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加藤周一対話集 6

加藤周一対話集 6

憲法・古典・言葉

カトウシュウイチタイワシュウ6

著 者
ISBN
978-4-7803-0149-6 C0336
判 型
四六判上製
ページ数
304頁
発行年月日
2008年02月 
価 格
定価(本体価格2,800円+税)
ジャンル

内容

現代を問う、日本を問う
13氏との知的で刺激的な言葉の交錯を1冊に。
加藤周一氏の明せきな論理とユーモアが魅力ー

目次


三酔人 前口上
一海知義/奥平康弘

私たちはまだ、自由を手にしていない
樋口陽一

歴史に正対しなければ、未来はない
後藤田正晴

転換期ー世界のなかの日本
都留重人

揺らぐ「自由」—議論尽くすとき
藤原帰一

詩の言葉、変遷する日本語
谷川俊太郎/田原

言葉との格闘—漱石の『明暗』について
石原千秋/小森陽一

「日本 その心とかたち」をめぐって
高畑 勲

教養の再生
今道友信

補遺 日中の相互理解ということ[インタヴュー]
彭佳紅

あとがき
初出一覧/対話者紹介

おわりに


こ『対話集6』は最近の対話集である。新聞雑誌などに発表した対話の中から多かれ少なかれ読者の持続的な興味をひきそうなものを択んで一冊とする。
 その対話の相手をしてくださった方々は、目次によっても明らかなように、そ れぞれの分野において指導的または代表的役割を演じて来られた。すべての対話 は愉しかったばかりでなく、知的刺戟に富み、私にとって大いに有益であった。 あらためて御礼を申し上げたい。
 対話の企画は、それぞれの機会において、それぞれの発表機関の編集者による ところが大きい。しかしそれだけではない。すでに発表された対話の記事を集 め、読み、分析し、いくつかのかたまりに整理して、本にまとめる仕事は誰がし たのか。この本の場合には、かもがわ出版の湯浅俊彦氏と自由編集者の石原重治 氏であった。私の「感謝のリスト」は当然そういう方々のすべてに及ぶ。
 対話の内容は多岐にわたるが、中心となった話題に応じて、大きく三つに区分 することもできる。「憲法・古典・言葉」がそれである。私はそういう区分を念 頭に置いてそれぞれの話題を決めようとしたわけではない。また対話の企画者が 初めから一冊の本に収録された場合のつり合いを考慮しながら話題を択んだわけ でもない。読み返してみて、話題が三点に集中する傾向がはっきりあらわれてい ることに私自身がおどろいた。そしてそうなった理由はなんであろうかを考え た。それはおそらく二一世紀の初、分野を超えた同時代人の意識は、いくつかの 中心的な関心を共有していたからであろう。
 冷戦後の政治経済的日本は、国際社会での独立を強めたいわゆる平和憲法をま もらず、戦争参加の範囲を拡大しようとしてきた。そこで国内の世論は二分さ れ、議会内では改憲の支持者が多数、議会外の有権者の間では改憲反対の意見が 賛成を上まわるということになった。そういう「ねじれ」現象が政治を論じる話 の背景である(この本の第一部)。
 第二部は、古典と日本語殊に詩の言葉を話題の中心とする。教育において古典 の学を抑え、科学技術を高く評価するのは、天下の形勢である。しかしこれは 「流行」の利を知って「不易」の徳を知らない愚者の所行にすぎない。故に少く とも工業先進国の中には古典学の価値の否定の否定を説く少数者がいる。思うに 古典的作品とは、単に保存するものではなく現代に用いて創造力をそこに?むべ きものである。故に私共はここで抽象的一般論にとどまらず、たとえば「アニ メ」の具体的な例をあげて絵巻物の伝統や仮面劇の遺産との創造的な関係を論じ たのである。
 中国の詩人で日本文学の研究者でもある田原氏は、ある時、私を谷川俊太郎氏 に引き合せたいといっていた。谷川氏が承知して下さったのは、この上もない幸 い、私の側ではかねての念願がかなった。その理由は、今日荒れた(と私はみ る)日本語といわゆる「現代詩」との関係に関係する。私の意見は超保守的で宮 沢賢治、中原中也以後詩人なし、というのにちかい。もちろん例外はある。例外 のもっとも多い詩人たちの一人が谷川氏である。
 このように、この本は、あるときには明示的に、あるときには行間に能く時代 を反映しているように思われる。読者もまた評価して下さればまことにうれしい。

上野毛にて 二〇〇八年正月
加藤周一

著者プロフィール

加藤 周一 カトウシュウイチ

1919年9月19日、東京に生まれる。東京帝国大学医学部で血液学を専攻。医学博士。幼少から読書に親しみ、フランス文学や日本古典文学に深い関心を寄せる。
戦後、留学生として渡仏し、医学研究のかたわら西欧各国の文学を摂取したことが、日本文学の特徴を考えるきっかけとなる。
カナダ、ドイツ、スイス、アメリカ、イギリス、イタリアなどの大学や、上智大学、立命館大学で教鞭を執る。

[白沙会]について

加藤周一氏を囲む20人ほどのメンバーでの[勉強会]
司会者は井上吉郎

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