2014年8月5日

 昨晩、原水禁大会の1日目が終わって、ホテルに戻ると、いつものようにロビーに「中国新聞」が置いてあった。お隣の中国の新聞じゃないですよ。中国地方の新聞ということで、広島を中心に発行されている。

 広島に来る時じゃないとみることはない。私が見るのは、原水禁大会のときだけだ。そして、その場合、いつも原爆をめぐる記事が大きく取り上げられている。

 昨日の1面トップは、お隣の中国をとりあげた記事だった。まず、見出し。「中国軍「核弾頭を増加」」「文書明記 世界的軍縮に逆行」。記事の中心は、こういうものだった。

 「中国人民解放軍が公式文書で、核戦略の要となる戦略ミサイル部隊の「核弾頭を適切に増加していく」と明記していることが分かった。……
 文書は、陸海空と第2砲兵部隊(戦略ミサイル部隊)の当面の目標を示した軍人向け教材。この中で、核兵器を柱とする同部隊を、中国が大国としての主導権を確保するための「抑止力」の核心と位置づけた。…
 戦略ミサイルは、単に本土「防衛」のためではなく、広い範囲で「戦略的な主導権」をにぎるために活用すると強調」

 いや、まさに、いまの中国を象徴する記事だ。中国はきっとこういうことを考えているだろうなと思っていたけど、その通りだったというもの。

 それで、ふと思いついて、原水禁大会の海外代表の参加リストに目を通した。いつもそんなことに気を配っていなかったが、数年前までは中国代表も参加していたと思ってね。ことし参加していたら、この問題をどう考えるのか、問い詰めるべきだと考えたし。

 ところが、中国代表は参加していないかった。他の核保有国ということでは、アメリカ、ロシア、イギリス、フランスは参加しているんだけどね(もちろん、NGOだけど)。

 中国の場合、政府代表が参加していないというだけでなく、NGOも参加していない。中国のような独裁国家では、NGO(非政府組織)といってもあまり意味はなく、まわりからは政府系非政府組織(GONGO、GovernmentalNGO)なんて揶揄されているんだけどね。

 どんな国でも、希望があるとすれば、NGOに代表される非政府組織でしょ。日本でも、安倍さんが集団的自衛権を強行していても、国民レベルでは反対が多いから、なんとか希望がある。だけど、中国の場合、政府が軍事強硬路線を進んでいるとき、NGOまでが原水禁世界大会にさえ参加しないという状況だ。少し理性があれば、政府は参加しなくても、非政府組織を参加させて、「核廃絶の理念は捨てていない」と建前だけでも言わせると思うけどね。

 こういう現実をどうやったら変えていけるのか。難しい。だけど、そういう中国に対して、黙っているのではなく、ちゃんとダメだよと声を上げなくてはダメだということだけは、はっきりしていると思う。