2014年8月7日

 内田樹さんと石川康宏さんの共著の第2巻目、いよいよです。9月上旬に書店に並ぶと思います。

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 第1巻は、サブタイトルが「20歳代の模索と挑戦」とあったように、マルクス20歳代の4つの著作をとりあげ、お二人が往復書簡で語り合うものでした。20歳代といっても、29歳で『共産党宣言』を書いたわけですから、すごいですよね。

 今回の第2巻は、年齢的にいうと30歳代から40歳代になるでしょうか。とりあげられる著作は、『フランスにおける階級闘争』『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』『賃金、価格および利潤』となります。

 書簡のやりとりが開始された直後、私は、3つめは『フランスにおける内乱』にした方がいいと思ったんです。だって、それでフランス3部作をいっきょにとりあげることになりますし、それ以上に、3.11後、日本の変革のありかたが模索されているもとで、階級闘争論・革命論でそろえることが適切なのではと考えたからです。

 でも、石川さんが、いろいろ考えた末に、やはりマルクスの成長にそって書いてみたいとおっしゃって、執筆された著作の順序に論じることになりました。でも、結果として、それでよかったんです。

 『賃金・価格・利潤』って、私の想定では、マルクス経済学の基本的な考え方を論じあうものになる予定でした。もちろん、そういう部分もあります。

 だけど、前回著作いらいの数年間で、ブラック企業という言葉が生まれたことに象徴されるように、マルクス主義でなければ説明できないような事態が目の前で進行してきました。だから、『賃金・価格・利潤』が、目の前の日本の変革を論じ合ううえで、いちばんホットな著作として浮上したわけですね。

 そういう事情があるものだから、この書簡のやりとりの途中で、朝日カルチャーセンター(中之島教室)が、お二人を呼んで対談させたんです。そのテーマが、「若者よ、いまこそマルクスを読もう 蘇るマルクス・レーニン主義」というものでした。

 そうなんです。マルクス主義が蘇ってきている。目の前の経済現象がマルクス主義で解明しなければならないこともありますが、その打開策にもマルクス主義が求められている。グローバリズムに対抗できるのは、「万国の労働者、団結せよ」という員他ナショナリズムしかないという現実がある。

 ということで、この対談も収録し、今回のサブタイトルは「蘇るマルクス主義」とつけさせてもらいました。そこが第1巻と異なるところで、だから本の帯には、「この第2巻から読みなさい」とつけています。どうぞ手に取ってみてください。