2014年3月18日

 34面(東京版。地方によって異なる)なんですが、その右半分を使って、解釈改憲と集団的自衛権に関する記事が掲載されています。「リアリティない議論、今も。解釈改憲の源流、明治憲法にたどる」というタイトルです。
 
 「司馬遼太郎「統帥権独立論は暴走」」という目次と記事の冒頭部分が、この記事のねらいを言い当てています。「天皇は陸海軍を統帥す」という明治憲法の条項を、軍部は勝手に「統帥権の独立」と解釈改憲し、戦争の道を突き進みました。そして、司馬がこの時代のことを書きたかったが書けなかったのは、なぜ軍部が「統帥権独立論」という「魔法の杖をおもちゃにし、国を破滅させた」のか、理解不能だったからだというのです。軍部のエリートに取材しても、その話にリアリティがなく、「ツルツルした世界認識だったから」というものでした。

 それに続いて、歴史家の秦郁彦さんが登場し、統帥権問題の解釈改憲で軍部が暴走した経緯を語っています。そして、その後、5段の記事中2段を使って、なんと私のことが以下のように出ています。

 ジャーナリストの松竹伸幸さんは、非武装の国連停戦監視団に自衛隊を積極活用するよう提言するなど、現実を見すえた解釈改憲ならいとわない、攻めの護憲の立場だ。自身が事務局をつとめ、「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と自衛隊を考える会」を準備している。現行憲法を変えずにどのような軍事行動が可能かを研究・提言する。「旧来型の非武装中立だけにこだわる護憲は、もはや十分な力を持ち得ないという、私自身の思想的変遷がある」と話す。

 松竹さんはその一方で、『集団的自衛権の深層』(平凡社新書)を出版、安倍首相らが進める解釈改憲の「リアリティーのなさ」を痛烈に批判している。

 「一例をあげれば、米本土へ向かうミサイルを迎撃するため、集団的自衛権が必要だと自民党は言ってきた。しかし、ミサイル迎撃などリアルの世界では現状不可能だということは、推進論者が近著であっさり認めている」

 米艦船が攻撃されたら日本は看過していいのか。中国軍が尖閣諸島に上陸したら座視するのか……。集団的自衛権行使の論拠とされる「リアルな想定」を、松竹さんは同書でひとつずつ論破していく。「推進論者こそ軍事の現実を見すえず、空理空論をもてあそんでいる」(松竹さん)。

 研究会は6月に発足する予定で、防衛官僚出身の柳沢協二・元内閣官房副長官補らを呼びかけ人とする。集団的自衛権論議の「リアリティーのなさ」「ツルツルした世界認識」に危機感を持つ保守派論客や自衛官も、参加する予定という。