2014年5月8日

 昨日、朝日新聞の記事を紹介しましたが、その前日(5月4日)、神奈川新聞ではさらに大きく「会」がとりあげられました。19面に代表の柳澤協二さんのロングインタビューが載っていて、第一社会面の21面には、なんと私まで大きな写真付きで載っているではありませんか。

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 その記事を、以下紹介します。昨日の夜も、この記事の冒頭にある神保町の中華料理屋で会議をしていたんです。なお、記事中、私の経歴にちょっとした間違いがあるので、勝手に直しています(新聞社にはお知らせ済み)。興味のあるヒマな方は、ウェブ上の記事と比べて、間違い探しでもどうぞ。

 (記事開始)東京・神保町駅近くの中華料理店。防衛、安全保障、国際貢献の専門家が集まってくる。紹興酒を酌み交わしつつ、ある会の設立に向けた議論が深夜まで続く。

 会の名称は「自衛隊を活(い)かす:21世紀の憲法と防衛を考える会」。元防衛官僚の柳沢協二さん(67)が呼び掛け人代表を務める。小泉政権で内閣官房副長官補となり2003年、自衛隊のイラク派遣の理論武装を担ったその人がいきさつを語る。

 「右の立場の人も議論に加わらなければいけないと声を掛けられ、それは面白そうだ、と。護憲は左の人たちが担ってきたが、意見が合う人だけで話していても意味がない」。そして続ける。「私も立場は護憲。自衛隊員を無駄な戦争で死なせたくないからだ。だが、同じ護憲でも自衛隊の存在が認められない人がいる。それでは将来に向けた議論ができない。せめて自衛隊がいる現実から出発点しようという会になる」

 その仕掛け人が京都にいる。かもがわ出版の編集長、松竹伸幸さん(59)。出版を通じて知り合った柳沢さんに会の立ち上げを持ち掛けていた。

 自衛隊の国防軍化、集団的自衛権の行使容認を目指す安倍政権に危うさを感じる一方、護憲運動の在り方にも危機感があった。

 例に引くのが、自衛隊に関する内閣府の世論調査。自衛隊を「縮小した方がよい」との回答は1991年は20.0%で、2012年は6.2%に減った。この間に「増強した方がよい」は7.7%から24.8%に増えたが、多数を占めてきたのは「今の程度でよい」で、ずっと60%台だった。

 「単純化すれば、いわゆる護憲運動はかつては20%、いまは6%の人が進めている運動といえる。一方で9条を守るべきという人は半数以上いる。つまり、多くが自衛隊の現状を認めた上で護憲と言っている」

 新しい視点から防衛戦略を打ち出す必要性が浮かび上がっていた。「9条への態度を問われれば護憲でも、防衛を考えた場合、目の前にある政策は安倍政権が掲げるものしかないのが現状。護憲か防衛かというねじれた選択肢の間で揺れる層にこそ、働き掛けていかなければ。軍事戦略からみても9条は必要だ、と」

 その松竹さんこそは「6%の護憲運動」の側にいたといえた。8年前に離職したが、共産党本部の政策委員会で外交や安全保障政策を担った経歴を持つ。

 当初、松竹さんが提案した会の名称は「憲法9条下の自衛隊活動を考える会」。柳沢さんから待ったの声が掛かった。「自衛官OBにも参加してもらいたい。とすると、9条の2文字だけで難しくなる」。そして、「ほんのりと護憲ということが分かればいいんじゃないか」。

 柳沢さんは、1発の銃弾も撃つことなく終えた自衛隊のイラク派遣を踏まえ、言う。「丸腰だからできることはある。武器を手にしていると、武器をどう使うかに注意が向く。戦う手段を持っていないがゆえにできることがある」

 会の発足は6月7日。シンポジウムを重ね、政策提言をまとめていく。

 〈現行憲法のもとで誕生し、国民に支持されてきた自衛隊のさらなる可能性を探り、活かす方向にこそ…〉

 松竹さんが練った設立趣意書案に「9条」「護憲」の文字は見当たらない。(記事終了)