2015年11月11日

 昨日は分刻みでやることがあって、まったく書けませんでした。なんだか、自分の人生で、いちばん忙しい時代を迎えているようです。

 さて、自衛官が戦闘任務を帯びて戦場に行く時代になりました。その人権をどう守るかが問われています。逆に言えば、その覚悟とシステムをつくることなしに、そういう任務を与えてはいけないということでもあります。

 ということで、「自衛隊を活かす会」は、軍法会議のある国、ない国の経験から学ぼうとしていますが、とりあえずそれがないドイツではどうなっているのかを、ドイツ連邦軍の方をお呼びして研究することを決めました。ただ、日本と異なる考え方、制度を持っている国のことをその場で聞いても、使われる言葉の持つ概念が違うわけですから、理解するのが困難でしょう。

 そこで、少しでも理解に近づくため、事前研究会をすることにしました。東京新聞・中日新聞の記者で、ドイツ特派員経験のある三浦耕喜さんという方がいて、ドイツの取り組みを描いた『兵士を守る──自衛隊にオンブズマンを』という本を書いておられるのです。その話をお伺いします。申し訳ありませんが、非公開ですけど。

 日本では、海外に派遣された自衛官の自殺のことが問題になっていますよね。ところでドイツでは、一般人の自殺自体が日本より低いのですが(自殺を諫めるキリスト教の影響があると言う人もいます)、その一般人と比べても兵士の自殺は少ないそうです。

 日本における自衛官の自殺の問題は以前から問題になっていて、防衛庁が2003年から、「人事関係施策等検討会議」という名前で、自殺を含む不祥事防止が議論されてきたそうです。その4回目の会議で、ある出席者が、こう発言したそうです(防衛省のホームページに公開のもの)。

 「自殺の原因を究明することも大事ですが、精強な自衛隊をつくるためには、質の確保が重要であり、自殺は自然淘汰として対処する発想も必要と思われます」

 すごいですねえ。まさか、こんな発言を基礎にして自殺問題での対処方針を決めていると思いたくはありませんが、方針を決める一員にそういう人もいるということです。

 一方のドイツ。明日から紹介していきますが、兵士を人権を守るのだという観点のもとに、いろいろな制度があるそうです。この本に出てくる人が次のように言っていることが、ドイツの制度を象徴しているように思えました。

 「結局、ひとりの兵士を守ることが、軍全体を誤らせないようにすることにつながるのです」(続)