2017年3月14日

 昨日の続き。ミサイルが日本に落ちてきたとして、どう対応するかだ。

 昨日はミサイル防衛システムで対処する話をしたが、それは現在、日本はそれ以外の選択肢を持っていないからだ。やる気になれば、別の選択肢を保有することも可能である。

 自民党のなかで議論されているのが、ミサイル発射基地を空爆することである。ただ、これをやろうとすると、いくつかの問題がクリアーされなければならない。

 まず、ミサイルがどこに配備されているかという情報収集能力がまず前提として必要となる。アメリカだって全部は分かっていないと言われているから、至難の業だ。

 さらに、それが分かったとしても、爆撃機の航続距離が問題になる。空中給油能力を向上させなければならない。そして、そういう能力を持つということになると、発射され続けるミサイル基地を叩くということなら専守防衛の枠内だという論理は成り立ちうるが、専守防衛の枠外でも運用することが可能となり、両者の区別は限りなくグレーになる。憲法上の問題が出て来るわけだ。

 そこをクリアーしたとしても、今度は基地を叩く自衛隊の能力向上の問題が出て来る。対空砲火の餌食にならないよう、レーダーに映りにくい低空を飛行して接近することが求められるが、そのためには普段に訓練をしておかねばならない。現在、米軍機の低空飛行訓練がやられていて、各地で問題を引き起こしているが、今度は自衛隊がやることになるわけだ。

 もう一つの選択肢は、地上に特殊部隊を派遣して、ミサイル基地を爆破することだろう。そういう任務を与え、爆破後の退避も含めて訓練を施していけば、不可能ではないのだろう。ただ、非常に過酷な任務になるので、政治がそれを自衛隊に本当に求めるのかという問題だ。

 それらの問題を考えると、ミサイル防衛というのは、非常に日本的なものなのかもしれない。日本にとどまりながら(公海は使うが)、相手国の領土、領海、領空を爆撃するわけでもなく(発射直後に爆撃することも研究はされているみたいだが)、多額のお金を払えば配備できるということだから。アメリカ主導のシステムで、日本防衛の部分だけ切り取って運用されるものではないにしても、昨日書いたことだが、実際に日本にミサイルが落ちてくるときに、その運用に反対することにはならないと思われる。

 まあ、実際は、在日米軍基地が標的になるわけで、ミサイルが発射されれば基地も特定できるので、米軍機は爆破に向かうだろう。だけど、野党共闘政権としては、どういう選択肢をとるのか真剣に検討しておかねばならない。いくら日米安保を前提にした政権ではあるにしても、ただただアメリカにお願いすることもあり得ないし、ミサイルに対して何も防衛上の手を打たないこともあり得ないと思う。(続)