『苦海浄土』を読む
沈黙をひらく哲学
| 著 者 | 宮田 晃碩 |
|---|---|
| ISBN | 978-4-7803-1439-7 C0010 |
| 判 型 | 四六判 |
| ページ数 | 370頁 |
| 発行年月日 | 2026年05月 |
| 価 格 | 定価(本体価格3,500円+税) |
| ジャンル |
水俣病の公式確認から70年
水俣病の公式確認から70年たった今も、水俣病の実態だけでなく人間の尊厳や社会の不正義について普遍的な問いを発し続ける名作『苦海浄土』。作者石牟礼道子が描く言葉を奪われた苦難の人々の声をどう聞き、受け止めればいいのか。いくつものクライマックスの場面に焦点を当て、フリッカーやアーレント、ハイデガーらの哲学を平易に紹介して補助線に使いながら読み解く。未曾有の経験に応答する哲学の挑戦となっている。全編書き下ろし。
推薦:國分功一郎氏《哲学者》
〈沈黙をひらく哲学〉に出会う時、ハイデガーの哲学が新しい言葉を求める哲学になる。
Ⅰ 知識を問いなおす 本当に知るべきことは何か
認定審査の医師たちが見落としたもの
第1章 「原因究明」という名の罠
第2章 追いやられる被害者の知識
第3章 「民衆の知」の可能性
第4章 世界との距離を修復する
Ⅱ 言葉に耳をすます その人自身の言葉とは何か
チッソ幹部たちが聞き逃した声
第5章 「聞き書き」という文体
第6章 語られない思いの聞き手になる
第7章 「出会い」が生むかけがえのなさ
第8章 言葉の背後の沈黙を聞く
第9章 天に向けて響く言葉の次元
Ⅲ 苦痛に寄りそう 他者の苦しみは理解できるか
患者たちと石牟礼の距離
第10章 「そげんした苦しみがわかるか」
第11章 痛みを理解するということ
第12章 理解からこぼれ落ちる感覚
「ゆき女きき書」やチッソとの「実地交渉」など、白眉とされる場面を全三部から縦横に抽出しており、エッセンスを深く味わえる1冊です。
宮田 晃碩(みやたあきひろ)
哲学者。1992年、千葉県生まれ。東京大学総合文化研究科超域文化科学専攻比較文学比較文化研究室などを経て、長野県立大学講師。ハイデガーの哲学や石牟礼道子の文学を手がかりに、言語と共同性の関係を研究している。


