5大陸20人が語り尽くす憲法9条

5大陸20人が語り尽くす憲法9条

戦争のない世界へ

編著者

グローバル9条キャンペーン

ISBN

978-4-7803-0116-8 C0036

判 型

A5判

ページ数

208頁

発行年月日

2007年08月

価 格

定価(本体価格1,900円+税)

ジャンル

平和・平和教育

<世界は叫ぶ 「9条は私たちの財産だ!」>
昨年末、世界の人びとに、この本への寄稿を呼びかけた。「9条は世界の共有財産だから、ぜひ書かせてくれ」と、たちまち20人が名乗りをあげる。その中には、ノーベル平和賞を受賞したNGOの代表も含まれていた。
<戦火のただ中にいる人びとが求めている>
いまだに戦火が止まないイラクやアフリカ。人びとは身を守るため強大な軍隊が必要だとは言わない。もう戦争やいやだ、武器をなくしたいと考え、日本の憲法 9条に希望を見いだす。本書にはそうした証言が含まれる。
<アジア共通の平和の土台として>
アジアの人びとは言う。「9条をなくすことは侵略への謝罪の気持ちを取り除くこと」「9条は軍拡競争の歯止めだ」「北東アジアに平和を導く理念だから廃止しないで」。
「世界の人びとの命のために9条は必要だ」。そんな気持ちにさせる一冊です。
 
▪️▪️憲法9条への熱い思い▪️▪️
もうこれ以上の軍事化の必要はなく、多額のお金は我々が今直面している諸問題を解決するために使われるべきです。すべての国の憲法が9条をもつべきです。必要なのは、そのような国際キャンペーンを行うことであって、9条を日本から取り除くことではありません。

(カナダ、ノーベル平和賞受賞の地雷禁止国際キャンペーン代表)

とりわけ感動的なのは、これは、宗教が説く人倫の道でもなければ、声明や決議、実現するあてのない夢や幻想でもなく、世界で最も有力な先進国の一つ、日本の最高法規、憲法だということです。そこには、内容を正しく理解した瞬間、「戦争はなくせる! なくせるんだ!」と、躍り上がって叫びたくなるほど深い意味が込められています。

(ボスニア、ジャーナリスト)

私たちは好戦的でない国でありたいと願い、戦争を放棄します。そして新しいボリビア憲法の制定を通して、ラテンアメリカで戦争を放棄する初めての国でありたいと思います。

(ボリビア、モラレス大統領)

憲法9条は世界の中での日本の顔です。日本には、「テクノロジーの国」「現代的」「優しくて戦争を好まない国」など、いいイメージがあります。9条を変えてしまったら日本に対するこのようないいイメージも変わってしまいます。「平和の国」というイメージを変えてほしくないです。

(イラク、元中日新聞現地採用ジャーナリスト)

ケニアのある自動車販売会社は、こんなキャッチフレーズを使っています。「そこにあるのは、みんなトヨタの車」。このような日本からの経済的貢献がなければ、アフリカの発展もありえません。日本国民は、世界に誇れるものをすでに十二分に持っています。今世紀の世界にさらなる悲劇をもたらす軍隊を、あえて保持する必要はないのではないでしょうか。

(ケニア、核戦争防止国際医師会議代表)

「日本の空軍がやってきて、多くの子どもたちが殺されました」「日本の海軍がやってきて、街がやかれ、多くの人びとが殺されました」。このようなことを言う国が、世界中のどこにもないということ。それこそがつまり憲法9条が日本に住むみなさんの子どもたちだけでなく、世界中の何百万人もの人びとの命を救っているということなのです。

(アメリカ、元海兵隊員)

憲法9条は決して修正すべきではありません。これは人類が獲得した成果だからです。地球の未来に向けた大きなステップなのです。

(ベネズエラ、大学教員)

もし日本の政治指導者たちが9条廃止に成功すれば、日本はその工業生産力を持って、再び独自の「軍産複合体」を構築するでしょう。再武装した日本が自国と自国民、そして世界に破壊的影響をもたらすことはアメリカの先例が示しています。

(アメリカ、ナショナルロイヤーズギルド運営委員)

安保理は、国連憲章によれば、憲章の諸原則を遵守しなければなりません。そして、9条は国連憲章に忠実な模範ともいうべき条文ですから、安保理の任務に忠実な条文です。だからこそ、憲法9条をもつ日本は、そのような憲法をもっていないどの国よりもいっそう、安保理常任理事国として任務を果たすのがふさわしい国ということになります。

(フランス、国際民主法律家協会副会長)

韓国の平和運動は、ただ単に過去との関わり故に日本国憲法9条を研究の対象にしているのではありません。むしろ、真の立憲主義を志向する東北アジア平和共同体建設の土台として研究し、軍縮平和を導く理念として期待していることに注目していただきたいのです。

(韓国、大学教員)

平和憲法の束縛から解放され、軍事力の拡大に力を入れている日本は、東アジア諸国に不信感を与え、この地域の軍備競争の結果をもたらし、もともと不安定なこの地域をさらに不安定にするのは一目瞭然です。日本の憲法改定は単なる一国の憲法の問題でなく、日本がこれからどのような道を歩むか、世界中が日本をどう見るか、世界の平和、特に東アジアの安定と深く関連していることなのです。

(中国、大学教員)

私たちは、憲法9条を保持しようとする日本の運動が盛り上がるよう応援します。2008年の憲法9条世界会議が開かれる東京で、私たちの強さを見せるため、平和のために結集しましょう。

(スイス、婦人国際平和自由同盟の国連特別顧問)

9条は日本を1945年の荒廃と恥辱から不死鳥のようによみがえらせ、世界第二の経済大国にしただけではありません。日本はこの恵みを世界の国々、とりわけアジア太平洋諸国と分かち合いました。「大東亜共栄圏」という先人の構想は、戦争という手段に訴えずとも事実上、達成されたわけです。

(フィリピン、市民団体事務局長)

日本が憲法改正をすれば、周辺諸国との軍拡競争が生じると予想できます。中国の巨大さと経済成長、日本の少子化、輸入食料への依存などを考えると、中国との軍拡競争に日本は勝てないでしょう。中国の軍備増強に追いつかなくなる日本はいっそうアメリカへの依存にはまっていくでしょう。そして、同盟の危険性に対して無防備になっていくでしょう。

(オーストラリア、カトリック司祭)

2007年1月現在、バンクーバー9条の会の会員は 150名を超え、集めた署名数は3000に上ります。英語会員は40名強で、日本語会員は110名ほどです。

(カナダ、バンクーバー9条の会会員)

武器を持たないと決めている憲法がなくなってしまうことは私たちにとっても危機です。ですから、コスタリカのように非武装で武器を持たないという国が、しかし国際的場面では非常に強い国であるということを知っていただきたいのです。軍隊を持たないからこそ、交渉によって紛争を解決でき、自分たちの主権を守ることができると考えています。

(コスタリカ、弁護士)

軍隊のない27カ国の存在は説得力を持ちます。国家や国民は軍隊がなくても自国と世界のために平和を維持できること、軍隊は人びとが考えているほど必要なものではないことを、これらの国々は証明しているのです。もう一ついえるのは、日本が憲法を忠実に守ることは決して唯一の非武装国になることを意味しないことです。それどころか日本は、その選択によって多くの非武装国と世界平和の力強いリーダーになるでしょう。

(スイス、市民団体世話役)

9条キャンペーンの強化と、開発のための軍縮を効果的に進めるプログラムの構築は、互いに手を携えて行われるべきだと結論できます。両者はともに、国会議員や政党以外に国家的な議論に影響力を持つ労働組合から、学生・女性・宗教・青年・環境団体、貧困の撲滅をめざす団体まで、幅広い部門の動員を必要としています。

(イギリス、ノーベル平和賞受賞の国際平和ビューロー事務局長)

第一章 紛争地にとっての希望
・人を戦争に駆り立てるもの ヤスナ・バスティッチ(ボスニア)
・派兵ではなく支援を ハッサン・アリー・アボッド(イラク)
・紛争に苦しむアフリカからみる ポール・サオケ(ケニア)
 (コラム)ケニア・世界社会フォーラムで聞いた九条の評価
第二章 戦争国家と対比する
・戦争を知らない美しさ アレン・ネルソン(アメリカ)
・日本の軍産複合体と九条改定 ピーター・アーリンダー(アメリカ)
 (資料)九条に関する米ナショナルロイヤーズギルドの決議
・法律を使って戦争を止める  ピーター・ワイズ(アメリカ)
・ヨーロッパの軍事化と国連憲章、九条 ロラン・ベイユ(フランス)
 (資料)フランスで集められている九条支持の署名
第三章 アジアにおける存在意義
・民主主義と平和主義−韓国からの視点 李京桂(韓国)
 (資料)東北アジアの平和のための日韓市民共同声明
・九条改定は東アジアに何をもたらすか 鄭澤善(中国)
・戦争放棄の約束 ガス・ミクラット(フィリピン)
・九条改定と同盟の「わな」 マイケル・シーゲル(オーストラリア)
・日本の軍事化を危惧する ベレーナ・グラフ(スイス)
第四章 軍隊をなくす
・軍隊のない国に暮らすということ  カルロス・バルガス(コスタリカ) 
・国民投票で軍隊をなくす運動と九条 ミッシェル・モノー(スイス)
・非武装国家は可能だ  クリストフ・バーベイ(スイス)
・国軍をなくしたハイチ ブライアン・コンキャノン・ジュニア(アメリカ)
 (コラム)戦争放棄の憲法制定に向けて ボリビア大統領 エボ・モラレス
第五章 世界は九条を選び始めた
・九条と二六条 双子のキャンペーン コリン・アーチャー(アメリカ)
・民衆のための憲法を求めて フェルナンド・ベガス・T(ベネズエラ)
・多文化社会カナダから日本へ、そして世界へ乗松聡子(カナダ)
 (コラム)スイスにおける意見広告運動
・非軍事で世界に貢献しよう チャールズ・グレイブ(スイス)
・世界の子どもたちのために エディス・バランタイン(スイス)
・九条は軍隊のない持続可能な世界を創る 吉岡達也(日本)
二〇〇八年五月 「9条世界会議」開催!
・世界のNGOと「グローバル9条キャンペーン」 川崎哲
資料集
・ハーグ市民会議 一〇原則
・GPPAC東京アジェンダ 
・GPPACグローバルアジェンダ
・世界平和フォーラム最終文書

投稿者:女性・54歳・自営業
評価:☆☆☆☆
9条問題は以前から関心はありましたが、このように世界的なものになっているとは知りませんでした。中でもアレン・ネルソンさんの一文には涙が流れました。何度読んでも・・そして何方かの分中にあったように 失してからわかる などといいうことのないよう、しっかりと私たちで守り、子供たちに引継ぎ 世界の人々に広げていくのが 今この2008年を生きている私たちの勤めではないでしょうか。できることから何か始めていければと思いました。他の9条関係の本の最初に9条全文が載っていました。その時全文を読んだのは初めてで なんと美しいのだろう と思ったのが素直な感想です。全文を載せていただけたらもっと多くの人に9条をわかってもらえるのではないかと思います。(載っている本はほとんどありません)

グローバル9条キャンペーン
憲法9条やその意義を世界に広め、世界の9条に対する声を日本に紹介していく国際運動。2005年に開始された。日本では、ピースボートや日本国際法律家協会が中心となって運動を進めている。
世界同時意見広告運動や国際的なNGOや法律家の集会で宣伝やワークショプを行っている。「憲法9条は、日本だけの問題ではない」「世界にも9条が必要だ」との声が世界各地から聞かれる。2008年5月の「9条世界会議」に向け、インタビューDVDや各種グッズも頒布している。
編集チーム(笹本潤、高部優子、常木みや子、安藤博、渡辺里香、荊尾遥、松村真澄、川崎哲)