記紀神話と日本史

記紀神話と日本史

天皇制の歴史

著 者

小路田 泰直

ISBN

978-4-7803-1461-8 C0021

判 型

四六判

ページ数

224頁

発行年月日

2026年11月

価 格

定価(本体価格2,300円+税)

ジャンル

歴史・地理

「網野史学」をどう受け止めるか
皇室典範の改正の騒動であわらになった「国民統合の象徴」に対する権力者たちの無理解。
天皇制をめぐる歴史をたどると、民意とは、独裁とは、統治とは、立憲制とは・・・民主主義の危機を考えるヒントがあるのではないだろうか?
長くこの国の歴史学の硬直を支えてきた「津田史学」をどう乗り越え、戦後歴史学の革新=「網野史学」をどう受け止めるか、全てはそこから始まる。

はじめに
Ⅰ 記紀神話とは何か
第一章 建国と記紀神話
 1、建国の条件ー『聖書』より
 2、崇神天皇と農本主義
 3、記紀神話への投影
 コラム① 白兔考ー渡米せし人々
第二章 津田史学の超克
 1、信仰からみた聞き編纂の時代
 2、壬申の乱後の時代
第三章 津田左右吉の記紀批判
 1、津田左右吉の記紀批判
 2、国生み神話について
 3、白山信仰と記紀神話
第四章 二〇世紀神話としての津田史学
 1、邪馬台国論争
 2、論争の意図一白鳥庫吉と内藤湖南
 3、津田左右吉の立ち位置
第五章 記紀編纂の動機
 1、再び農本主義について
 2、王の誕生と神武東征
第六章 記紀編纂にいたる政治過程
 1、苦悩する聖徳太子
 2、大化改新一「天子」か「天孫」か
Ⅱ 近代天皇制に向けて一読み直される記紀
第七章 王と国家の矛盾
 1、日本の解体
 2、聖徳太子の再蘇り一後醍醐天皇の登場
 3、民意の神格化一伊勢神道
 4、民意の神格化一本居宣長
 5、民意の神格化一平田篤胤
 6、王政復古と神武創業
 コラム② 対話と共感の室町文化考
第八章 立憲制と独裁
 1、もう一つの天皇論一藤田東湖の天皇論
 2、藤田東湖の天皇論の限界
 3、ナポレオンの世紀
 4、君主制から政党制ヘ一独裁の移行
コラム③ 民主主義と資本主義の関係
むすびにかえて一象徴天皇制論試論
 1、「押し付け」と「受容」
 2、「公務」に潜在する憲法制定権力
 3、象徴天皇制の可能性

安倍晋三内閣に次いで、高市早苗内閣と鷹派の内閣が相次いで誕生し、憲法改正を求める動きが、にわかに活発化してきているが、ということは、日本国憲法を、いつまでも内的必然を持たない、理想主義的ではあるが、根無草的な憲法のままにしておくことができなくなってきているということである。
一九四五年八月以前の日本を、ひたすらネガティブに語ることによって、逆に戦後民主主義の価値を際立たせようとする方法では、戦後民主主義が守れなくなってきている。
そこでここでは、なぜそのタブーは打ち捨てなくてはならないか、さらにはそれを打ち捨てたとき、日本の歴史はどう見えてくるのかを明らかにするとともに、そのことを通じて、象徴天皇制に象徴される戦後民主主義は如何にして、また何故に誕生したかを解き明かすことを課題とする。戦後日本がいったい如何なる時代か、また社会なのかを、時聞を遡ることによって解明するという、歴史学本来の役割に取り組んでみたいと思う。

小路田 泰直(こじたやすなお)
奈良女子大学名誉教授。古き良き時代の日本史研究会近現代史部会で育つ。1954年神戸市生まれ。京都大学大学院文学研究科単位取得退学。橘女子大学と奈良女子大学で35年程教鞭をとる。著書多数。

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