2017年3月13日

 北朝鮮のミサイルが日本の近くに落ちたということだけでは「新段階」を意味しないことは明らかだが、国民の不安感を煽るものであることは確かだ。だから、こういう時に、日本の防衛政策を議論することが大事だと思うのだけれど、護憲派界隈では「軍事的対応をしていては悪循環。外交でやるべきだ」となっていく。外交努力を強めるのは当然のことであるが、安倍さんだって最近も核・ミサイル・拉致の包括的な解決を北朝鮮に働きかけると外交にも言及しているのであって、この問題では外交か軍事かの対立が問われているのではない。安倍さんは外交と軍事の両方を考えているのに、護憲派は外交しか口にしない構図になっているのである。この2つをどう組み合わせるかが大事なのだ。緊迫した時には「こういう時こそ外交」と主張し、平時にも防衛努力には無関心ということだと、護憲派に対する国民の不安は払拭されないということだ。なので、不評であっても、この連載は続けていきたい(そんなに長くはならないけど)。

 朝鮮半島をめぐる紛争が、北朝鮮の側から起こされるのであれ、アメリカの側から起こされるのであれ、日本が無縁でいられることはないだろう。日本が在日米軍基地の使用に反対し、アメリカが在韓米軍基地から攻撃するにしても、北朝鮮にとっては在日米軍基地を在韓米軍基地と区別することは考えられず、ミサイルが日本に向けて飛んでくることは想定される事態だ。日本はどう対応すべきか。

 アメリカの先制攻撃で開始されたのだから日本は対応すべきでないと考える人がいるかもしれない。標的になるのは日本領とはいえ米軍基地なのだしと。しかし、根本の責任がアメリカにあるにしても、この想定では日本はアメリカの攻撃に反対しているわけだし、何といっても日本領に落ちてくるわけだから(米軍基地の周りの民有地に落ちるかもしれないし)、日本国として対応すべき問題となる。

 具体的には、飛んでくるミサイルに対しては、既存のミサイル防衛システムで対処することになろう。護憲派の多くはミサイル防衛システムの配備に反対してきたわけだが、実際に飛んでくるミサイルがあるのに、そのシステムを使うなとは言えないはずだ。いや、もちろん、ミサイルが飛んできても座して死を待つのが護憲派だと言う人がいてもいいのだが(いるだろうし)、それは個人の信念として通用しても、国家が国民に対して死を覚悟せよとは言えないのだから、政権をめざす政党の政策としては通用しない。なお、そういう政策を確立した場合、引き続きミサイル防衛システムに反対するかどうかは、悩ましい問題になると思われる。(続)