない。ただ、日テレのニュースで、ある自民党のベテラン議員が語った言葉として、次のことは印象に残った。
「(東京都議会選挙もにらみ)加計学園の問題を1日でも長く追及されるよりも、採決で批判される方がダメージが少ないと判断したのだろう」
まあ、議院内閣制というのは、アメリカなどと異なり、国会での多数を基礎に行政権力ができるわけで、そもそも権力は集中しやすいのである。与党がぶれないかぎり、どんなに国民の多くが反対しても、行政府がとおそうと思う法案は可決される。
そこに躊躇が生まれるとしたら、可決することによって、次の選挙で多数派ではなくなるところまで追い詰められた時だけだ。安倍さんは、共謀罪を強行しても、国民の支持はつなぎ止められると判断したということだ。しかし、加計学園問題を追及されると、その支持基盤は揺らぐと感じているということだ。
ここは、今後、安倍政権への対抗を考える上で、大事なポイントだと思う。森友にせよ加計にせよ、法律に反してカネが動いたというようなことではないから、安倍さんが逮捕されたりするような性格の問題ではない。官邸の最高責任者の意向が証明される内部文書が出てきても、誰であれ自分の意向を表明することは自由であって、政権が倒れるような問題にはならないだろう。
しかし、この一連の問題を通じて、少なくない国民は、森友や加計に代表される政治の在り方というのがどこかおかしいとは感じていると思う。加計はとくに官僚まで安倍政治をおかしいと感じていることが、腹をくくった覚悟とともに伝わってきて、国民にもわかりやすくなっている。
そこを野党がどう捉えて、どう攻めていくか次第では、別の政権が必要だと国民に思わせるものを提示できる可能性があるのではないか。個別の政策的な対案ではなく、あれこれの暴露的なものでもなく、政権のありように関する選択肢の提示である。
森友や加計に代表される安倍政治とは何か。「絶対権力者にみんな右へ倣へ」の政権である。「決められない政治」が問題になってきて、「決める政治」が生まれているわけだが、それが行き着くところまでやってきて、絶対権力者だけが決める政治が生まれている。そして、政治家も官僚も「右へ倣へ」なのである。昔、「みんな右へならえでいいのでしょうか」というスローガンがあったけれど、そんな感じだ。そこにおかしさを感じているのではないだろうか。
それに対抗軸を提示できるとしたら、やはり「多様性」ということになるだろう。しかし、多様性だけだとバラバラということで、いまの民進党のなかのことを言っているようで評判が悪いし、野党との政策的バラバラ感も強い。だから、対抗する政権の在り方としては、「多様性を統合する政権」みたいな感じがいいのではないかと感じる。バラバラ感は強調しなくても伝わっているので、「統合」である。
まあ、そのためには、本当に野党協議を加速してもらって、政権の対抗イメージでも政策でも、まとまったものを出してもらわないとダメなんだけどね。期待しておきます。